「2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席した二階堂ふみ、磯村勇斗(C)モデルプレス

二階堂ふみ&磯村勇斗「キネマ旬報」助演賞受賞 映画「月」での初共演回顧

2024.02.18 22:23

俳優の二階堂ふみ磯村勇斗が18日、都内で開催された「2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」に出席。助演賞を受賞した2人が、映画『月』での初共演を回顧した。

  

二階堂ふみ「月」出演に葛藤

二階堂ふみ(C)モデルプレス
『月』で助演女優賞を受賞した二階堂は「皆様ありがとうございます。そして受賞者の皆様、本当におめでとうございます。キネマ旬報さんは、映画の世界に入ってから、本当に愛読をさせていただいていた憧れの雑誌でしたので、どこか敷居の高い、そういう存在だったんですけれども、このように助演女優賞をいただくことができて、本当に嬉しく思います」と喜びのコメント。「社会的にも、そして一個人的にも、消化することができないテーマを扱った作品だったんですけれども、映画を通して多くの方々に問うことができる、そういう作品になったんじゃないかなと思います。そういう作品に携わることができて、私自身も多くのことを学ばせていただきました。この度は本当にありがとうございます」と『月』への出演を振り返った。

二階堂ふみ(C)モデルプレス
実際の事件を題材にした映画への出演に躊躇はなかったのか問われると「やはり最初に作品を制作するというお話をお聞きしたときは『本当に作っていいものなんだろうか』っていうのは、すごく考えたんですけれども、事件が起きてからも未だにやっぱり存在していて。そして我々が当事者であるっていう意識を持って、社会の問題に対して向き合っていくっていうことが大事なのかなと思うと、やっぱり忘れ去られていったり過去の事件という風になってしまうことが一番良くないことだと思ったので。作品に参加して、私も自分自身にちゃんと問い続けたいなという風に思いました」と考えを語った。

二階堂ふみ(C)モデルプレス
また、自身のデビュー作『ガマの油』で監督を務めた役所広司の出席が叶わなかったことについては「役所さんに(オーディションで)選んでいただいて、それで映画の現場に行かせていただいて、映画の現場の監督をはじめ多くのスタッフの方々に育てていただいたと思って、恩がありますので、こういう晴れの舞台でお会い出来たらなっていう風に思っておりました」と笑顔。『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』と『月』を比較して、どちらが自分に近いのかに話が及ぶと「このような場で座る椅子の場所を間違える私が本当の自分だと思います」と入場時のうっかりミスに触れて会場を沸かせた。

磯村勇斗、役への向かい方語る

磯村勇斗(C)モデルプレス
『月』『正欲』などで助演男優賞を獲得した磯村は「この度は歴史ある、そしてとても重みのある賞をいただけたことを、非常に嬉しく思います。デビュー前からキネマ旬報を読んでいて、キネマ旬報に書いてあることが全てだと思って生きてきました(笑)。それぐらいいろいろ映画を教えていただいたりした、その素敵なこの場所に今自分が立てていることは、非常に感慨深いものがあります」とにっこり。「どれか1つ作品をピックアップしてお話したいと思うんですけど、6作品と多くの作品を評価していただいたので、まず一緒に作っていろいろサポートしてくださった制作陣の皆さんと、そして共演者の皆さんに感謝の気持ちを改めて伝えたいと思います。本当にありがたい賞をいただき、非常に嬉しく思います。本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。

磯村勇斗(C)モデルプレス
役の切り替えに関しては「得意ではないとは思いますね。やっぱり作品と作品の間ではしっかり切り替えをする準備を設けて臨みたいなと思いながらやってきたので、切り替えるのは難しいですね」と返答。全く異なる役の『月』と『正欲』の撮影に間がなかったことに関しては「(『月』で演じた)さとくんっていうのは非常に難しい役でもあり、終わったら絶対に時間を空けようと思っていたんですけれども、『正欲』という素晴らしい企画を見てしまったがために、期間を設けなくても臨みたいということで、なんとかやりました」と笑顔を見せた。

