撮影:たむらとも

ハ・ヨンス「20代は気になるものすべてに挑戦してきた」役に重ねた来日当時の記憶

2026.07.01 08:03
提供:ENTAME next

韓国で活躍し、NHK連続テレビ小説『虎に翼』やTBSドラマ『DREAM STAGE』への出演で日本でも注目を集めたハ・ヨンス。公開中の『ディッシュアップ』で日本映画初出演を果たした。主演の青柳翔とともに、多国籍なキャストが織りなす人間模様を体当たりで演じた彼女に、撮影現場で感じたこと、自身と重なる部分も多いというキム・ジュリという役への思い、そして共演者たちとの撮影秘話を語ってもらった。(前後編の前編)

――6月20日に主演の青柳翔さん、三河悠冴さん、池本陽海監督とともに『ディッシュアップ』の公開記念舞台挨拶を行いましたが、いかがでしたか。

ハ・ヨンス 日本で映画の舞台挨拶は初めてだったので緊張しました。直前まで場内の様子も分からなかったので、マネージャーさんに「お客さんはいますか?」なんて聞いたりして(笑)。それくらい心配だったんですけど、新宿のK’s cinemaは完売だったと聞いてホッとしました。

――舞台挨拶では堂々とお話をされていたと聞きました。

ハ・ヨンス 1人だったら上手く話せなかったと思います。青柳さん、三河くん、池本監督がいてくださったから、安心してなんとかできました。以前、ドラマ『DREAM STAGE』(TBS)のイベントに登壇したときはガチガチでロボットみたいな状態。あのときに比べたら、だいぶ慣れたと思います。

――『ディッシュアップ』のオファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。

ハ・ヨンス 「日本の映画に出たい!」というのが、日本で俳優活動を行うと決めたきっかけの一つだったのでうれしかったです。主演の青柳さんをはじめ、たくさんの方から学べることがありますし、いい経験になるだろうなと思って受けさせていただきました。ただ撮影期間がタイトと聞いていたので、それが心配で。「大丈夫かな。ちゃんと演じ切ることができるのかな」という不安もありました。

――撮影現場で戸惑うこともありましたか。

ハ・ヨンス 日本の映画現場が初めてだったので、専門用語で分からないことがたくさんありました。たとえば「なめる」は初めて聞く表現でした。ドラマの現場でも専門用語が分からなくて戸惑ったことがあったので、ニュアンスで理解して乗り越えていきました。

――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。

ハ・ヨンス 私が演じる韓国から和食を学びに来日したキム・ジュリが、お食事処『ゆりえ』で働きながら、店主の上原譲治(青柳)と恋に落ちた、というありきたりなラブストーリーではなく、人と人とのつながり、すれ違いなど、日本、韓国、ベトナムと多国籍な人物たちの感情のぶつかり合いが面白くて、その中にファンタジーのような要素もあって印象的でした。同時に「これって本当に映像化できるのかな」と想像がつかないところもありました。どうやって撮るんだろうという期待と不安が入り交じった気持ちでしたね。

――キム・ジュリを演じる上で意識したことはありますか。

ハ・ヨンス ジュリは20代の頃の自分と似ているんですよ。正直、今は年齢を重ねて冒険をしなくなったというか、新しいことに飛び込む勇気を出せなくなって、安定した道を選びがちです。でも20代の頃は、気になるものはやってみないと分からないから、とにかく挑戦していました。だから一人で来日したジュリの気持ちは理解できます。あとジュリは思ったことをそのまま口に出しますが、それは素直で正直だからです。そこにも共感できましたし、20代の自分を思い出しながら演じました。

――自然体に近い役作りということでしょうか。

ハ・ヨンス そうです。無理やり作ろうとすると逆におかしいキャラクターになると思いましたし、服装、性格、好み、部屋のインテリアまで、池本監督の中でジュリのイメージがしっかりあったんです。だから私が何かを作って勝手に動くのではなく、池本監督に一つひとつ相談しながら、「ジュリだったらこうじゃないかな」というアドバイスを聞いて、一緒に役を作っていく感覚でした。

――青柳さんとは、すぐに打ち解けられましたか。

ハ・ヨンス はい。最初は先輩ですし、自分から話しかけたらご迷惑かなと思っていたんですが、優しい方なので、すぐに距離も縮まって。劇中にも出てくるかつらむきの大根をたくさん青柳さんの顔に載せたまま写真を撮るなど、イタズラばかりしちゃいました(笑)。主役としての重さがあるから、頼りたくなるボスのようなイメージもありつつ、イタズラも受け入れてくれる包容力もあって、学べることがたくさんある方でした。

――現場の雰囲気はいかがでしたか。

ハ・ヨンス みなさん優しくて、お互いを受け入れながら頑張って、一緒に作っていこうという熱量が伝わってくるんです。お食事処「ゆりえ」そのものの温かい現場でした。

――特に印象的だったシーンは?

ハ・ヨンス 3人でカンジャンケジャンを食べるシーンがあるんですが、3分以上、何もしゃべらずに黙々と食べ続けました。それを長回しで撮影するんですが、事前に何も言われていなかったので、これで合っているのか分からなくて……。しかも韓国で食べるカンジャンケジャンよりも、ワタリガニのサイズが小さくて、吸っても身が出てこないので苦労しました。ただ完成した作品を観ると、独特の空気感があって面白かったです。

――完成した映画を観て、ご自身の演技はどう感じましたか。

ハ・ヨンス 1年前の撮影だったんですが、今よりも日本語が下手で、もったいないなという気持ちがあります。だから正直、自分のお芝居には満足できていないです。だからこそ、もっと経験を重ねていきたいなと思いました。

――まだ拙い日本語だからこそ、来日したばかりのジュリにリアリティが生まれていたと思います。最後に『ディッシュアップ』の見どころをお聞かせください。

ハ・ヨンス 多国籍なキャストが魅力的で、だからこそ生まれる面白さがありますし、ずっと平行線だったジュリと譲治の関係性が、徐々に交わっていくところにも注目して観ていただけるとうれしいです。

ヘアメイク:舩戸美咲スタイリスト:大山諒子

『ディッシュアップ』K’s cinemaほか全国順次公開中キャスト:⻘柳翔 ハ・ヨンス 三河悠冴 ドン・ニャット・クイン ⻄村和泉 菅原⼤吉監督・脚本:池本陽海公式サイト:https://dishup-movie.jp/

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