「あまちゃん」が視聴者の心を掴んだ理由とは?

「あまちゃん」が視聴者の心を掴んだ理由とは?

2013.09.28 05:00

9月28日にいよいよ最終回を迎えるNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。第24週までの平均視聴率20.42%、現時点での最高視聴率27.0%(9月16日)と高視聴率を記録している。社会現象といわれるまでのヒットとなった今作の魅力を、モデルプレスは今回、<女優編><俳優編><脚本・音楽編>の3つに分類し、独自の視点から分析した。

同作は、脚本家・宮藤官九郎氏が「アイドル」と「村おこし」を核にオリジナル脚本を手がけた“人情喜劇”。舞台は東京から遠く離れた、東北・北三陸の小さな田舎町。引きこもりがちな高校2年生・天野アキ(能年玲奈)が一人前の「海女さん」を目指すことにより、町を盛り上げるアイドルとして光り輝く存在へと成長する姿を暖かな眼差しで描く。

今回は、そんな「あまちゃん」の魅力<脚本・音楽編>を紹介する。

1.朝ドラの王道・ヒロイン成長物語

物語の大筋は、朝ドラの王道・ヒロインの成長物語。アキの精神的な成長を通して、周りの人間の変わっていく様や被災地の復興を描き出している。

つい応援したくなるようなキャラクターばかりが登場し、すべての人物が個性的。どのキャラクターに感情移入するかは視聴者次第だが、登場人物を応援しながら、自分も一緒に成長した気分にさせてくれる朝ドラらしいストーリーだ。

2.細かいギャグとコミカルなやりとりが魅力、クスリと笑えるコメディ感

朝ドラの王道とはいっても、そこに留まらないのが「あまちゃん」。宮藤官九郎氏のエッセンスが随所に散りばめられており、そこにハマる視聴者が続出。思わずクスリと笑えるコメディ感はもちろんだが、勝地涼演じた“前髪クネ男”などインパクトのあるキャラクターも宮藤氏ならでは。朝から一笑いさせてくれるドラマで、日本中を元気づけた。

3.ヒロイン・能年玲奈をはじめとする絶妙な配役とキャラ立ち

ヒロイン・能年玲奈の配役は「あまちゃん」の成功を語る上では、外せない。何色にも染まっていない純真無垢なイメージがアキにぴったりで、彼女の女優としての成長と役柄の成長はどこか重なるものがあった。

また、親友・ユイ役の橋本愛や母・春子役の小泉今日子をはじめとするメイン出演者たち、さらには、北三陸駅・副駅長、吉田正義役の荒川良々、「無頼鮨」の大将・梅頭役のピエール瀧らアキを取り巻く俳優陣に至るまで、その配役は絶妙。「この人以外にこの役を演じることはできなかったのでは?」と思わせるほどのハマり具合とキャラ立ちで視聴者を最後まで飽きさせなかった。

4.「あまちゃん」ブームを支えた「じぇじぇじぇ」というフレーズ

「あまちゃん」とともにブームとなったのが「じぇじぇじぇ」というフレーズ。物語の舞台である岩手県で、驚いたときや感動したときに使われるこのセリフを劇中で多用した。

“じぇ”の数でその驚きや感動具合を表現するという、分かりやすく覚えやすいこのフレーズは瞬く間に巷で流行。「あまちゃん」本編の人気を後押しする形となり、今年の流行語大賞も狙える勢いだ。

5.物語を盛り立てる名曲の数々

「あまちゃん」には、物語のキーポイントとなる「潮騒のメモリー」やGMT47が歌う「暦の上ではディセンバー」「地元に帰ろう」など多くの名曲が存在する。

1曲1曲の背景にも心揺さぶられるストーリーがあり、それが本編にも関わってくる。それにより、物語と楽曲はより深みを増した。また、その人気ぶりは劇中の挿入歌が収録された「あまちゃん 歌のアルバム」(2013年8月28日発売)がアルバムランキング1位に輝いたことからも明らかで、耳馴染みの良いメロディとメッセージ性の強い歌詞が視聴者の心を強く打った。

以上、モデルプレスが考える「あまちゃん」の魅力<脚本・音楽編>はいかがだっただろうか?

最終回では、一部復興した北鉄、海開きが行われる由比ヶ浜を中心に2012年7月1日の北三陸の様子が描かれる。半年間駆け抜けた同ドラマの結末に注目だ。(モデルプレス)

平成25年度前期NHK連続テレビ小説「あまちゃん」出演者(左から)古田新太、薬師丸ひろ子、能年玲奈、松田龍平、松岡茉優
平成25年度前期NHK連続テレビ小説「あまちゃん」出演者(左から)古田新太、薬師丸ひろ子、能年玲奈、松田龍平、松岡茉優
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