彼女の好きなイタリアンに、俺の大好物のチーズを足したつもりだった
覚えていたのは店の雰囲気
付き合い始めたばかりの頃、彼女と街を歩いていたときのことです。イタリアンの店の前で、彼女が「こういう雰囲気、好きだな」と言いました。
その言葉が残っていました。記念日には、彼女が好きそうな店を選びたい。そう考えて調べたのが、チーズ料理で有名なイタリアンでした。
俺はチーズが好きです。彼女が好きなイタリアンで、自分の好物も楽しめる。そう思って、去年の記念日にその店を予約しました。彼女が「ありがとう、素敵なお店だね」と言ってくれたので、気に入ってくれたのだと受け取っていました。
見ていなかった彼女の皿
今年も同じ店を予約しました。彼女が喜んでくれると思っていました。席に着くと、俺はチーズを使った料理をいくつも選びました。
彼女はサラダとスープ、パンを選んでいました。俺は、軽いものが食べたいのだろうと思いました。チーズの料理をすすめても、彼女は「私はこれで大丈夫」と言いました。
その言葉を、そのまま受け取りました。彼女が何を避けているのか、なぜ同じものに手を伸ばさないのか、考えませんでした。店を選んだ自分に満足して、彼女の皿を見ていなかったのだと思います。
帰り道の違和感
店を出たあと、俺は「来年の記念日も同じ店にしようか」と言いました。去年も今年も喜んでくれたのだから、来年もここでいいと思っていました。
彼女は「うん、いいよ」と答えました。でも、その返事は少し短く聞こえました。俺はそこで初めて、彼女が本当に楽しんでいたのか気になりました。
思い返すと、彼女は去年も今年も、チーズの料理をほとんど選んでいませんでした。俺は彼女の「素敵なお店だね」という言葉だけを見て、食べているものまでは見ていませんでした。
そして...
次に会ったら、店のことを聞こうと思っています。イタリアンが好きなのか、あの店が好きなのか、苦手な料理がなかったのか。今さら聞くのは遅いかもしれません。でも、聞かないまま来年も同じ店に連れていくほうが、もっと違うと思いました。
彼女を喜ばせたい気持ちはありました。けれど、彼女が何を食べて、何を残して、どんなふうに答えていたのかを見ていませんでした。
記念日の店選びは、雰囲気だけで決めるものではありません。彼女が言ってくれた「ありがとう」に甘えず、次はちゃんと食べたいものを聞ける自分でいたいです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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