「あの場所には、来てほしくなかったんだ」俺がそう言った本当の理由
隣の席が、いちばん落ち着く場所だった
隣の席の彼女とは、入社してすぐの頃から何年も一緒に働いてきました。残業で二人になると、自販機のコーヒーを買って、どうでもいい話で笑い合いました。俺にとって、その時間が職場でいちばん落ち着く場所でした。
転勤が決まったとき、真っ先に頭に浮かんだのも、隣の席のことでした。大勢で「またね」と言って終わりにする見送りが、どうしても嫌でした。だから幹事には早めに頼んでありました。彼女には別の形で見送ってもらうから、送別会の招待は他のみんなと別にすると。
うまく言えなかった一言
机の私物を箱に移していると、彼女のほうから聞いてきました。「みんなで集まるお店、私も行っていい?」その瞬間、口から出たのは「あの場所には、来てほしくない」という、本心とは正反対に響く言葉でした。
本当は「あの場所で、最後の挨拶はしたくない」と言いたかったのに、頭の中で順番が崩れて、拒絶の形だけが先に出てしまったのです。その理由を言おうと口を開きかけたときには、彼女はもう背を向けていました。彼女の肩のこわばりが、俺の言葉がどう届いたかをそのまま映していました。
本当は別の店に誘いたかった
ポケットには、何日も前から一枚の付箋を入れてありました。書いてあるのは、二人で前に話していた小さな定食屋の名前です。送別会のあとで、そこに彼女を誘うつもりでした。大勢で乾杯するより、いつもの自販機の前のような、何でもない時間で見送ってほしかった。それだけを伝えたかったのに、俺は順番を間違えてしまいました。渡すあてをなくした付箋を、俺はずっと持て余していました。
そして...
送別会のあいだ、俺はずっと上の空でした。誰かと乾杯している場合ではなかったのです。送別会が終わって、すぐに彼女にメッセージを送りました。「送別会とは別に、二人で行きたい店があるんだ」。もっと早く、もっとちゃんと言えばよかったと何度も思いました。
しばらくして、画面が短く震えました。「行きたい。お店、教えて」。その短い返事を、俺は何度も指でたどりました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
関連記事
「コラム」カテゴリーの最新記事
-
「それはあとにしよう」隣の彼が、友人の前で私の番だけ飛ばしたハウコレ -
「先輩の旦那奪うの楽しすぎ(笑)」夫との関係を堂々と明かす後輩!?しかし直後⇒「なっ…な…」後輩がフリーズしたワケ。愛カツ -
夫婦ゲンカの数日後、上司から突然の呼び出し!?直後⇒差し出された“ある物”を見て、夫「なんで…!?」愛カツ -
マンネリ化に悩む夫婦同士が…軽い気持ちで【夫交換】をした結果愛カツ -
【誕生月別】7月上旬、想いを伝えるベストタイミングな女性ランキング<最下位~第10位>ハウコレ -
「もう一回…」彼がそう言ってしまう、離れられなくなるキスの仕方ハウコレ -
【星座別】この夏、恋の急展開を迎える女性ランキング!<第4位〜第6位>ハウコレ -
【星座別】2026年7月前半、恋愛運が急上昇する女性ランキング<第4位〜第6位>ハウコレ -
出会いがないと嘆く前に。意外な場所で理想の男性に出会った女性たちの共通行動ハウコレ