私が来ると先に帰るママ友、忘れ物を取りに戻った公園で知った理由
「ごめん、今日も先に帰るね」
娘の園のママ友たちは、降園後に近くの公園へ集まるのが恒例でした。子どもたちは砂場と遊具を行き来して、親たちはベンチでお菓子を分け合っています。仕事のある私は、いつも皆より遅れて合流していました。
それなのに私が到着すると、決まって1人のママ友が帰り支度を始めるのです。すれ違いざまに掛けられるのは、いつも同じ言葉でした。「ごめん、今日も先に帰るね」息子さんの手を引いて遠ざかる背中を、私は何度も見送りました。
私が来ると、帰っていく
気になり始めると、思い当たることが増えていきました。ほかのママに聞くと、「ついさっきまでいたのに」と首をかしげられます。つまり彼女は、皆とはたっぷり遊んでから、私の到着と入れ違いに帰っているのでした。
お茶に誘っても、返ってくるのは「ごめん」だけでした。私の言葉の何かが引っかかったのか、娘が息子さんに何かしてしまったのか。挨拶しか交わせない相手に嫌われる理由を、帰り道で考えるようになっていました。
忘れ物を取りに戻った公園で
別の日、娘が忘れた水筒を取りに公園へ戻ると、人の減った広場の隅に、彼女の姿がありました。またがった自転車の車輪をふらつかせては、足で地面を蹴って止まる、を繰り返していました。
かごは空のままで、買い物帰りでないことはひと目でわかりました。「もしかして、練習中?」声をかけると、彼女は少し間を置いてから打ち明けてくれました。
「実は、自転車に乗れないの」
皆が自転車で来る公園に、彼女だけが歩きで通っていたこと。息子さんが疲れる前に切り上げると、それがちょうど私の着く頃だったこと。避けられていると決めつけていた自分が、恥ずかしくなりました。
そして...
「じゃあ、一緒に練習しよ」私がそう言うと、彼女は大きくうなずきました。今では休みの日に練習に付き合っています。仕事で遅れて着いた日も、彼女は少しだけですが私の事を待ってくれているようになりました。「ごめん、今日も先に帰るね」を聞かなくなってから、公園までの道を急ぐ足が、少し軽くなりました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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