本人も気づかない?「グレーゾーン」とは。発達障害の診断名との違い
「発達障害ではない」と言われても、生きづらさは消えない……そんな経験はありませんか。今回は「グレーゾーン」という状態を紹介します。
「発達障害グレーゾーン」とは何を指す言葉なのか
診断基準の「一部」に当てはまる状態を指す通称グレーゾーンとは、発達障害の特性がいくつか見られるものの、正式な診断名がつくほどには当てはまらない状態を指す通称です。医学的な病名ではなく、あくまで状態を表す言葉として使われています。たとえば、集中力の続きにくさや忘れっぽさが人より目立つのに、専門機関に相談しても「診断の基準には届かない」と言われるケースがこれにあたります。
「白か黒か」ではなくグラデーションで捉える考え方
発達障害は、白か黒かのようにはっきり分かれるものではなく、特性の強さや現れ方に連続的な幅があると考えられています。グレーゾーンは、その中間あたりに位置する状態と言えるでしょう。「診断がつかない=まったく問題がない」というわけではなく、程度の差として捉えると理解しやすいかもしれません。
症状が軽いからではなく基準の数が足りないだけ
グレーゾーンと聞くと「症状が軽い人」というイメージを持たれがちですが、必ずしもそうとは限りません。困りごとの現れ方が診断の基準に届かなかっただけで、本人が感じている生きづらさの重さとは別問題だからです。むしろ、診断を受けた人と同じくらい苦労している場合もあります。
正式な病名がついていないだけの苦しさがある
診断名がつかないことで「気にしすぎ」「そういう人は普通にいる」と受け止められてしまい、しんどさを言葉にしづらい人も少なくありません。病名という後ろ盾がない分、周囲にも自分自身にも理解してもらいにくい、グレーゾーンならではのつらさがあるように思います。
グレーゾーンの人が日常で感じやすいこと
得意・不得意の差が大きく「甘え」と誤解されやすい実際の生活の中では、こんな場面で戸惑いを感じている人が多いようです。得意なことは人並み以上にこなせるのに、特定の作業だけ極端に苦手……という差が、本人にも周囲にも理解されにくいことがあります。「あれだけできるのに、これができないのはやる気がないからだ」と受け取られてしまい、甘えだと誤解される場面も少なくありません。
周囲に相談しても「気にしすぎ」で片付けられがち
誰かに相談しても「みんな多かれ少なかれそういうところあるよ」と流されてしまい、深刻に受け止めてもらえないことがあります。悪気のない一言でも、本人にとっては孤立感を強める原因になりやすいのです。
診断がつかないことで支援の対象外になりやすい
正式な診断がないと、職場や学校で配慮を申し出るときの説明材料が少なく、支援を受けにくい状況に置かれることがあります。「困っているのに、公的な支援の枠から外れてしまう」というもどかしさを抱える人もいるようです。
本人も「自分の性格の問題」と思い込んでしまう
周囲だけでなく、本人自身も「これは自分の性格や努力不足のせいだ」と結論づけてしまいがちです。原因が特性にあると気づかないまま自分を責め続けてしまうと、しんどさはどんどん積み重なっていきます。筆者の知人女性は、長年「片付けられないのは自分がだらしないせいだ」と思い込んでいたそうですが、後になって特性の影響を知り、少し肩の荷が下りたと話していました。
グレーゾーンの人・その周りの人ができる向き合い方
「特性」として捉え直し、性格の欠点と切り離す次のような視点を持っておくと気持ちが楽になるかもしれません。苦手なことを「性格の欠点」ではなく「特性による困りごと」として捉え直すと、必要以上に自分を責めずに済むようになります。原因を人格の問題にしないことは、当事者にとっても周囲にとっても、関わり方を考えるうえでの土台になるはずです。
得意な形でカバーできる工夫を一緒に探す
苦手な部分を無理に克服しようとするより、得意なやり方でカバーできないかを一緒に考える方が現実的なことが多いです。メモを取る、リマインダーを使うなど、その人に合った工夫を探る姿勢が助けになります。
一人で抱え込まず、話せる相手を持っておく
グレーゾーンという言葉自体がまだあまり知られていないため、一人で抱え込んでしまう人も少なくありません。信頼できる相手に状況を話せるだけでも、気持ちの負担はずいぶん変わってくるものです。
「治す」ではなく「付き合い方を見つける」視点を持つ
グレーゾーンの特性は、なくそうとするものではなく、うまく付き合っていく対象として捉える方が現実的です。完璧を目指さず、少しずつ自分に合ったペースを見つけていく姿勢が、長い目で見て気持ちの負担を減らしてくれると思います。
「グレーゾーン」という言葉と付き合っていくために
「グレーゾーン」は、正式な診断名がつかないというだけで、本人が抱える困りごとまで軽く扱ってよい理由にはなりません。程度の差はあっても、生きづらさそのものは本物です。もし自分や身近な人の様子が気になる場合は、一人で判断せず、専門機関に相談してみることをおすすめします。
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