「人生が変わりました」その言葉が原動力 『ミセスユニバースジャパン』主催者が語る“本当の美しさ”
「人生が変わりました」──。大島一恵氏が10年間にわたり活動を続けてこられた原動力は、『ミセスユニバースジャパン』に参加した女性たちから寄せられる、その一言だった。コンテストには、年齢も職業も異なる女性たちが集う。その挑戦が、家族との関係や人生そのものを大きく変えていく姿を、大島氏は何度も見届けてきた。後編では、2022年『ミセスユニバースジャパン』ファイナリストの藤井富士子さんも同席。介護の日々から一歩踏み出した挑戦、そして難病やコロナ禍を乗り越えて活動を続けてきた大島氏の歩みと、「本当の美しさ」について話を聞いた。(前後編の後編)
「女性に生まれたからには、一度くらいティアラを着けてみたいと思ったんです」そう語るのは、2022年『ミセスユニバースジャパン』ファイナリストの藤井富士子さん。寝たきりの家族を介護する毎日で、自分のことはいつも後回し。そんな日々を送っていた彼女もまた、このコンテストへの挑戦をきっかけに人生が大きく変わった一人だ。
――藤井さんご自身は、どのようなきっかけで挑戦されたのでしょうか。
藤井 当時は寝たきりの家族の介護が続き、心にも体にも余裕がありませんでした。一気に15キロ以上痩せてしまったほどです。そんなとき、友人から「せっかく痩せたんだから挑戦してみたら」と『ミセスユニバースジャパン』のInstagramを見せてもらいました。ティアラを着けて笑っている皆さんの姿を見て、「私もこんな世界に立ってみたい」と思ったんです。
――相当勇気が必要だったのでは?
藤井 本当に勇気がいりましたね。「私なんかが出ていいのかな」「笑われるんじゃないかな」という気持ちばかりで、最初は友人はもちろん、家族にも内緒でした。でも、ライブ配信審査が始まって隠せなくなり、思い切って家族に話したら、息子たちが「お母さん、よかったね」「やっと自分の時間が持てるね」と喜んでくれたんです。私は30年近く子ども中心の生活を送ってきました。だから、自分の挑戦を家族が応援してくれるなんて思ってもいませんでした。その言葉が本当にうれしくて、「挑戦してよかった」と心から思えました。
大島 ご主人も本当に応援されていましたよね。
藤井 はい(笑)。今でも会社や飲み会で「これ、うちの妻なんですよ」と写真を見せてくれるみたいです。外見だけではなく、立ち居振る舞いや人との接し方など内面も学ばせてもらいました。私にとって、このコンテストは人生を変えてくれた場所です。
――藤井さんのように、人生が変わったという方は多いのでしょうか。
大島 本当にたくさんいらっしゃいます。特に印象に残っているのは、親子で出場されたお二人です。娘さんが仕事を辞めて実家へ戻られたことで、1年近くほとんど会話がなかったそうなんです。でも、コンテストという共通の目標ができ、一緒にレッスンへ通い、美容について話すうちに自然と会話が増えていきました。大会後、「一番よかったのは親子関係が変わったことです」と話してくださった言葉が今でも忘れられません。
また、30年以上介護の仕事を続けてきた女性もいました。家族や利用者さんを優先する毎日で、自分のことはいつも後回し。メイクもおしゃれもほとんどしてこなかったそうです。それでもコンテストをきっかけに少しずつ自分に目を向けるようになり、今では自らイベントを企画するほど活動的になられました。周囲から「変わったね」と言われるそうですが、ご本人は「変わったんじゃなくて、本来の自分に戻っただけ」とおっしゃっていて。その言葉がとても印象に残っています。
――「新しい自分」ではなく、「本来の自分を取り戻した」という感覚なんですね。
大島 そうなんです。結婚や子育て、仕事など、それぞれの役割を一生懸命果たしてきた結果、本来の自分を後回しにしてしまう女性は少なくありません。だから私は、このコンテストは女性を変える場所ではなく、「自分らしさを思い出す場所」なんじゃないかと思っています。
そうした参加者たちの存在が、大島氏自身を支えた時期もあった。2019年、大島氏は難病「もやもや病」を発症し、約半年間活動を休止することになる。
大島 そのとき、過去の出場者の皆さんが「私たちが手伝います」「絶対にやめないでください」と声を掛けてくださったんです。「人生を変えてもらったんだから、今度は私たちが支えます」と言ってくださる方もいて、本当に救われました。体調が少しずつ回復し、翌年の大会へ向けて準備を始めた矢先、今度は新型コロナウイルスが流行しました。予定していた大会は中止となり、チケットはすべて払い戻し。一度は「もう続けられないかもしれない」と思いました。それでも活動は終わりませんでした。コロナ禍で立ち止まる時間ができたことで、「何か新しいことに挑戦したい」と考える女性が増えたんです。応募者も増え、活動は新たな広がりを見せました。「やめよう」と思った出来事が、結果的には次のステージへ進むきっかけになったんです。
――10年間で1000人以上の女性と向き合ってきた今、大島さんが考える「本当の美しさ」とは何でしょうか。
大島 たくさんの女性と出会ってきて思うのは、本当に美しい人は「与えられる人」だということです。周りを明るくしたり、人を笑顔にしたり、自分が持っているものを誰かのために使える人。そういう方は年齢や職業に関係なく、本当に輝いて見えます。少し勇気を出して一歩踏み出せば、人は何歳からでも変われる。その瞬間を私はこの10年間、何度も見てきました。
――現在はコンテスト以外にも、新たな取り組みを進められているそうですね。
大島 はい。最近は本も出版しましたし、コンテストには出場しなくても、「自分を磨きたい」「ビューティープログラムやレッスンを受けたい」という女性も増えています。コンテストはもちろん大切な活動ですが、それだけではなく、年齢に関係なく挑戦できる場所をもっと増やしていきたい。今はそこにも力を入れています。
――年齢や家庭環境を理由に、一歩踏み出せないと感じている読者へメッセージをお願いします。
大島 私は「何もない人なんていないし、きれいじゃない人なんていない」と本気で信じています。誰にでも必ず、その人だけの魅力や強みがあります。ただ、自分では気づいていないだけなんです。だから、「もう年だから」「私なんて」と思わずに、やってみたいと思ったことにはぜひ挑戦してほしいですね。
――何か新しいことを始める最初の一歩として、おすすめはありますか。
大島 特別なことじゃなくていいんです。例えば、普段とは違う場所へ行ってみる。いつもと違う道で帰ってみる。そんな小さな変化だけでも十分です。
――本当に小さな一歩ですね。
大島 はい。でも、その小さな変化が新しい発見につながることは意外と多いんです。その積み重ねが、「じゃあ次はこれもやってみよう」という次の一歩につながっていく。だから私はこれからも、「私なんて」と諦める人ではなく、「挑戦してよかった」と笑える人を、一人でも増やしていきたいと思っています。
▽大島一恵(おおしま・かずえ)Bellissima Japan株式会社代表取締役。『ミセスユニバースジャパン』主催者・ナショナルディレクター。2016年に同社を設立し、10年間で延べ1000人以上の女性と向き合う。2015年「World Beauty Queen」世界大会優勝。ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校で応用社会心理学修士号を取得。香港・台湾・タイ・シンガポールなどアジア各国で広告モデルとしても活動。
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