「私、何してる人なんだろう」人気コスプレイヤー・蒼乃爽が語る、多才ゆえの葛藤
公式コスプレイヤーとして国内外のイベントで活躍する蒼乃爽。舞台役者や被写体モデルとしても活動の幅を広げているが、多彩なキャリアゆえに「自分でも何をしている人なのか分からなくなる」と笑う。そんな彼女が、アメリカ最大級のアニメイベントで得た新たな発見とは──。(前後編の前編)
――コスプレイヤーとしてだけでなく、舞台役者やモデルなど幅広く活動されています。「あなたは何者ですか」と聞かれたら、どう答えますか?
蒼乃 本当に難しいんですよ(笑)。自分でも「私って何をしている人なんだろう」って思うことがよくあります。この前、海外のイベントに出演したときも、入国審査で職業を聞かれてすごく困りました。
――確かに、一言で説明するのは難しそうですね。
蒼乃 そうなんです。「何の仕事をしているの?」と聞かれたので、「事務所に所属していてモデルをしています」と答えたら、「広告モデル? ファッションモデル?」と聞かれて。でも私は被写体モデルの仕事が中心なので、「ちょっと違うんです……」となってしまって(笑)。そのとき改めて、「私って何者なんだろう」と考えました。今年の後半は、「自分はこういう人です」と胸を張って言えるようになりたいですね。
――ご自身でも迷うくらい、さまざまなジャンルに挑戦されているんですね。
蒼乃 「全部中途半端」と言うと少し違うんですけど、得意なことはたくさんある反面、「これだけは誰にも負けない」というものがまだ見つかっていない感覚なんです。コスプレも舞台もモデルも、全部80点くらいで止まっている気がしていて。今は「自分に一番合うものは何だろう」と探している最中ですね。一番難しい時期なのかもしれません。
――それでも一つに絞ろうとは思わないんですね。
蒼乃 やっぱり、いろいろな場所にいられるのが楽しいんです。それぞれの現場で出会う人も違いますし、舞台には舞台の、コスプレにはコスプレの、被写体には被写体のコミュニティがあります。全部空気感が違って、それぞれに居場所があるんですよ。一つだけに絞ってしまうと、自分の世界が狭くなってしまう気がするんです。
――それぞれ、どんな違いがありますか?
蒼乃 共通しているのは、優しい人が多いことですね。みんな自分が好きな世界にいるからか、温かい雰囲気があります。その中でも舞台は芸能の世界なので、少しピリッとした空気がありますね。悩みを抱えていても表に出さない人が多い印象です。でも「明日までにセリフ覚えなきゃ」と言えば、「じゃあ付き合うよ」と助け合える関係があるのはすごく好きです。
――コスプレやモデルの現場はいかがですか?
蒼乃 コスプレだと、「次はどのキャラをやろう」「SNSには何を投稿しよう」みたいな話題で盛り上がります。モデルや被写体のコミュニティは、一番居心地がいいかもしれません。「今日疲れたね」と言えば「お疲れさま」と自然に声をかけてもらえるような温かさがあります。そのときの自分に合った居場所を選べるのも魅力ですね。
――表現方法も、それぞれ違いますよね。
蒼乃 そうですね。舞台はセリフを通して感情を伝えますが、コスプレは言葉ではなく、立ち姿や表情、ポーズなど体全体でキャラクターを表現しなければいけません。その違いがすごく面白いです。実はアメリカ最大級のアニメイベントに4日間参加したとき、大きな気づきがあったんです。
――どんな気づきだったのでしょうか。
蒼乃 日本のイベントだと、たくさんの方が囲んで撮影してくださることが多いんです。でもアメリカでは、ほとんどがファンの方とのツーショット撮影でした。「このポーズをしてください」とリクエストをいただいて、それに応える形が中心だったんです。さらに今回はスタッフさんがずっと動画を撮ってくださっていて、それを見返したときに初めて、「待ち時間ってこんな立ち方をしていたんだ」と客観的に知ることができました。
――撮影されていない時間の自分を見る機会は、なかなかありませんよね。
蒼乃 そうなんです。それを見て、「ここは改善できるな」と気付けました。初日に反省点が見つかったので、その後の3日間は「次はこうしよう」「もっと動きをつけよう」と意識して取り組めたんです。イベントを通して、一段レベルアップできた気がしています。
――これだけ幅広く活躍されていると、周囲からは順風満帆に見えるかもしれません。
蒼乃 アメリカのイベントに出演したことも、「爽ちゃん、いいな」「ずるいな」と思われるかもしれません。でも、そこへ行くまでには本当にたくさん挫折もしてきました。その積み重ねがあって、ようやくつかめた小さな成功なんです。だから、今見えている結果だけじゃなく、その裏側も知ってもらえたらうれしいですね。
プロフィール▽蒼乃爽(あおの・そう)7月31日生まれ、神奈川県出身。身長163センチ。コスプレイヤー、舞台役者、被写体モデルとして活動。3歳から続けるバレエで培った表現力を武器に、国内外のイベントに出演する。特技はバレエと「どこでも寝られること」。アスリートフードマイスターの資格も持つ。
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