「私が決めておいたから」孫の名前は祖母が決めるのが当たり前だと思い込んでいた私→こだわり続けた本当の理由
孫の名前は祖母が決めるもの
息子に子どもが生まれると聞いて、私はすぐに名前を考え始めました。孫の名前を授けるのは祖母の役目。私の中では、それが当たり前のことでした。
姓名判断の本を開き、画数の良い字を選び、半紙に何度も書いて練習しました。佳子。古くさいと言われるかもしれませんが、長く呼ばれて飽きのこない、良い名前だと信じていました。
息子夫婦が自分たちで名前を考えているなんて、頭の片隅にもありませんでした。だから、二人を喜ばせるつもりで、その名前を伝えたのです。
息子に言い返された日
リビングに通されると、息子夫婦が名前の候補を書いたノートを開き、「結」にしようと思っていると切り出しました。喜ばせるつもりでいた私は、思わず口をはさんでいたのです。「え、もう決まってるけど」、「佳子。私が決めておいたから」、と。
すると息子が、これまで聞いたことのない硬い声で言いました。「母さん、それは俺たちが決めることだよ」。嫁も、まっすぐ私の目を見て、「この子の名前は、結です。もう二人で決めました」と続けました。
わが子に正面から言い返され、私は手元の半紙にそっと目を落としました。良かれと思っていたことが、二人を傷つけていたのだと、ようやく気づいたのです。
私もかつて、名前を決めてもらえなかった
家に戻ってから、ずっと昔のことを思い出していました。私が息子を産んだとき、その名前を決めたのは、私ではなく義母でした。私の意見を聞かれることはありませんでした。
寂しくなかったと言えば、うそになります。それでも、名前は祖母が授けるものだと自分に言い聞かせ、いつしかそれが正しいことだと思い込んでいました。だから今度は自分の番だと、何の疑いもなく信じていたのです。
本当は、ひとこと息子夫婦に聞けばよかっただけのこと。「名前、考えてる」と。それをしなかったのは、私自身が誰にも聞いてもらえなかった悔しさを、考えないようにしていたからかもしれません。
そして…
『結』。息子夫婦が選んだその名前を、私は半紙の佳子の隣に、小さく書き足してみました。並べてみると、二人が選んだ名前のほうが、ずっとこの子に似合っている気がしました。
私は息子夫婦に、勝手に決めて悪かったと頭を下げました。本当は、自分も同じことをされたのだと打ち明けたい気持ちもありましたが、それは言い訳になる気がして、のみこみました。
名前を呼ぶのは、これから親になる二人の役目です。私は祖母として、結と呼ばれるこの子を、ただ見守っていこうと思います。古い当たり前を手放すのは少しさみしいけれど、それでいいのだと、今は思えています。
(60代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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