【入社直前 新人アナウンサー】中根舞美さん「大きな挫折もなければ、大きな成功もない」悩みを乗り越えたアナウンス就活秘話<学生アナウンス大賞 ファイナリスト連載>
2023.03.01 18:00
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2021年の第1回より毎年行われ、今年3回目が開催される、次世代を担うアナウンサーを発掘するコンテスト「学生アナウンス大賞」。モデルプレスでは第1回のファイナリストにインタビューを行い、当時の思いや学生アナウンス大賞の経験について語ってもらった。
第4回は聖心女子大学4年、4月よりテレビ局のアナウンサー職に就く中根舞美さん。
中根舞美さん「学生アナウンス大賞」きっかけでアナウンサー目指す
― 新年度から実際に某局でアナウンサーになる中根さんですが、「学生アナウンス大賞」に挑戦したきっかけ、さらにはアナウンサーになろうとは理由を教えて下さい。順序的には「学生アナウンス大賞」があってから、アナウンサーを目指すようになりました。将来や就活に対する漠然とした不安があった中で「学生アナウンス大賞」を受け、そこで出会ったファイナリストの人たちは本気でアナウンサーを目指していた人が多く、「私もこの人たちと同じように本気でアナウンサーを目指してもいいのかな」と思えました。
コロナ禍での学生生活でしたし、就活が始まるころには学校も減っていくし、でも就活のことは何にも考えてないし、どうすればいいんだろうと不安が大きくなっていく中、ESの書き方も知らなかったので色々調べていたら「学生アナウンス大賞」を見つけました。
― 「アナウンサー」というより「就活」がきっかけだったんですね。
そうです、もしここにESを出して通れば書き方は間違っていなかったことが分かるかなと思ったので、最初は本当に軽い感じというか、誰かにESを見てもらいたい気持ちの方が強くて応募しました。
― 2年生から3年に上がるときの春、たしかに就活を真剣に考える時期ですよね。
どの業界を受けようか決まっている人も多いのに、私は就活していくうちに見つかっていくのかなと勝手に思っていたので、だったら早く始めないとと思っていた時でした。
― 何事も早めに準備して、早めに行動するタイプですか?
そうでもなくて…(笑)。本当にたまたまの運命を信じるタイプというか、「何か縁があるかも」みたいな(笑)。
― ESを出してからは面談、カメラテスト、最終のスピーチ審査がありましたよね。
トントン拍子すぎてついて行けないと思いながら、ここまで来たからもう後戻りは出来ないし、そもそも親にも誰にも言わずにやっていたので…。ファイナリストになったら言おうかなと思っていたので、途中からはもう土産話になるかなと吹っ切れてました。
― 実際ファイナリストとしてニュースなどで名前が出た時、周囲の反響は?
親は最初反対していたのですが「意外とやるじゃん」って親の目が変わりましたね。
中根舞美さん「人としての器を一回り大きくしてくれた」仲間の存在
― アナウンススクールに通っていてある程度知識がある人もいましたが、中根さんは「学生アナウンス大賞」に向けてどう対策を立てていたんですか?誰かに見てもらうとかは全くなかったですが、あの時から今でも大切かなと思っていることは“自分が話したい出来事を想像して、それが相手にも同じものを届けられるか”ということです。
なかなか難しいことですし100点を目指したらキリが無いですが、自分で原稿を書いてから第三者の目線になって読んでみた時にちゃんと想像できるかな、というのを行ったり来たり。立場を変えて何回も読んで直していました。
― そういった努力もあったからこそ、同じファイナリストたちが刺激になった?
そうですね。そこからアナウンススクールに通うようになりました。壮絶で結構大変だったんですけど、一般企業の就活の仕方を知らないまま来てしまったので、もう後戻りできない、腹を括って頑張ろうと決めました。
努力かは分からないですが、日常的に起きることがフリートークで使えるなと思う脳に段々切り替わってました。ちょっといいワンピースを着てた時に自転車に絡まって破れちゃったんです、かなりショックだったんですけど「でもフリートークに使ったら面白いのかも」みたいな(笑)。メンタル的に前向きに変えられたので、自分の心の支えにもなっていたかもしれないです。
― アナウンス就活をする中で、「学生アナウンス大賞」の経験が活きた瞬間はありますか?
