彼から届いた部屋の写真に、私が贈った香水の箱だけ開いていた。「あの香水、開けたの?」
まだ開けてないはずの香水
彼とは付き合って二年になります。少し前の記念日に、私は彼へ香水を贈りました。彼の雰囲気に合いそうな香りを、ずいぶん迷って選んだものです。彼はうれしそうにしながらも「もったいないから、まだ開けてない」と言っていました。
だから私は、その香水はきれいな箱のまま、彼の部屋にしまわれているのだと思っていたのです。それなのに、送られてきた写真の中の箱は、ふたが開いていました。よく見ると、中の瓶も少しだけ減っているように見えます。開けていないはずのものが、確かに使われていたのです。
ふくらんでいく問い
いつ開けたのだろう。なぜ私には開けていないと言ったのだろう。そして、誰のために身につけたのだろう。彼はふだん、香水をつける人ではありません。
それなのに、私の贈ったものが使われている。私と会うときに、彼から香りがした覚えはありませんでした。だとすれば、私の知らない時間に、私の知らない誰かと会うときに使っていたのではないか。
一度そう考えると、その想像はなかなか頭から離れてくれませんでした。画面の写真を何度も拡大しては、また閉じていました。
ためらいながら送ったひとこと
このまま黙っていても、勝手にふくらむ想像に振り回されるだけです。私は迷った末に、できるだけ軽く聞こえるように打ちました。
「あの香水、開けたの?」
送信したあと、返事はすぐには来ませんでした。やはり聞くべきではなかったのか。そう思いかけたころ、彼から電話がかかってきました。出ると、彼はいつもより早口で、何かを言いかけてはやめる、を繰り返しています。そしてようやく、観念したように切り出しました。
「本当は、ずっと使ってた」
私が想像していたのとは、まるで違う打ち明け話が始まりました。
そして...
彼は、私と会う日にだけ、その香水をほんの少しだけつけていたのだそうです。ほんのひと吹きだったから、私はその香りに気づけずにいたのでした。
けれど、せっかくの贈り物を使い切ってしまうのがもったいなくて、それでいて私の前で使っていると言うのが照れくさくて、つい開けてないと言い続けていたのだといいます。
誰かのための香りではなく、私と会うための香り。種明かしを聞いて、抱えていた不安はゆっくりとほどけていきました。それでも、ひとこと素直に言ってくれていれば、私はこんなに遠回りをせずにすんだのです。
次に会うときは、香るかどうかそっと確かめてみよう。そう思いながら、私はもう一度あの写真を見直しました。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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