「本当は誕生日に渡すつもりだった」と打ち明けた俺は、罪悪感を抱えたまま
写真に写ってしまった誤算
彼女とは離れて暮らしていて、会えない週末も少なくありません。だから来月の誕生日くらいは、ちゃんと喜ばせたかったんです。俺は職場の同僚に相談しながら、彼女に似合いそうな香水をひとつ選びました。買ってきた箱は、棚の奥に押し込んでおきました。
その夜、作った夕飯の写真に「うまくできた」と一言添えて、彼女に送りました。料理を見せたかっただけなのに、撮った角度の関係で、棚の隅に押し込んだはずのプレゼントの香水の箱まで写り込んでいたのです。その時、自分では全く気づきませんでした。
とっさに送った「気にしないで」
しばらくして、彼女から「これ、誰の香水?」と連絡がきました。本当のことを言えばサプライズが台無しになる。とっさに俺は「ああ、それは気にしないで」とだけ返しました。職場の人にもらった見本だとでも嘘をつけばよかったのに、咄嗟に他人を持ち出すこともできず、口から出たのは一番下手な返事でした。当日まで黙っていれば喜ばせられる。その考えしか、俺の頭にはありませんでした。
かしこまっていく返信に気づいて
それからの俺は、香水のことに触れられたくなくて、返事が遅くなりがちでした。彼女からの返信も短くなり、絵文字も減っていきます。最初は、なぜそんなに不機嫌なのかと、こちらが戸惑ったほどです。
けれどある夜、彼女からの短い返信を画面で見ながら、ふと自分が逆の立場だったらと考えてみたのです。説明のつかない女性もののように見える箱と、はぐらかすような返事。それを向こうから受け取った彼女が、何を考えながら一週間を過ごしていたのか。サプライズを守ることばかり考えて、彼女が何に不安を抱えていたか、想像が足りませんでした。
そして...
当日を待たずに、俺は本当のことを打ち明けました。「本当は誕生日に渡すつもりだった」と伝えると、彼女は怒るより先に、ほっとしたと安心してくれました。喜ばせたかった俺の都合で、彼女を不安にさせていたのです。
それでも当日、選んでいた香水だけを渡すのが、なんだか軽すぎる気がして、俺は前から彼女が欲しがっていたポーチを買い足しました。受け取った彼女は嬉しそうにしてくれましたが、品物を増やして安心しているのは結局また自分のほうかもしれない、と渡しながら俺は思っていました。
彼女はそんな俺の手元をちらりと見て、ふっと笑いました。「ポーチまでもらえて嬉しい。でも、心配して足してくれたんだったら、もう大丈夫だよ」。そんなふうに見抜かれているとは思いませんでした。返事の代わりに、俺はようやく肩の力を抜けた気がします。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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