<声優アイドル22/7 結成6周年ライブレポート>メンバーの卒業・活動終了…「苦しいことがいっぱいあった」と涙 “ドームアイドル”目指す7年目の覚悟
2023.11.09 14:12
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秋元康総合プロデュースのもと、Sony MusicとANIPLEXがタッグを組んだ声優アイドルプロジェクト22/7(ナナブンノニジュウニ、通称「ナナニジ」)。その結成6周年を祝う『22/7 ANNIVERSARY LIVE 2023』が、11月7日、東京・EX THEATER ROPPONGIにて開催された。ポップなアメリカンダイナーの店員に扮した9人が繰り広げるドラマ仕立ての1日を舞台に、ファン投票で選ばれた人気曲を披露していく中、ユニット曲を全員で歌唱するサプライズや、11月22日に発売される2ndアルバム「旅人算」収録の新曲のパフォーマンスでも新たな可能性を感じさせる。「ナナニジの夢は、ドームアイドルになることです!」――。確かな成長のもと、一丸となって決意を伝えた公演の模様をレポートする。
22/7、ウェイトレス風衣装で登場
開演を告げるブザーとともに緞帳が上がると、そこは常連が絶えない人気のアメリカンダイナー「SEVENS RAINBOW」。おしゃれな店内では、ポップなウェイトレス風の衣装に身を包んだメンバーたちが開店準備に大わらわだ。「本日6周年という記念すべき日。あいも変わらずオープン準備が行われています。今日はどんなお客さんと出会えるのか」。「今日も気持ちの良い朝だー!」と爽やかな風を吹かせるのは「めざましテレビ」のリポーターとしても活躍している麻丘真央だ。接客をしていた麻丘が「みんな、オーダーが入ったよ。青春の味!」と声を上げると、始まる1曲目「不確かな青春」。これまでもさまざまな演出でファンを驚かせてきたアニバーサリーライブだが、今回は、メンバーのお芝居とともにノンストップで楽曲を披露していく斬新な演出となった。選曲も事前に行われたファン投票の結果となっており、何が飛び出すか予測不能なジェットコースター・ミュージカルの幕開けに会場は一気に沸き立つ。
元気印の望月りのは、昨日も食器を割ってしまったようだが、落ち込んだときに聞いて明るさを取り戻す曲があるという。そうしてジュークボックスで掛けられた「謎の力」に続き「覚醒」「未来があるから」へと、ライブ会場に戻ってきたファンの力強いコールとともに、その熱は加速度を増す。今年、相次いで卒業したメンバーのフレーズがどのように引き継がれるかという点も注目されていたが「ポニーテールは振り向かせない」で、麻丘がアイドル力全開で放つ「君が好きだ」が新鮮なときめきを与え、また後輩ではなく西條和が「夢を見ていた」というセリフを担ったことでも先輩メンバー同士の深い絆を感じさせることとなった。
22/7、“スペシャルメニュー”披露
水分補給まで芝居に組み込まれており、おそらくアドリブを交えているのであろう天城の軽妙な話術にメンバーたちも翻弄されながら、忙しいカフェの1日は進んでいく。「ナナニジのプリンス」こと月城咲舞のイケメンな振る舞いにつけられたキラリンという効果音も笑いを誘った。だが、椎名桜月が、ふざけている天城や、ぬいぐるみを抱いて居眠りばかりしている西條たちに噛み付いたことから、平和な店内が一転して修羅場に。ホールチームとキッチンチームのどちらが忙しく働いているかという小競り合いは、スポーツスタッキング(カップを積み上げたり崩したりしながら規定の形にするまでのスピードを競うゲーム)対決へとなだれ込むのだった。白熱する戦いを経て勝利を収めたキッチンチームの椎名が「特別なまかない」をオーダーするのだが、なんとそれは「ハレロ(全部のせ)」! 唯一ランクインしたユニット曲を全員でパフォーマンスするというこの日限りのスペシャルメニューだった。9人が声を揃えて「ハレロ」と唱えると、薄ぼんやりと心に掛かっていた憂いが一瞬にして晴れ、この先の未来へと続く確かな道が見えたようだった。
「ロマンスの積み木」で色香漂うムーディな一面を見せたかと思えば、「絶望の花」では退廃した終末の世界にそっと佇み、ドラマチックな楽曲がこのカフェの色をさまざまに変えていく中で、メンバーたちはひたすらに歌い踊り続け、極限を超えていく。「理解者」での「それならここから出ていけばいい」という天城の叫び、相川奈央の穏やかさの中に凄みが光る「誰が僕の理解者だ?」という問い。カフェの扉は、その葛藤のままにバタンバタンと開けて閉めてを繰り返す。
そして到達したのは、焦燥と虚無の間でもがき、生きることの意味を探す22/7にしか表現できないであろう2曲だ。全身全霊の激情に揺さぶられた「命の続き」、アウトロのエモーショナルなフリーダンスが見どころとなる「とんぼの気持ち」では、かつて一人途方に暮れていた西條が望月と手を取って踊る様に、グループの“今”が映っていた。のちの挨拶で、そのフリーダンスをずっと苦手としていた涼花萌が、カフェの設定を利用してティーパーティーを模したポージングで、「公式お茶会」を開けたと喜ぶ場面も愛らしかった。
