與真司郎フォトエッセイ「はじめに」表紙使用カット:撮影/嶌原佑矢(UM)(C)講談社

AAA與真司郎フォトエッセイ、“はじめに”部分全文公開 カミングアウト前夜・当日の心情を時系列で明かす【人生そんなもん】

2025.04.05 13:00

AAA與真司郎が4月16日に発売するノンフィクションフォトエッセイ「與真司郎フォトエッセイ 人生そんなもん」(講談社)より、冒頭の「はじめに」部分の全文が公開。カミングアウト前夜と当日の心境が、時系列で赤裸々に明かされている。

  

與真司郎フォトエッセイ「はじめに」全文公開

AAAのメンバーとして2017年から2019年に3年連続4大ドームツアーを開催し、ソロとしてもアリーナツアーを行うなど精力的に活動してきた與。2023年7月には自身が同性愛 者であることを約2000人のファンの前で公表し、世の中に大きなイン パクトを与えた。その影響は国内にとどまらず、米紙「ニューヨーク・タイムズ」の「2023 年世界に影響を与えた人々」に選出されるなど話題を呼んだ。

本書の「はじめに」では、スピーチの内容を何度も修正していたカミングアウト前夜と当日の心境を時系列で赤裸々に明かしており、本記事ではその内容を全文公開された。(modelpress編集部)

カミングアウト前夜と当日の心境(「はじめに」全文)

2023年7月26日水曜日、僕はLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて、約2000人のファンの前で、ゲイであることをカミングアウトする。 今は前日7月25日の深夜、都内の仮住まいの家には国内外の関係スタッフさんがいて、明日読み上げる原稿の最終調整を行っている。自分の言葉と行動が多くの人にとっての助けとなり、少しでも励ましになってほしい。その一心で目の前の原稿に向き合う。何ヵ月も前から準備はしていたけれど、書いては消してを繰り返している。たった一言のニュアンスの違いで誤って伝わってしまう。その後悔だけはしたくないからだ。なんとしてでも 100点の原稿を作りたい。 今、この場には 緊張感が漂い、これまでに経験したことのないストレスを感じる。僕もスタッフさんもここ数週間ほとんど寝ずに準備をしてきた上、仮住まいの家が狭く、窮屈に感じる。さらには、明日上手く世間に伝えられるのかという不安がのしかかっている。 午前4時前、ようやく打ち合わせが終わる。スタッフさんが帰り、お風呂に入った。布団に入る前、寝られないだろうと思い、普段は飲まない睡眠薬を飲み、昔の写真を見返す。それらを見ていると、ゲイであることを隠して過ごしていた日々がフラッシュバックして、つらい気持ちになった。でも、「もし非難されて日本に居場所がなくなっても、残りの人生を海外で過ごせばいい」と頭を切り替え、布団に入った。

本番当日、8時に目が覚める。起きた瞬間に「やるしかない」と思った。ここまで来たら逃げられない。来てくれるファンもこの日のためにスケジュールを空けて、僕がどんなことを発表しようとも、受け止める心構えをしてくれているに違いない。会場の準備はもう進んでいるだろうし、関係者もこの日のために準備をしてくれている。テレビや新聞をはじめとしたメディアもくるし、カミングアウト前から密着してもらっているハリウッドのドキュメンタリー チームもスタンバイしている。「後戻りはできない」と初めて実感した。当日の朝にようやく覚悟が決まったのだ。朝食にバナナとゆで卵を食べて、支度をする。10時半頃にマネージャーが車で迎えに来て、11時にLINE CUBE SHIBUYAに会場入りした。その場にいるスタッフさんを含め、会場に緊張感が漂っているのがすぐにわかる。自分自身も緊張しているが、伝染させないように明るく振る舞った。「緊張してるよ〜」とふざけて言って、なんとか場を和ませようとする自分がいる。「せっかくここまでスタッフさんが準備をしてくれた んだ。仲間も駆けつけてくれている。できるだけ普段通り振る舞おう」と心の中で自分に言い聞かせる。 そしてリハーサルが始まる。照明の確認をして、台本を一通り読む。事務所から独立して初のイベントだから不慣れなことも多い。今まで一緒に働いたことがない人とも働く機会となり、カミングアウトだけではないストレスも多かったことを思い出す。