試験に慣れることが大事なので場数は踏めば踏むほど良いと思います。最初に行くところが何かの試験だと緊張すると思いますし私も絶対そうなっていたと思うんですが、「学生アナウンス大賞」を経験出来たのが大きかったです。
「こういう反応が返ってくるんだ」「本番は自分が思っているより意外と声が小さくなっちゃうんだ」「ライトに照らされるのはこういう感じなんだ」など緊張感を事前に1度体験出来たことで想像出来るようになったというか、心の支え、お守りのような感じでした。
― 中根さんをはじめ、ファイナリストたちも各局のアナウンサーになる方が多いです。就活中も連絡を取り合うことはあった?
大きな存在でした。集団面接もそんなに多くないですし、最後に選ばれるのも1~2人の世界なので個人戦的なニュアンスが強いし、一般的にギスギスした世界みたいに思われると思うんですけど、みんな本当仲良くて、試験で会うと少し落ち着きますし、落ちた時にメッセージくれたり。
自分が落ちた時に心から応援したくなる存在だったので、私が持っているプロットや局の研究材料を託したり、反対に提供してくれたり、本気で応援し合ってる関係でした。自分でもこんな世界だとは全く想像つかなかったので、自分のことのように喜んでくれたり応援してくれたり、本当に恵まれていたなと思います。
― 「学生アナウンス大賞」を通して成長できたことを挙げるとしたら?
先程の話にも少し繋がりますが、たった1枠を目指しているので自分がダメだった時にムッと思う気持ちが勝ちそうになっても、それを隠して応援してくれる姿を見て心が洗われたというか「これが仲間なんだな」と深い意味での仲間を見つけることが出来ました。普通に生活していたら経験出来ないことですし、自分がキツイ時こそ飲み込んで応援する、人としての器を一回り大きくしてくれたなと思います。
中根舞美さんの悲しみを乗り越えた方法
― モデルプレスの読者の中には今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。そういった読者へ向けて、これまでの人生の中で「悲しみを乗り越えたエピソード」を教えてください。自分の中で1個のコンプレックスでもあるんですけど、私は大きな挫折もなければ、大きな成功もないタイプの人。就活をするにあたってそれが悩みでした。
― 大半の学生が抱える悩みかもしれないですね。
そうですよね、でも就活を始めると周りの人はすらすら話が出ていて「自分には何もないんだ」と。そうやって悩んでいて、そういう人にとっては就活が最初の関門というか、絞られる中で勝ち抜かないといけない淘汰の世界かなと思います。
アナウンススクールに通う前に親と話をした時、特に父親がもう反対で。学歴とか出身とか家庭とか「上には上がいる」「全部持ってる人は世の中にいっぱいいる」とか、「自分からその中に入って比べられに行く必要があるのか」「普通に暮らせる方法なんていっぱいあるのに、自分で茨の道を進まないでいい」とか。
なかなか同意を頂けないまま反対を押し切って就活をしていたんですけど、ある局の最終面接に呼ばれたことがあって、結果はダメだったんですけど父に報告したら「ほら言っただろ」みたいな。その時「私に味方いないのかな」「家族が反対してたし、まあそうだよな」って結構落ち込んじゃったんです。
― そこからどうやって乗り越えられたんですか?
「乗り越え方」は特になかったです。次々に試験は来るのでやらなきゃいけない、迫りくるタスクを1つずつやっていくと意外と時間と頭を使うので忘れられていた気がします。
そうやって頑張っていたら、郵便ポストに商品券が届いていて、父から「アナウンサーの試験には、綺麗な服が必要でしょう」と。それが本当に嬉しくて………「1人じゃなかったんだな」とハッとしました。作文の試験でもこの話を書いたら人事の方にも「頑張ってきたのね」って言ってもらえたのが嬉しかったです。
なので、「乗り換え方」としては変かもしれないけど、私は「結果で見せてやろう」という思いでした。
― 「もう前に進むしかない」と?
「ここまで来たら戻れない」という気持ちが大きかったです。私みたいに大きな挫折も大きな成功もない人は、大きな挑戦する前に「今までの自分だったら無理だ」「成功する未来が想像できない」と怯んじゃうんです。でも、過去の出来事は、今から受ける面接は意外と関係ないんです。そう思えたら、自分がその会社で働く未来だけを想像していいかなって。挑戦するときは、過去の失敗とか、トラウマとか、自分の情けなさを切り離して前だけ見ていいのかなと、結果論として導けた気がします。
― ちなみに、今日着ている服がもしかして…?
