(左から)柚希礼音、加賀谷香、織山尚大(提供写真)

少年忍者・織山尚大、振付家・黒田育世からの熱烈オファーで「ラストパイ」出演決定

2022.10.13 18:00

コンテンポラリーダンス振付家の黒田育世が、過去作の再演に取り組む再演譚シリーズ第2弾『ラストパイ』と『波と暮らして』が2023年3月14日~17日に大阪・森ノ宮ピロティホール、22日~26日に東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演されることが決定。少年忍者/ジャニーズJr.の織山尚大は『ラストパイ』に出演する。


黒田育世再演譚シリーズ第2弾決定

「波と暮らして」過去公演舞台写真/2018年再演時「波と暮らして」黒田育世&柳本雅寛 撮影:大洞博靖
「波と暮らして」過去公演舞台写真/2018年再演時「波と暮らして」黒田育世&柳本雅寛 撮影:大洞博靖
今回上演するのは、2005年初演の『ラストパイ』と、2015年初演の『波と暮らして』。『波と暮らして』は、ノーベル文学賞作家のオクタビオ・パスによる同名の短編小説に想を得て、画家のある男と波との出会いから別れまでを描いた詩情あふれる作品。

「ラストパイ」過去公演舞台写真/2018年再演時「ラストパイ」菅原小春ほか 撮影: Yulia Skogoreva(画像提供:Dance New Air 2018)
「ラストパイ」過去公演舞台写真/2018年再演時「ラストパイ」菅原小春ほか 撮影: Yulia Skogoreva(画像提供:Dance New Air 2018)
『ラストパイ』は、国内外から高い評価を受けるダンスカンパニーのNoism05(現:Noism Company Niigata)から振付委嘱された話題作。40分間絶えず踊り続け、身体を極限まで追いつめる過激さ故に、ステージ上で神に捧げる儀式が執り行われているかのように錯覚する作品で、日本ダンス界の伝説的作品。静と動、生と死、表裏一体の世界が広がる2作品で、言葉なく踊りだけで表現するダンスの限りない可能性をお届けする。

再演譚シリーズ第2弾となる今回の舞台は、数々の伝説的な演劇・ダンスのステージを繰り広げてきたBunkamura シアターコクーン。東急百貨店本店跡地の再開発に伴うBunkamuraの長期休館を目前とした2023年3月、刺激的な2作品でこの地に爪痕を残す。

黒田育世再演譚シリーズ第2弾出演者発表

黒田育世/撮影:池谷友秀
黒田育世/撮影:池谷友秀
今回『波と暮らして』に出演するのは、柚希礼音と加賀谷香。振付家の黒田自ら出演を熱望した元宝塚歌劇団星組トップスターの柚希がある男を、日本が誇るダンサーであり、黒田が敬愛すると公言する加賀谷が、ある男と暮らす波を演じる。

一方『ラストパイ』では、過去に金森穣(Noism Company Niigata 芸術総監督)や菅原小春といったダンス界の寵児が担ってきたソリスト役に、織山を抜擢。TVや雑誌はもちろん、近年では舞台主演も担う注目株だ。卓越したダンスの才能の持ち主として知られ、黒田自身が織山の持つ、爆発力、しなやかさ、少年性、表現力を見て「どうしても彼に踊ってほしい」と直感し熱烈オファーしたことで、今回の出演が決定した。

脇を固める出演者たちも黒田が厚い信頼を寄せるダンサー陣が一挙集結する。人間としての本来の姿がさらけ出されるこの2作品で、柚希と織山が踊り手として新たな歴史を刻む。(modelpress編集部)

黒田育世コメント

これまで演劇の現場でお世話になったBunkamura シアターコクーンが休館になると聞いたときに、直感的に『ラストパイ』を上演したいと思いました。『ラストパイ』はダンス以外の要素の無い、命という単位しかない、一番シンプルな形のダンス作品です。一度劇場を閉めて、再び幕が上がるとき、劇場に焼き付けておくべきは、命を歌い上げる祝祭的な踊りであるべきだと思ったのです。

