看病を頼まれ料理上手な友達に頭を下げた俺に、彼女から届いた「もう帰って」
料理が、何ひとつできない
連絡を見て、すぐに「わかった、すぐ行くね。」と返しました。普段弱音を吐かない彼女がこんな事を言うなんて本当に大変に違いないと思うと同時に、ちゃんと何か食べているか心配になりました。こういう時はおかゆやうどんなど何か振舞った方がいいのでしょうが、卵を焼くことすらまともにできない俺に、できることはありません。温かい物を食べさせたいのに、その手段がない。考えるほど焦りばかりが募っていきました。
「助っ人呼んじゃった」と送った
そこで思いついたのが、昔から料理が得意な友達でした。事情を話して頭を下げると、2つ返事で「いいよ、材料はこっちで買っていく」と引き受けてくれたのです。これで温かい物を食べさせられる。そう思った俺は、彼女に「助っ人呼んじゃった」と送り、「料理上手な友達を連れていくから安心して」と続けました。返事を待たずに「もうすぐ着くよ」と送って、俺たちは彼女の部屋へ向かいました。きっと喜んでくれる。そのときは、いい考えだと信じて疑いませんでした。
わからなかった、その「もう帰って」
あと少しで着くというところで、彼女から「もう帰って」と届きました。とっさに「え、なんで?」と返しましたが、それ以上の返信はありません。せっかく友達に頼んで、栄養のある物まで用意したのに、どうして。理由がのみ込めないまま、俺は「わかった、また連絡する」とだけ送りました。来た道を引き返しながら、友達は「気にすんなって」と笑ってくれましたが、俺の頭の中はずっと同じ問いでいっぱいでした。よかれと思ってしたことが、なぜ彼女を追い詰めてしまったのか。
そして...
最初は笑っていた友達が、途中で真顔になって俺に言いました。「お前さ、彼女が来てほしいって言ったのは、お前にだろ。料理がほしいなんて一言も言ってないだろ」。図星でした。歩きながら、俺はその言葉を何度も頭の中で繰り返していました。弱った姿を見せられる相手に、そばにいてほしかっただけ。それを俺は、よく知らない人間まで連れていって、彼女が1番見られたくない瞬間を踏みにじろうとしていた。友達にそこまで言われて、ようやく自分の空回りに気づいたのです。たとえ何も作れなくても、次はひとりで駆けつける。まずはきちんと謝ろう。そう決めて、俺は料理の練習も始めることにしました。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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