堀江貴文“負の着眼点”から人気店に 従来と一線を画す徹底戦略を原明日夏と語る 次に狙うは“ネオご当地グルメ”<モデルプレスインタビュー>
2023.09.09 08:00
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ホリエモンこと堀江貴文(ほりえ・たかふみ/50)が、自身でプロデュースする「おすし屋さんのポークたまごおにぎり」の店長を務める原明日夏(はら・あすか/33)とインタビューに応じた。原宿で人気を博す店舗の戦略をはじめ、コロナ禍での苦労、今後の展望、さらには夢を叶える秘訣などを語ってくれた。
堀江貴文氏がプロデュース「おすし屋さんのポークたまごおにぎり」
沖縄以外の地域ではなかなか見かけることのない“ポークたまごおにぎり”をもっと身近に、美味しく食べてもらいたいという想いから2021年10月30日にオープン。酢飯×スパム× 築地丸武の玉子焼きというお寿司屋さん風のアレンジ、食べやすいサイズ感、味のバリエーションなどが人気を博し、ワイドショーでも多々紹介されるほど。大相撲五月場所では両国国技館でも販売され、最近は外国人観光客の人気スポットに。9月10日~24日まで行われる大相撲 九月場所でも毎日売店で販売される。
堀江貴文&原明日夏、考え抜かれたポークたまご戦略
― ポークたまごおにぎりのお店をプロデュースしたきっかけを教えてください。堀江:ポークたまごおにぎりは色々と負を抱えているという話から始まりました。これはおにぎり全般にも言えることで、海苔で巻いてしまうと写真を撮ってもらえず映えない。Instagramなどでの拡散が狙えないので、どうしたら良いかを考えました。
これは、飲食店の職人文化も関係していて、元々職人さんは「10年間修行すればお前も店持てる」っていう一種のセーフティーネットが機能していて、頑張っていれば自分の店を持てて、所帯を持って、定年まで働けて…みたいなある意味クローズドな世界で、いい意味でも悪い意味でも親方に教わったことが全てだった。だから、ポークたまごおにぎりも昔からあるものが変わらずそのまま、映えないままだったので、どうやったら映えるかを考えました。
― 具体的にどのような工夫をしたんですか?
原:まず半分にカット。断面が見えて“萌え断”になると考えつきました。
堀江:半分にカットしたもう1つの理由として、色々な味を試して欲しいと思ったから。ポークたまごおにぎり1つだと重く感じてしまうような少食な方にも、1つで2つの味を楽しめるようにしたかったんです。もう少し食べたいという方にとっては2つ購入することで半切れずつシェアできるように。
そのため土台となるご飯も、友人のシェフに頼んで、試食会を開くなど試行錯誤して、現在販売している形の酢飯にたどり着きました。
原:ただの白米だと味が想像できてしまうので、酢飯の方が絶対に良いと思いました。
堀江:それで、酢飯だから築地の卵焼きでいいんじゃないのって。全ての商品で同じ大きさ、味で揃え、それを大量に作るのは難しいんだよね。卵焼きは、世間で3年かかるって言われてるから、だったら築地の卵焼きを買ったほうがいいよねって。
― あの形と味も計算し尽くされたものだったんですね。
堀江:あとは、僕自身が飲食店で提供に時間がかかることが気掛かりだったので、とにかく注文から提供までの時間を短く。ラップで包む工程も時間がかかる要因の1つだから、ラップで包まずペーパーに乗せて提供するスタイルに。ポークたまごおにぎりを半分にカットするロボットも導入し、従業員がいかに簡単に素早くお客様へ提供できるかを徹底的に追求しました。
原:全部規格化することで時間も味も一定なのでメリットも大きいです。
― 誰でも同じ商品が供給できると店舗の展開もしやすいですね。
堀江:築地の卵を使っているので地方に行っちゃうと卵をどうやって確保するかっていう問題もあるんだけど、数をこなせば作ってくれるメーカーさんは出てくると思う。まあ、実は良く考えられてるんです。良いのか悪いのかわかんないけど、提供が早いからうちの店の前に行列ができないっていう(笑)。
原:(笑)。沖縄の空港に行くとポークたまごおにぎりの店の前は大行列ができていますよね。
堀江:そうなの。一方で、我々の店は提供までに時間もかからず、中身も別の店で売っているものを組み合わせているため、味もブレない。店を開店するまでの段階で、議論を詰めて計算し尽くし準備できた結果が現状に表れていると思います。
最近はイベントも増えて、現場への差し入れとしてちょうど良いサイズ感やボリュームで、片手で食べることができる手軽さが忙しいスタッフなどにも重宝されてるんです。
原:差し入れを用意する側の方に選択肢の1つとして認識されているのはすごく嬉しいです。
堀江貴文&原明日夏、コロナ禍の苦労を語る
― 出店時はまだコロナ禍だったので苦労も多かったと思いますが、どのような状況でしたか?原:原宿なのにお客さんが全くいない状況で、イベントもなくなっていたため大量注文などもなく本当に苦労しました。今は落ち着いて、外国人の方も含め街に人が増えてきたのでかなり回復しています。
― 数々の飲食業をプロデュースする堀江さんも当時は苦労することが多かったのではないでしょうか?
