好きな人との乾杯で、私のグラスだけ置かれなかった。理由を聞くと返ってきた一言に傷ついた話
みんなで囲んだ、賑やかなテーブル
久しぶりに友人たちと集まった席でのことです。同じグループの中に、私がひそかに想いを寄せている人がいました。
みんなで飲み物を頼むと、彼が率先してお盆を受け取り、一つずつグラスを配り始めます。気が利く人だなと、その横顔を見ているだけで嬉しくなりました。グラスは、隣の友人へ、向かいの友人へと、次々に手渡されていきます。
私は、自分の番が来るのを少しそわそわしながら待っていました。彼の手から直接グラスを受け取れる、それだけのことが、私にとっては特別な瞬間に思えたのです。
私の前だけ、空いたまま
ところが、グラスは私の前を通り越していきました。彼は私の分を手元に残したまま、なぜか配るのをやめてしまったのです。
やがて誰かの「乾杯」という掛け声とともに、みんなが一斉にグラスを持ち上げました。持ち上げるグラスのない私は、中途半端に上げた手をそっと下ろしました。周りに気づかれないよう笑顔をつくりましたが、内心はいろいろな考えが渦を巻いていました。
私だけ後回しにされたのは、彼にとって私が、その程度の存在だということなのかもしれない。考えれば考えるほど、楽しいはずの席が遠く感じられました。
思いきって聞いた、たった一つの質問
少し落ち着いてから、私は彼のそばに行き、思いきって尋ねてみました。
「私のグラスだけ、なんで後だったの?」
軽い調子を装ったつもりでしたが、声は思ったより硬くなっていたかもしれません。彼は少し目を泳がせたあと、「深い意味はないよ」とだけ答えました。それ以上は何も説明してくれません。
深い意味がないのなら、どうして私のときだけ手が止まったのだろう。問い返したい気持ちをのみ込んで、私は自分の席に戻りました。届かなかった答えのぶんだけ、彼との距離が遠くなった気がしました。
そして...
その後の時間も、私は彼の横顔をどこか遠くに感じていました。たった一杯のグラスのこと、と自分に言い聞かせても、もやもやした気持ちは晴れてくれません。
それでも、帰り際にふと思い出したのです。私の分を手元に残していたとき、彼が一度、お店の人に小さく何かを伝えていたことを。あのとき彼は、本当に何も考えていなかったのでしょうか。
「深い意味はないよ」という言葉の裏に、私の知らない理由があったのだとしたら。確かめる勇気はまだありませんが、あの横顔を、もう少しだけ信じてみたい。そんな気持ちが、ほんの少し芽生えていました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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