22/7、後輩メンバーたちのデビュー曲で本編ラスト
どうにかこうにか営業を終え、掃除を始めるメンバーたち。「6年も続くやなんて思ってなかったなあ、いろいろあったねえ……」という涼花の感慨を受け、天城は涙に声を震わせながらメンバーたちを見回して言った。「正直、“クローズ”したほうが幸せなんじゃないかなと思ったときもあったけど…でも、ここまでやってきて本当に良かった。私もみんなとやっているこのカフェが大好きだから、7年目も8年目も、これからもずっとよろしくね!」そうして掛かる、デビュー曲「僕は存在していなかった」。披露されるそのときどきで違う色を感じさせる楽曲だが、この日、目を潤ませるほどに眩しく感じられたのは揃いの白いエプロンのせいでもないだろう。「君は Moon」の歌い出しを担った椎名の歌声は、夜の静けさに差し込む月明かりのごとく心を癒やす。本編ラストを飾るのは、後輩メンバーたちのデビュー曲「曇り空の向こうは晴れている」だった。ダンス強者である相川と月城が立ち並んだシンメトリーはこの上なく頼もしく、目に焼き付く。「今はこのままでいいから」という西條の思いが他者への包容力を持って響くことに驚かされるとともに、卒業したメンバーから「希望ちゃん」の名で呼ばれた望月の必殺のセリフが力強く轟いた。彼女たちが歩いてきた道のりを屋台骨とするカフェで味わうメニューは甘く、ときに苦く、心を震わせる。
閉店後のカフェで、クラッカーを鳴らして6周年を祝うメンバーたち(「せっかく掃除したのに?」とツッコミを入れたくなるのも22/7らしい)。次にカフェを出店する場所に悩んでいる天城に、望月が「ハーイ!」と手を上げて言う。「東京ドーム!」。会場中から湧き上がる歓声、頷きあう9人。「夢は大きく目指そうよ、東京ドーム!」。万雷の拍手の中、メンバーたちは心を1つに真っ直ぐ前を見つめるのだった。
22/7、アンコールで新衣装&本音打ち明ける
「ナナニジ」コールに応え、新衣装に着替えて再登場したメンバーたちが一人ひとり挨拶する。去年のアニバーサリーライブの映像を見て「本当に私?」と思うほど、成長を実感できたという麻丘。「大好きな先輩の卒業や同期の活動終了、この活動をしていなかったら感じることがなかったんだろうなという苦しいことがいっぱいあったけど…でも、この景色を見ていたら、もうちょっと頑張りたいと思いました」と、たくさんのペンライトの光を前に涙に濡れる瞳を輝かせた。卒業したメンバーが残した言葉に動かされ「私たちが掲げるには大きすぎる目標だと思って口に出すのを怖がっていたけど、正式に『ナナニジの夢はドームアイドルになることです!』と言えて、身が引き締まります」と、強いまなざしで語った天城。「なので、各自友だちを5人作ってナナニジを広めてください!」と笑いを誘いながらも、切に願うのだった。始終、驚きに満ちた今回のライブ。ついには、11月22日に発売される2ndアルバム「旅人算」収録の新曲が披露されることとなった。2曲とも、純白のナポレオンジャケットにラベンダー色の柔らかなリボンをサッシュのように胸に渡し、ふんわりと広がるスカートがフェミニンな凛々しくも愛らしい新衣装が楽曲のイメージをさらに膨らませる。「君とどれくらい会わずにいられるか?」はノックするような振りにもこれまでの道のりを彷彿とさせるものがあり、「世界の矛盾」には地球まるごと抱きしめるかのスケールの大きな愛を感じ、ドームで披露する姿さえ想像できた。9人が横一列になって手をつないだ中には今回出演できなかった河瀬、清井美那の手も握られていることが信じられる11人の強さがある。「7年目のナナニジも、どうぞよろしくお願いします!」。
こうして自分たちの可能性を、そして愛を寄せてくれるたくさんのファンを信じて、大きな夢を共有することとなった特別な一夜を歴史に刻んだ22/7。さっそく、次なる一歩として12月23日に「22/7 Character‘s Theater 2023」を開催することを発表。配信のみならず、メンバーも登壇する映画館でのライブビューイングが行われるとのことで、キャラクターと二人三脚で活動する22/7ならではの新たな試みにも胸が踊る。(modelpress編集部)
「22/7 ANNIVERSARY LIVE 2023」セットリスト
-OPEN-不確かな青春
Just here and now
風は吹いてるか?
謎の力
-LUNCH-
覚醒
未来があるから
ポニーテールは振り向かせない
-DINNER-
ハレロ( 全部のせ)
ロマンスの積み木
絶望の花
理解者
命の続き
とんぼの気持ち
-CLOSED-
僕は存在していなかった
君はMoon
空のエメラルド
曇り空の向こうは晴れている
-帰り道-
-アンコール-
君とどれくらい会わずにいられるか?
世界の矛盾
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