堀江:飲食ビジネスだけは本当に苦労した。当時ほかのビジネスはコロナ禍の影響を大きく受けなかったんだけど、飲食だけはどうしてこんなにもって結構イライラしてた。
― どういうことがネックでしたか?
堀江:余計な苦労させられたというか、コロナ対策に追われて「なんで俺のリソースをこんなに使わなきゃいけないんだよ」みたいな。当時大変だった分、今はだいぶ楽。
堀江貴文“ネオご当地グルメ”展望を語る
― 観光客も増えてお店も順調かと思いますが、今後の展望はどのように考えていますか?原:1番はお店を沖縄に出したいと考えています。身近なところだと、オペレーションに関しては堀江さんから色々なアドバイスをいただいたので、誰でも働ける職場を作りたいです。
最近「初めてのアルバイトです」という19歳の子が入社したのですが、初めてとは思えない働きぶりなので、こういった働きやすい環境を強みに今後も展開していけたらと思っています。
― 飲食プロデュースの面で堀江さんの今後の展望は?
堀江:ご当地グルメを色々やっていきたいんですよ。那覇空港にあるポーたまも“ネオポーたま”というか、ちょっと変わった美味いポーたまを作ったことが革新的だと思っていて。そういう“ネオご当地グルメ”をやっていきたいと思います。
― 具体的に考えているものは?
堀江:沖縄そば屋。味もほぼ完成していてあとは良い物件に巡り合えれば。今沖縄がすごいバブルで国際通りも人が多いけど、“沖縄そばの決定版”がないからそれを作ろうと。
ラーメンブームが起きて美味しいラーメンがたくさん出てくるような状態を作りたいけど、今はまだ昭和40年代のラーメンのよう。沖縄でそばを食べる度に「もっとこうしたら美味しいのに」とか「もう少し工夫すれば美味しくなりそう」って思っていたので進めています。
― “ネオご当地グルメ”はどんどん拡がりそうですね。
堀江:地方行くとマジで昭和で止まってるんですよ。競争がないっていうのと、さっきのセーフティーネットによる閉じられた世界で。難しい作業じゃないけどプロ用語が参入障壁になってて、でも今はYouTubeでどんどんそういう作業がバレてるから、めちゃくちゃ参入するようになったし、どの業界よりも素人が上手くなってる。
パティシエは1gでも間違えただけでダメになるけど、料理は少しいい加減にやっても成立するんですよね、だから職人の世界になっているのもあるかな。
身も蓋もないけど、味を安定させたり工場で出来ることは全部工場に任せちゃったり工夫の余地はいくらでもあると思う。
堀江貴文&原明日夏が悲しみを乗り越えた方法
― お2人は新規事業の立ち上げやプロデュースなどを行っている中で葛藤や困難なことがあったと思いますが、これまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」「壁を乗り越えたエピソード」を教えてください。原:私は、堀江さん含めポジティブな人の近くにいるようにして乗り越えています。芸能界にいた頃は、勝手にキャラ付けをされて本当の自分を出せない時期もあり、キャラ作りに思い悩み辛いことも経験しました。その時に、堀江さんや周りにいるポジティブな人に話して聞いてもらうことで復活できたので、自分が身を置く環境や周囲の人間関係が1番大事なのではと思っています。
堀江:そんなに悲しむことはないけど、短期的には酒飲んで忘れる(笑)。長期的には考える時間がなくなるぐらい忙しくする。壁に対しては、いつも背伸びをする。自分でしかハードルは上げられないから、自らハードルを上げて常に目線を高くもって乗り越えてく。
上手くいかない人の特徴って、自分でやることを選んじゃってるんだよ。「時間あるんだったら全部試せよ」って思うけど、「試して上手くいかなかったら嫌だ、失敗したくない」って大体の奴が言う。100個やれば1~2個は当たるのに。
僕も自分で馬鹿なんじゃないかってぐらい色々やってますね。「なんで俺これやってんだろう」って思うときありますもん(笑)。
原:でも、楽しそうですよね。
