「友達だよ」と紹介されて傷ついた帰り道、彼は私の手を離さなかった
まだ名前のない関係でした
彼とは、共通の知人を通じて知り合いました。気が合って、よく二人で出かけるようになり、メッセージのやりとりも毎日のように続いていました。けれど、はっきりと付き合おうと言葉を交わしたわけではありません。それでも私の方は、もう気持ちが固まっていました。あとは彼がどう思っているのか、それだけが知りたかったのです。だからその日も、彼の隣を歩いているだけで、自然と笑みがこぼれていました。
彼が口にした紹介の言葉
近づいてきた友人は、私と彼を見比べて、にこやかに尋ねました。「もしかして彼女?」。その瞬間、彼は少し慌てたように首を振りました。「いや、友達だよ」。たったそれだけのやりとりでしたが、私はうまく笑えませんでした。友達。確かに、まだそう呼ぶしかない関係です。それでも、彼の口から迷いなくその言葉が出たことが、思っていた以上にこたえました。会話の輪の中で相づちを打ちながら、私は早くこの場が終わってほしいと願っていました。
離れなかった手
友人と別れて、私たちは駅へと歩き出しました。すると彼が、ごく自然な動きで私の手を取ったのです。さっき友達と言ったばかりの人とは思えないほど、その手はしっかりと私の手を包んでいました。改札の前まで来ても、彼は手を離そうとしません。私は混乱していました。言葉では友達と言ったのに、こんなふうに手を握る。どちらが彼の本当の気持ちなのか、聞きたいのに聞けないまま、つないだ手の温度だけを感じていました。
そして...
結局その日、私はどうして友達と言ったのか聞けませんでした。傷ついた気持ちと、離れなかった手の温かさが、私の中で混ざり合っていたからです。彼の言葉だけを見れば、私はただの友達なのかもしれません。けれど、あの手のつなぎ方には、言葉にならない何かがあったように思えてなりませんでした。次に会ったら、今度は私の方から気持ちを伝えてみよう。そう決めると、握られた手の感触が、少しだけ心強いものに変わっていきました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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