そうです、これを買いました!実際、就職先の最終試験でも着ていて褒めてもらったので一生大事にしようと思います!
中根舞美さんの“夢を叶える秘訣”
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そういった読者に向けて「夢を叶える秘訣」を教えてください。先程の話と重なりますが、やっぱり過去の自分と今を切り離して、前だけ見ることかなって思います。
就活中に「自信を持つこと」とよく言われてたんですけど、もう全然しっくり来なくて。自信は持てないし、いざ面接の前になると不安になるし、「自信を持つって何だろう」みたいなモヤモヤをずっと抱えていました。
とある最終面接を受ける前に「私の感じだと、どうせしくじるんだろうな」「どうせ失敗するんだろうな」「私ドジだし」とか思ってしまって、確かに受験も部活も最後の1歩が届かない人生だったんです。だから、その試験の時も「『確かに良いところまで来たけど、また最後の1歩が届かなかった』っていう話になっちゃうんだろうな」っていう気持ちが心の底にあったんだと思います。実際、そういう気持ちだったのでその最終面接は落ちました。
― そこからどうやって切り替えられたんですか?
その日の帰り道、スクールの先輩が、これがあったからこそ最後は絶対成功すると背中を押してくれてくれました。
私の中で最終試験よりすごいことってもう無いぐらい難しいことだと思っていたんですけど、それは今まで私の人生の中で起こったことがないからそう思っていただけで、これから生きていく上では乗り越えとかなきゃいけない壁だし、それも無理な壁じゃなくて超えるべき壁なのかもしれないみたいなのを思ったら、普通のことだと捉えられるようになりました。
もしここを乗り越えられたら自分の中で大きな成功だって言えるのかもしれないと思ったら意外と気が楽になるというか、今まで出会ったことない困難だからこそ緊張するのはま当たり前だし、ここで働きたいという未来だけを見て頑張ろうって切り替えて自信が無いなりに頑張れたかなって思います。
― 一度ギリギリで失敗してしまったからこそ掴んだ内定だったんですね。
弱気なところがダメだったのかなと思って、次は絶対こんなミスしたくないなと。なので(就職先の最終試験は)振り切れたのかなと思っています。最終的には自分のベストにたどり着いたなと思っていますし、失敗も道の1つだった気がします。
中根舞美さんからメッセージ
― 最後に、これから第3回「学生アナウンス大賞」が始まるので学生たちにメッセージをお願いします。まず、迷ってる人はとりあえず出しときなって言いたいですね。私みたいにESの良し悪しが分かるだけでもメリットがありますし、私みたいに何でもない学生でも「あなたはこうすごいんだよ」って教えてくれる人たちがいる所はなかなか無いです。自分たちで高め合える仲間に出会えるのも、それなりに挑戦してきた人にしか与えられない特権だと思うので、絶対出しといて損はないと思います。
― 「学生アナウンス大賞」のキャッチコピーは『きっかけは、ここにある』ですが、まさに中根さんもその1人ですよね。
入学した時には全く想像つかなかったですね、東京に残るとも思っていなくて、地元に戻って働くのかなとか想像していたので、大きく運命が変わったなって思いますね。最初からアナウンサーを目指してる人はギアが1段階上がりますし、私みたいに全然方向が定まってない人にとっては良いコンパス的な存在にもなります。
ファイナリストになれば名前と顔が世に出るので、決意というか覚悟を決められることにもなるのでぜひ参加してほしいです。
― 貴重なお話ありがとうございました。今後テレビで拝見出来る日を楽しみにしています!
第3回「学生アナウンス大賞」概要
表彰式:2023年3月30日(木)参加条件:2023年3月末時点で現役大学生・大学院生であること
主催:第3回学生アナウンス大賞実行委員会
『学生アナウンス大賞』は、全国の大学生にアナウンサーを目指すきっかけを与えるべく、2021年より発足したコンテスト。参加条件は大学生であることのみ。エントリーは公式LINE(https://line.me/R/ti/p/%40677earei)を友だち追加するだけ。
その後、書類審査やオンラインによるグループ面談、カメラテストなどを経て迎えた表彰式にてグランプリが決定。グランプリ副賞特典として、「めざましテレビ」出演権、「アナトレ」受講権、「CanCam」誌面出演権、「モデルプレス」出演権が授与される。(modelpress編集部)
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