一方『波と暮らして』はオクタビオ・パスの小説があり、ストーリー性を帯びているものです。状況を克明に説明するものではなく、パスが作品に秘めた本心をダンスで綴っています。物語性を孕んでいる『波と暮らして』と、物語性を排し、生命力を孕んでいる『ラストパイ』という対照的な2作品で、ダンスとは両極に触れることができるものだということをお客様にお見せ出来たらと思います。

『波と暮らして』の柚希さんの役は、当初は男性の方を探していましたが、今回はよりポエティックにストーリーを紡いでいける方を念頭に、役者でもあり、ダンサーでもある方というのが重要でした。そんな時に柚希さんの踊っている映像を拝見して、雷が落ちたような衝撃を受けました。一瞬の映像でしたが柚希さんなら、パスがある男に背負わせたものを無意識に吐き出してくれるのでは、と。そして本作はバレエのテクニックを基に振り付けているので、美しいバレエのラインを持つ方という意味でも、柚希さんしかいないと思いました。

加賀谷さんは、どんなに言葉を尽くしても、振付家はその作品のすべてをダンサーに伝えきれるものではない中で、振付家の目を通して振付を体現することができる方です。決して自分の色を出すということをせず、作品の登場人物になろうとする。振付に込められた言葉をすべて読み取れてしまう方なのです。彼女が踊ることで、私が言葉に出来なかった、欠落した部分さえも表現してくださると信じております。

そして、織山さんが踊る『ラストパイ』のソロパートは、非常に大きなエネルギーを要する役です。織山さんの中に残っている、成人しきれていない中性的な部分が、この作品に神聖さを与え、この作品を祝祭化してくださるのではと思いました。そして彼の爆発力は、この非常に苛酷な40分間を乗りこなしてくれると確信し、オファーに至りました。

柚希礼音コメント

オファーをいただき大変嬉しかったです。ダンスだけで表現するということは本来自分が好きなことでしたので、ぜひお受けしたいと思いました。そしてまた新しい挑戦だなと感じました。加賀谷さんは、『マタ・ハリ』、『ファクトリーガールズ』という作品で振付をしてくださいました。加賀谷さんと2人だけでほぼ1時間弱踊り続けるということで、ものすごい世界が見えそうだなと思っています。とても信頼と絆がある方なので楽しみです。子供の頃から踊ることが1番好きなことですので、とてもワクワクしています。やはり芝居・歌も含めて表現することが多いので、自分自身に立ち戻るダンスだけで何を表現できるか。自分磨きをしっかりしなければと思っています。

宝塚を退団し、様々なことに挑戦している姿をとても温かく見守ってくださるお客様がいてくださるからこそやってみようと勇気がでました。大好きなシアターコクーンで思いっきり羽を伸ばし、ダンスだけで表現をする柚希礼音を楽しみにしていただけると嬉しいです。

加賀谷香コメント

育世さんは純粋にダンサーとして立つことをとても大切にしてくださるので、現在の自分にとってはありがたき幸せの限りです。鮮やかな量感にあふれていて対面でも舞台上でも眩しいほどのオーラを放つ柚希さん。これまでは主演女優さんと振付師という関わりでしたが、演者としてご一緒出来るなんて感激です。普段は生き場所の違う2人ですが、共に作品に没入して新たな世界が生まれることを楽しみに目指せたらと思います。

多岐にわたる舞台作品の振付、演出をされてきた育世さんの作品性やリクエストは、想像を越えて飛び出してくるので緊張感満載ですが、また1つ未知の自分に出会えることに「期待」を込めて向かいたいと思います。台詞や歌のない長尺のダンス作品をこれまであまり体験されたことのないお客様にも、ダンス表現の底なしの可能性を、私達と共に感じていただけたら!と願っています。

織山尚大コメント

出演が決まったときは久しぶりに硬直しました。足の先からゾワッ!と何かが走った後、ゆっくりと嬉しさや感謝の気持ちが込み上げてきました。自分を見つけてくださった黒田さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。黒田さんが思い描く世界を覗けるということが、とても楽しみです。

そして、一から「伝える」という事を勉強し、少年忍者の今後に繋げたいです。精神力を極限まで追い込む振付けということなので、いつものアイドルとは違う織山尚大を皆さまにお見せしたいです。頑張ります!
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