二階堂ふみ、磯村勇斗(C)モデルプレス
殺害犯をモチーフとした役を演じることに躊躇はなかったのかに話が及ぶと「やると決めたらもう覚悟を持って、この作品を最後まで撮り切りたいと思っていたので。もう作品に入ってしまったら、誰から何を言われようが背負っていくつもりでいたし、もし自分に何かがあったとしても、それは受け入れていこうという気持ちで作品に臨んでいたので、怖いものはなかったですね」と発言。「ただ一つ怖いなと思ったのは、第二のさとくんが、もしこの映画を見て誕生してしまったら、それは危険だよなっていうのは、監督とずっと話し合いながら現場で作ってきたので。そうならないようにいろいろ試行錯誤しながら撮っていました」と明かした。

二階堂ふみ&磯村勇斗、初共演を回顧

磯村勇斗、二階堂ふみ(C)モデルプレス
二階堂は磯村について「すごく難しい、責任を伴う役だったと思うんですけれども、やはり磯村君が仰っていた覚悟を感じられる瞬間が多くありましたし、特別な人間とか異常者ではなく、1人の人間として浅はかな人間がそこに存在しているっていうことを、しっかり向き合われて演じられていらっしゃるなという風に感じていました」と称賛。一方の磯村は、二階堂に対する印象を尋ねられると「役は嫌な女ですけどね(笑)。本人は本当に素敵な役者さんであるし、中身もとても柔らかくて、非常に賢明であり、僕はとても尊敬する役者さんだったので、今回は初めての共演だったんですけど、非常に嬉しかったですね」と初共演を楽しんだ様子だった。

「2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン」

二階堂ふみ、磯村勇斗、塚尾桜雅、アイナ・ジ・エンド(C)モデルプレス
大正13年より続く歴史ある映画賞キネマ旬報ベスト・テンは、今回で97回目の開催。助演女優賞を二階堂、助演男優賞を磯村が受賞したほか、主演女優賞に趣里、主演男優賞に役所広司、新人女優賞にアイナ・ジ・エンド、新人男優賞に塚尾桜雅が決定。なお、趣里は体調不良で欠席となり、代理として塚本晋也監督が登壇。海外にいるため出席が叶わなかった役所広司とヴィム・ヴェンダース監督が寄せたメッセージも上映された。(modelpress編集部)

「2023年 第97回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」受賞一覧

(上段左から)山田滋天氏、松下剛氏、高崎卓馬氏、財津吉浩氏、原田満生氏、井上実氏、川本三郎氏(下段左から)瑠東東一郎監督、磯村勇斗、二階堂ふみ、アイナ・ジ・エンド、阪本順治氏、塚本晋也監督(C)モデルプレス
日本映画ベスト・テン第1位 『せかいのおきく』(監督:阪本順治/配給:東京テアトル、U-NEXT、リトルモア)
外国映画ベスト・テン第1位 『TAR/ター』(監督:トッド・フィールド/配給:ギャガ)
文化映画ベスト・テン第1位 『キャメラを持った男たち-関東大震災を撮る-』 (演出:井上実/配給:記録映画保存センター)

日本映画監督賞 ヴィム・ヴェンダース 『PERFECT DAYS』
日本映画脚本賞 阪本順治 『せかいのおきく』
外国映画監督賞 トッド・フィールド 『TAR/ター』
主演女優賞 趣里 『ほかげ』
主演男優賞 役所広司 『PERFECT DAYS』『ファミリア』『銀河鉄道の父』
助演女優賞 二階堂ふみ 『月』
助演男優賞 磯村勇斗 『月』『正欲』『渇水』『最後まで行く』『波紋』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』
新人女優賞 アイナ・ジ・エンド 『キリエのうた』
新人男優賞 塚尾桜雅 『ほかげ』
読者選出日本映画監督賞 瑠東東一郎 『Gメン』
読者選出外国映画監督賞 マーティン・スコセッシ 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
読者賞 川本三郎 連載『映画を見ればわかること』
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