「君の分は、少しいいところにしたかった」予算表に「相談」と書いた僕の不器用な気持ち
彼女の行だけ、埋められなかった
彼女と付き合って二年になります。二人で初めての泊まりの旅行が決まり、僕は予算表を作ることにしました。几帳面だとよく言われる性格で、こういう準備は得意なほうです。
自分の費目は、すぐに埋まりました。僕はどこでもかまわないからです。ところが、彼女の費目の行になると、どう埋めればいいのか分からなくなりました。
彼女が泊まる部屋を、僕の都合だけで安いほうに決めていいのか。やりたいことを、勝手にこの金額で、と区切っていいのか。考えるほど、彼女の分だけは自分一人で決めてはいけない気がしたのです。
「相談」に込めた、言えなかった本音
本当は、彼女の分にはもう少しお金をかけたいと思っていました。自分の費目を削ったのは、その分を彼女のために使いたかったからです。少しいい部屋に泊まってほしい。前に行きたいと言っていた場所にも、連れていってあげたい。けれど、それをそのまま打ち込むのは、どうにも照れくさくてできませんでした。
だから僕は、彼女の行にだけ「相談」と書いて、会ったときに話せばいいと考えたのです。「旅行の予算、ざっくり組んでみた。見てみて」とだけ添えて、その表を送りました。「ありがとう、見てみるね」とすぐに返事が来て、僕は少し安心していました。
たった一言が、彼女を悩ませていた
ところが、それからの彼女は、どこか様子が違いました。やりとりはいつも通りなのに、ふとした返事に元気がない気がして、僕は気になっていました。二人で会ったとき、彼女のほうから切り出してきました。
「予算表の私の分だけ『相談』ってあったでしょ。あれ、ずっと気になってて」
聞けば、自分の分を削られるのだと受け取って、お金で線を引かれた気がしていた、というのです。僕の言葉足らずな一言が、彼女に何日も余計な不安を抱かせていたことを、このとき初めて知りました。
そして...
僕は正直に打ち明けました。
「ああ、あれか。君の分だけは、勝手に決めたくなかったんだ」
「僕の分はどこでもいい。けど君が泊まる部屋とか、やりたいことは、ちゃんと話してから決めたかった」
彼女が「削るための『相談』だと思ってた」と言うので、僕は「逆だよ。君の分は、少しいいところにしたかった」と返しました。気持ちを数字や表に変えて伝えるのは、僕の悪い癖なのだと思います。本当は一言、こうしたいと伝えればよかった。
次の計画は、表より先に、口に出して相談するところから始めようと決めました。彼女の隣で笑っていられる時間に、惜しいと思う費目など、一つもないのですから。
(30代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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