リハが終わり、あとは本番を迎えるだけとなった。待機中、多くの人からのメッセージが届く。アメリカ人の友人たちからも「Shin、頑張って!」という連絡がいくつも届いていた。見渡すと昔からずっと一緒だったマネージャー、スタイリスト、ヘアメイクなど多くのスタッフさんがいる。海外から友達も駆けつけてくれている。この日は“仕事として”ではなく、“仲間として”助けてくれている気がした。仲間がいれば絶対に大丈夫だと思えた。登壇寸前、静かに立っていられず、ぐるぐるとその場を歩き回る。まったく落ち着けない。昔からの友達でもあるドキュメンタリーチームのスタッフさんが視界に入る。「もう無理だ。家に帰ってもいいかな」とジョークを言う。「お前ならできる」と返ってきた。1秒ごとに、「もう本当に無理だ」と「俺なら大丈夫」という両極端な感情が行ったり来たりしている。言いづらいことを言う時のもどかしさに似ている。何かが喉元に詰まっている感じ。でもこれさえ言えば、この先カミングアウトをする必要はない。ステージに出てしまえば、後はどうにかなる。これで今までのつらいことはすべて終わる。「壇上に行きたくない」という気持ちに、「終われば楽になれる」というそれを覆い被せた。

ついにその瞬間が来た。立ち位置に向かって歩く。ステージに立つことには慣れているはずだが、感じたことのない緊張が押し寄せる。目の前には約2000人のファンがいて、その後ろにはメディアがいるのがうっすら見える。「ここで今から言うんや…。うわ…『ゲイ』、その一言が言いづれぇ…」そう思った。それ以外は問題なく言える気がする。でも“ゲイ”という言葉だけはどうしても言いたくない。それでも今ここに立っている以上、もう後には引けない。そしてスピーチ原稿を開き、自らがゲイであることをカミングアウトした。

與真司郎フォトエッセイ「はじめに」中面1(C)講談社
與真司郎フォトエッセイ「はじめに」中面2(C)講談社
與真司郎フォトエッセイ「はじめに」中面3(C)講談社
【Not Sponsored 記事】

もっと詳しくみる

あわせて読みたい

  1. AAA與真司郎、ノンフィクションエッセイ決定 カミングアウト前後の感情を赤裸々に記す【独占カット】

    モデルプレス

  2. AAA宇野実彩子・與真司郎・末吉秀太、密着3ショット公開 プライベートでの交流報告に「また3人一緒の姿が見れて嬉しい」「尊すぎる」の声

    モデルプレス

  3. AAA與真司郎、美腹筋際立つ水着姿 世界1人旅ショットに「絵になる」「ムキムキでかっこいい」と反響

    モデルプレス

  4. AAA與真司郎、LA自宅を退去・ヨーロッパへの一人旅を宣言 休養経て「人生を見直すことができました」

    モデルプレス

  5. AAA與真司郎、浦田直也・宇野実彩子との肩寄せ密着ショット公開「素敵すぎる」「泣いた」と反響続々

    モデルプレス

  6. 與真司郎、LGBTQ+コミュニティでの功績称える米「GLAADメディア賞」に出席 レッドカーペットに登場

    モデルプレス

おすすめ特集

  1. 4月のカバーモデルは「片思い世界」広瀬すず・杉咲花・清原果耶

    特集

  2. 「2025年ヒット予測」発表 エンタメ・ライフスタイルなどトレンド完全予測

    特集

  3. モデルプレス読者モデル 新メンバー加入!

    特集

  4. 国民的推しランキング!各種エンタメにまつわる読者ランキング、読者アンケート実施中

    特集

  5. モデルプレス独自取材!著名人が語る「夢を叶える秘訣」

    特集

  6. インフルエンサー影響力トレンドランキングを発表!「モデルプレスカウントダウン」

    特集

おすすめ記事

SPECIAL NEWS

記事ランキング

RANKING

  1. 01

    横澤夏子、3人の娘連れた“雨の日の登園スタイル”公開「画期的」「子どもも喜びそう」の声

    モデルプレス

  2. 02

    今田美桜、ミニスカで美脚堂々披露「圧巻のスタイル」「腰の位置高い」と視線集中

    モデルプレス

  3. 03

    安田美沙子、美デコルテ際立つ結婚式コーデ披露 息子と密着ショット「男子2人を取り押さえるスタイルです」

    モデルプレス

  4. 04

    ヘラヘラ三銃士ありしゃん「2人合わせて4キロ超えた」双子妊娠中の最新ショット公開

    モデルプレス

  5. 05

    乃木坂46五百城茉央、ミニワンピから美脚披露「可愛い」「スタイル異次元」の声

    モデルプレス