瀬尻稜氏(上)、堀米雄斗選手(左下)、西矢椛選手(右下)/Photo by Getty Images

“スケボー解説が話題”瀬尻稜氏語った日本の強さの理由、五輪制覇の価値「不良のイメージから変わる瞬間」熱い思いに注目集まる

2021.07.26 18:34

東京オリンピックではスケートボード・男女ストリートが25・26日に行われ、今大会から採用された新種目ながら日本人選手が男女共に初代王者に輝いた。ネット上では、両日共に解説を務めたプロスケートボーター、瀬尻稜(せじり・りょう/24)氏の「はんぱねー!」「やべー!」といったフランクな解説も話題に。日本スケートボード界の第一人者でありながら、五輪には出場せず、今回のスケボームーブメントの影の立役者となった瀬尻氏が語った思いが注目を浴びている。

  

瀬尻稜氏が語る日本の強さの理由

25日、オリンピック史上初のスケートボード競技が男子ストリートから幕を開けると、瀬尻氏の「やばいっすね」「はんぱねー!」「やべー!」「鬼やばいっす」といったユニークな解説がネットユーザーの間で話題となり、予選の時点から注目度が一気に高まった。

堀米雄斗選手/Photo by Getty Images
そして男子では22歳の堀米雄斗(ほりごめ・ゆうと)選手が、女子では13歳の西矢椛(にしや・もみじ)選手が、金メダルを獲得し初代オリンピック王者に。中山楓奈(なかやま・ふうな/16)選手も銅メダルを獲得し、瀬尻氏も「感動したっすね」と感慨深げにその活躍をたたえていた。

ライッサ・レアウ選手、西矢椛選手、中山楓奈選手/Photo by Getty Images
瀬尻氏は17歳のときにワールドカップで日本人初優勝を達成した、日本が誇る世界トップレベルのスケーターだ。しかし“勝負のためだけでなく自分が楽しむためにスケートボードをする”という理由からオリンピックは目指さなかった。

そもそもスケートボードはストリートカルチャーとしてアメリカで生まれ、ファッションや音楽、アートとも密接に関係しながら自由な表現として発展してきた。スケーターたちはSNSやYouTube等で自身のパフォーマンスを音楽やアーティスティックな映像と共に公開し、その動画がきっかけで大きなスポンサー契約にもつながるという。

カルチャーからオリンピック種目にまで採用されたスケートボード。アメリカ発祥のこの競技で日本が強豪となっている理由について、瀬尻氏は「日本人は真面目で几帳面。たくさん練習して技術を身に着けている点が大会では有利なのでは。大胆に激しくスピードつけて、というよりは、“確実に”というところ」と、勤勉な日本人の技術の正確さを挙げる。さらに、女子決勝を終えると「やっぱり日本人メンタル強いなと思いました。ここぞというときに乗ってくる」と、その冷静な精神力も評価した。

瀬尻稜氏、スケートボード大会は「もともとはみんなで楽しむお祭り」

一方で瀬尻氏は、日本中がスケートボードに熱くなった2日間を受け、“競技以外”の面も含めたスケートボード界の未来への希望を語る。

瀬尻氏は解説中にも「オリンピックではユニフォームなども決まっているが、競技大会が始まったのは最近。もともとはみんなで楽しむお祭りのような感じで、失敗しても笑顔」と話した。

倉田大誠アナウンサー (C)モデルプレス
さらに、今大会でスケートボード競技の実況を担当しているのは、自身もブレイクダンスを得意とし、ストリートカルチャーに親しみのあるであろうフジテレビ・倉田大誠アナウンサー。瀬尻氏の言葉に、「自分の価値観を認め合うことを大事にしているカルチャーであり、スポーツなんですね」と反応した。


カルチャーとしてのスケートボードの魅力も「気づいていってくれたら」

瀬尻稜氏/Photo by Getty Images
「今回スケートボードを初めて見た人も多いと思う」という言葉に、瀬尻氏は「今までのスケボーってちょっと不良のイメージだったりとか、町でやってる迷惑なイメージとかもきっと少しはあったと思う。これで変わると思います。(今回活躍したのは)10代の子たちですからね。大人の不良のイメージから、またガラッとスケボーのイメージが変わる瞬間なんじゃないですかね」と、スケートボードの知名度が上がることの意味の大きさを語る。

倉田アナが「ただしかし、根底にはストリートで行われたカルチャーという文化も決して忘れることはできない、捨ててはいけない大事な側面だと思います」と続けると、瀬尻氏は「そうなんですよね。競技としてのスケボーのいい部分はたくさんのちゃんと伝わったと思う。そういう人たちが、スケボーのいろんなことを調べていったときに、ストリートのビデオだったり、スケボーのいいところが出てくると思う。そういった良さにも少しずつみんなが気づいていってくれたらいいなと思います」と、思いを口にした。

「決してコンテストでてっぺんをとるだけがスケートボードではない。根底に“楽しみ”がある。それがスケートボードシーンのみんなの思いなのかもしれません」と、倉田アナの思いも熱かった。

瀬尻稜氏「みんながみんなを認め合っていけるような世界になったら」

西矢椛選手/Photo by Getty Images
倉田アナから「どんなところが変わっていったらいいと思うか」と聞かれた瀬尻氏。「スケボーをしてない人と、スケーターがもうちょっと共存して生きていけたらいいと思う」と切り出すと「海外に行くと、街でスケボーしていてもそんなに嫌がる人がいなかったり、お年寄りがいるところでスケボーしてても何も言われなかったり、そういう場所もある。そんな風にみんながみんなを認め合っていけるような世界になっていけたら」と願いを語った。

今までにないような自由奔放な解説が「知り合いのお兄ちゃんが解説してくれてるみたいで心地よい」「フランクだけど気持ちが伝わってきてわかりやすい」と話題になった瀬尻氏。

一方で「ライトな言葉遣いもしつつ、スケボーへの真摯な思いが伝わってくる」「スケボー界への愛と情熱を感じる解説だった」「瀬尻さんの解説のおかげでカルチャーとしてのスケボーの魅力まで知りたくなった!」といった声も相次いでいる。(modelpress編集部)

西矢椛選手/Photo by Getty Images
情報:NHK
【Not Sponsored 記事】

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