彼に「来週引っ越すんだ」とだけ送って、いたずら心で「秘密」を貫いた私
彼の家の近くに、決めた引っ越し
私と彼は、お互いの家が電車で1時間ほど離れたカップルです。仕事終わりにふらっと会うことは難しく、会えるのは週末の予定を合わせた日だけ。それでも続いてきたのは、お互いに対する信頼があったからだと思います。
ただ、契約していたマンションの更新時期が近づいてきたとき、私はふと考えました。次に住む場所を、彼の家の近くにしてみてもいいのではないか、と。職場までの通勤時間もそこまで変わらないし、何より、もっと気軽に会える距離にいたい。決断してから物件を決めるまでは、あっという間でした。
「遠くなるの?」と返ってきたメッセージ
契約も終わり、引っ越し日が来週に迫ったある夜。彼にメッセージで報告することにしました。本当は会ってから伝えるつもりでしたが、なんだか待ちきれなかったのです。
「来週引っ越すんだ」
送ってから、彼の反応を想像しながら画面を見つめていました。
すぐに返ってきた一言は「遠くなるの?」
短いその文面に、彼の声が乗っているような気がしました。少しだけ不安そうな、いつもの落ち着いたトーンとは違う響き。ここで全部を伝えてしまうのは、なんだかもったいない。そう思った瞬間、私はいたずら心を出してしまいました。「近くなる」とだけ返したのです。
「どこ」「秘密」と焦らした夜
私の返事を見た彼から、すぐに「どこ」とメッセージが届きました。これまでで一番短い返信だったかもしれません。きっと答えを急かしているのでしょう。
私は思わず微笑んで「秘密」と返しました。普段ならこんなふうに焦らしたりはしません。でもこの夜だけは、彼を少しだけ振り回してみたかったのです。
「教えて」「気になるんだけど」と立て続けにメッセージが届きましたが、私は笑顔の絵文字だけを返しました。
明かしたのは、引っ越し当日、彼が手伝いに来てくれたときです。彼の最寄り駅で待ち合わせたとき、彼に住所のメモを渡しました。何度かメモを見返してから、彼は「近所だ」とだけ呟きました。耳が赤くなっているのが、駅の明かりの下ではっきりと見えました。
そして...
あの夜、私が「秘密」と返してから、彼が一週間どんな気持ちで過ごしていたのか、本人は最後まで詳しくは教えてくれませんでした。ただ、駅の改札横で耳を赤くしていた彼の横顔だけは、私の中にずっと残っています。
引っ越し以来、平日でも一緒に夕食をとる日が増えました。電車で1時間の距離だった頃には考えられなかった日常です。あのいたずら心を出してよかったと、今でも思います。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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