満員電車で背中に当たる何かにいら立った私が、降り際に深く頭を下げられた話
背中に当たり続ける硬いもの
仕事帰り、私はいつもの路線で吊り革につかまっていました。車内は人でいっぱいで、体の向きを変えるのも難しいほどでした。
しばらくすると、背中の真ん中あたりに硬いものが当たり始めました。駅に着くたびに人が増え、そのたびに同じ場所へ押しつけられます。
後ろの人が大きな荷物でも背負っているのだろうと思いました。少し避けても当たり方は変わらず、私はだんだん腹立たしくなっていきました。
押し返すつもりで踏ん張った
次の駅で、さらに人が乗ってきました。後ろからの圧が強まり、背中の硬いものも前より近く感じました。
これ以上押されるのは嫌だと思い、私は足元を固めるように立ちました。後ろの人に気づいてほしくて、わざと肩を引くようにしました。
それでも、背中に当たる感触は変わりません。文句を言うほどではない。でも我慢するには近すぎる。そんな気持ちのまま、私は肩越しに後ろを見ました。
そこにいた小さな子
後ろにいたのは、大きな荷物を背負った人ではありませんでした。男性の胸元には抱っこ紐があり、その中で赤ちゃんが眠っていました。
私に当たっていたのは、抱っこ紐の留め具と、赤ちゃんを守るように添えられた男性の腕でした。男性は揺れる車内で体を丸め、人混みの圧が赤ちゃんへ向かわないように支えていました。
私はそれまで、後ろの人が自分のことしか考えていないのだと思っていました。でも、その人は限られたスペースの中で、赤ちゃんをかばうことだけに必死だったのです。
そして...
降りる駅が近づいたとき、私は少しだけ立ち位置を変えました。人の流れが赤ちゃんへ向かわないように、自分の背中で受ける形にしました。
ホームに降りようとしたとき、後ろの男性が私に向かって頭を下げました。「ありがとうございました。助かりました」と言われ、私はうなずくことしかできませんでした。
さっきまで邪魔だと思っていたものの先に、小さな子を守る腕がありました。見えない事情に気づく前にいら立っていた自分を、帰り道に何度も思い出しました。満員電車で見えているものは、いつも全部ではないのだと思います。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
関連記事
「コラム」カテゴリーの最新記事
-
【星座別】「気が利くね!」と褒められる女性ランキング<第1位~第3位>ハウコレ -
【星座別】2026年7月中旬、出会い運絶好調な女性ランキング<第1位〜第3位>ハウコレ -
休日出勤だと嘘をついた俺が、その日ベンチで撮った一枚ハウコレ -
男性の誕生月でわかる!彼女と居る時の「リラックスした姿」<1月〜6月>ハウコレ -
義母「見た目が貧相」嫁が贈ったクッキーを即ゴミ箱へ!?⇒「さすがにおかしい!」夫に助けを求めた結果…愛カツ -
許す?許さない?浮気された後に後悔しない、たったひとつの判断基準ハウコレ -
満員電車で…妊婦の席を堂々と奪う夫。しかし直後⇒「ねえおじさん…」小さな女の子の“純粋な疑問”に顔がヒクつき…!?愛カツ -
余命宣告された妻に、何も知らない夫が「離婚したい」⇒直後「いいよその代わり…」妻の【最後のお願い】に夫が涙。愛カツ -
彼女が一度だけこぼした「いつか来てみたいな」を、僕はずっと覚えていたハウコレ