二人の家具を買うはずの日、彼が選んだのは一人用の机だけ。私の居場所はないのだと思いました
二人で選ぶはずだった
彼の部屋で過ごす時間が増えてから、私はよくキッチンのテーブルで資格の勉強をしていました。書類を広げると食事のスペースがなくなって、いつも肩身が狭い思いをしていたのです。だから二人で家具を買おうと決まったとき、私はソファやテーブルを思い浮かべて、心が弾んでいました。あの部屋が少しずつ二人のものになっていく。そんな未来を、勝手に描いていたのだと思います。
選ばれなかったソファ
ところが家具店に着くと、彼はまっすぐ机のコーナーへ向かいました。手早く一人用の机と椅子を選び、ほかは見ようともしません。私が二人がけのソファを指さすと、彼は短くこう言いました。「それはいいかな。机だけにしよう」。私が「机だけでいいの?」と聞いても、返ってきたのは「うん。それだけでいいよ」というひとことだけ。私のための家具は、この人の頭の中にはないのだと感じました。
黙ったままの帰り道
帰り道、彼はずっと黙ったままでした。私が話しかけても、うなずくだけで言葉を返してくれません。前を向いて歩く彼の横顔は、どこか遠くに行ってしまったように見えました。一人用の机。それはまるで、この部屋にあなたの場所はないと言われているようでした。二年も一緒にいるのに、私はまだこの人の未来に入れていないのかもしれない。考えれば考えるほど、うつむいてしまう自分がいました。
そして...
部屋に戻ると、彼は窓際の一角を指さしました。いつのまにか荷物が片付けられて、ぽっかりと空いたスペースができていたのです。「ここ、君の場所にしようと思って」。彼はそう言って、買ったばかりの机を組み立てはじめました。一人用の机は、私を遠ざけるためのものではありませんでした。キッチンで縮こまって勉強していた私に、彼なりのやり方で居場所をつくってくれていたのです。もう少し早く教えてくれてもよかったのに。そう思いながらも、これから少しずつ自分の色に変えていける机を前に、私の心は穏やかにほどけていきました。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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