堀江:そう!上手くいってハードルを越えられた時の達成感はすごいですよね。やっぱ人間としてもレベルアップしてますよね。頭の中でレベルアップの音楽が聞こえる。
堀江貴文&原明日夏の夢を叶える秘訣
― 最後に、夢を追いかけているモデルプレス読者に向けて堀江さんと原さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。原:私は口に出すことが夢を叶える秘訣だと思っています。ポークたまごおにぎりに関しても「やりたい」「こういうお店を出したい」とどこに行っても口に出していたので、堀江さんの耳に入って、実際に叶えることができました。夢を口に出すことを大事にしています。
堀江:たしかにそれは大事。「夢がない」「目標がない」と言う人がいるけど、みんな叶えられなかったときに恥ずしいから口に出さないだけなので「嘘つけ」って思うんです。言わないと一生叶わないし、チャンスも巡ってこないし、その先にあるしつこさとか図々しさも大事。
エピソードが2つあって、1つは2005年6月、スタンフォード大学卒業式辞でのスティーブ・ジョブズのスピーチの締め括りとして有名な「Stay hungry, Stay foolish」。まさにこの精神。彼は高校生ぐらいから、電話帳で企業とか社長に直接電話かけまくって、起業への道を自ら切り開いてた。この時に無理な頼み事を聞いてもらって、助けられた経験があるから、ジョブズ自身は誰かに頼み事をされたらできるだけ応じるようにしてるらしい。だから、僕自身もダメ元で色々な人にお願い事してる。やっぱ、声に出すことで誰かの耳に留まることもあるから。そこに偶然の出会いなどが重なって、叶うことだってある。
これに繋がるのが、昔話の「桃太郎」や「竹取物語」。「桃太郎」のお婆ちゃんのすごいところは川に流れてきた桃を拾ったこと。あの大きな桃はたぶん、川で洗濯してる何百人もの人が目にしたはずだけど、お婆ちゃんだけが拾った上に割った。巨大な桃が突然流れてきたら不気味に思うはずなんだけど、逆にそこで動いた行動力と物怖じしないところが偉大なんだよね。「竹取物語」でいうと、光ってる竹をたくさんの人が目にした中で、物語に登場する老夫婦はその竹を気に留めて割った。流れてきた桃、光っていた竹を拾える人こそが成功できる。大半が桃や光ってる竹を目にしてるはずなのに「今はタイミングじゃない」と自分で勝手に判断しちゃって、逃してるんだよ。まだ何者でもないのに、タイミングって言い訳をするんじゃなく、全部拾え。面倒くさって思っても全部拾えば、何かしらの道に繋がっていくんだから。
― 貴重なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
「おすし屋さんのポークたまごおにぎり」概要
・店舗名「おすし屋さんのポークたまごおにぎり」・住所:東京都渋谷区神宮前6丁目2-7
“ポークたまごおにぎりをもっと身近に、もっと美味しく”をテーマに、2021年10月30日に原宿に開店。食べやすいハーフサイズに切って提供。12種類の味が選べ、誰かとシェアしたくなるような仕様となっている。デリバリー・ケータリングも対応可。
堀江貴文(ほりえ・たかふみ)プロフィール
1972年10月29日、福岡県⼋⼥市⽣まれ。実業家。現在は、スマホアプリのプロデュース、有料メールマガジン「堀江貴⽂のブログでは⾔えない話」の配信、会員制コミュニケーションサロン「堀江貴⽂イノベーション⼤学校」の運営など、幅広く活躍。YouTubeチャンネルの登録者数は171万人を突破(※8月中旬現在)している。原明日夏(はら・あすか)プロフィール
1989年12月28日、北海道生まれ。2008年から芸能活動を開始し、「王様のブランチ」リポーターやアイドルグループ「Chu-Z」で活動。芸能界引退後、2021年、東京・原宿に「おすし屋さんのポークたまごおにぎり」をオープン。店長と店舗経営の会社の代表を務める。
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