「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス

桜田通“サクフェス”ZeppTokyo公演 目を閉じて歌った新曲「Hero」に込めた想い「もう会うことができない存在にも届いていたらいいな」<レポ・セットリスト>

2021.02.14 18:55

俳優の桜田通(29)が13日、恒例のライブイベント「Sakura da Festa 2021~the next phase~」をZeppTokyoで開催。モデルプレスでは昼夜2公演のうち昼公演の模様と終演後のインタビューをお届けする。

  

“サクフェス”史上最大規模の演出で全12曲を熱唱

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
Netflixオリジナルシリーズ「今際の国のアリス」やドラマ「3Bの恋人」(ABC・テレビ朝日)などの俳優業を軸に、自身の出演作の主題歌や自ら作詞を手がけたオリジナル楽曲を披露する「Sakura da Festa」、通称“サクフェス”をライフワークとする桜田。昨年のツアーはコロナウイルス感染拡大の影響を受けて最終公演が中止となり、9月に無観客のオンラインライブを開催。今回は約1年ぶりの有観客ライブにしてサクフェス史上最大規模となるZeppTokyoでの公演が実現し、夜公演はオンライン配信も行われた。

観客動員数の削減、入場時の消毒・検温や換気など万全の対策が敷かれた中、ライブが開演。静けさをぶち破る重低音とともに、ステージ前方の紗幕にレーザーで映し出された幾何学模様が目まぐるしく蠢き、その下で桜田が新曲「One Word」を力強く歌い上げる。まさしくサクフェス史上最大の規模感の演出でオープニングを飾り、観客もそれに応えるように、歓声を抑えながらもクラップや拳で気持ちの高ぶりを表現。続く2曲目「Don't step on Me」は紗幕に歌詞が映し出される演出と心地よいミディアムテンポが幻想的にマッチした。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
「皆さんようこそ、Sakura da Festaへ!この半年間の自分が言ってきたこと全部裏切るんですけど…やっぱ有観客だよね!」と同じ空間に集まることのできた喜びで笑顔を弾けさせる桜田。「とにかく嬉しいですね。迷いながら来ることを決断してくださったと思うので、全力でやらせていただきたいです」と意気込み、かつて桜田とZeppTokyoに観客として訪れたことがあるというミナミ(Gt)は「通と一緒にここでライブ観たね。マジで(ライブをやることが)実現して…嬉しいです」と思い出を語り、感動を噛み締める。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
昨年9月にオフィシャルファンクラブ「Sakura da Space Society」を開設したこともあり「今までで一番(コンディションが)いい、完璧」「ファンクラブができてから、俺の心が落ち着いてるんだよ。今日もこうして対面してはいるけど、皆同じ方向を向く仲間であり“ホーム” でしかない。皆のパワーを借りて最高のライブをしていけると思います」と“絶好調”を宣言。その言葉通り「NOISE」は観客全員と心を一つに拳を高く突き上げ、チーム・ハンサム!のナンバー「君だけのHERO」では「ZeppTokyoにハンサムで立ったことを思い出します!」と振り返りながら、叫ぶことが叶わないファンに代わって自ら「どーり!」の合いの手を入れるお茶目さも見せた。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
「“声を出さない”って思いが強ければ強いほど、皆さんの気持ちが伝わってくる。今日はそっちのエネルギーをもらってライブができる気がします」と今の状況下で強いられる障壁を物ともせず、「今こうしてライブができるのも、根本的には芝居を続けてきたから。そんな僕にとって大切な一曲」と主演映画『ラ』の主題歌「鼓動」で高音を響かせる。美しく光が降り注ぐ演出が前向きな歌詞のメッセージを際立たせた「限りある日々」、ミディアムバラード「会いたい」をしっとり切なく聴かせた後は、いよいよサクフェス恒例のロックナンバーで怒涛の後半戦へ。

「皆、最後まで盛り上がっていけますか!」と叫び、「born again」「FICTION」「Seize the Day」と畳み掛けた3曲。突き刺さるようなサウンドの合間で「心の中で、声!」と会場にマイクを向け、声にならない想いに耳を傾ける桜田。歌い重ねてきた曲も、その時の環境や心情によってまた新しく生まれ変わる。「FICTION…ZeppTokyoに似合うなマジで」と日々のモヤモヤを吹き飛ばすかのようなヘッドバンギングで髪を振り乱しながら歌い上げると、「間違いなく、今までのサクフェスの中で一番最高なライブです!全て皆さんのおかげです」と確信に満ちた一言。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
そして「作った頃より、今歌う方がより気持ちが込もると思います」という一曲「あの空へ」は「皆の心に今から問いかけます!」と叫び、「立ち上がれ!」とその場にいる全員を鼓舞するような歌詞を全身全霊で届けた。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
ツアーの最終公演があえなく中止になって以降も、オンラインライブの開催、ファンクラブの開設、“約680分間”ぶっ続け生配信という異例の試みを行った誕生日イベントなど、様々な形でファンと心を通わせる術を模索してきた桜田。最後のMCではその想いを率直に語った。

「僕も変に器用だったりするから、配信ライブでも皆さんの気持ちを想像することができるけれど、今日こうやって皆さんが目の前にいる状況とはほんの少しの差があって、その差がすごく大切。想像じゃない現実で皆さんと話すことができる。目を合わせて何かを伝えられることはやっぱりすごく幸せだなと思っています。

この時間をより心に残して“楽しかった”とプラスにするには、それ以外の膨大な時間をいかに前向きに生きていくかだと自分は思っています。そこを雑に生きていたら、僕はこんな風に皆の前で歌うことはできないし、今日があるから、今日以外の日をちゃんと生きようと思える。それは皆がいないと成立しない図式だと思うし、今日こうしてライブができたから、また僕は前向きに明るい日を過ごせるんじゃないかなと思います。

混沌とした時間かもしれないけれど、学んだことはある。僕はそう前向きに捉えています。皆のことを“強い人たちだな”と思ったりもするから、すごく心配しているわけではないけれど、もしまだ毎日あんまり楽しくないな、憂鬱だなと思う人がいるなら、僕の考え方や思想をきっかけに、ちょっとでも前向きになってくれたらいいな…自分のように楽しく毎日を過ごしてもらいたいなと思っています。

僕にとって皆さんがそうであるように、僕も皆さんにとってそんな存在でありたい。プラスの感情を分かち合えるように、これからも頑張りたいと思うのでよろしくお願いします」

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス
ラスト一曲を前に「突然緊張してきた!」という桜田は「…一回横になっていいですか」と大胆にもステージに大の字になり、バンドメンバーたちの笑いを誘う。仕切り直し、改めてマイクを握りしめた桜田が「悲しい時間や思い出を全て込めた一曲です。皆さんがこれからも楽しく過ごせるように…今までのSakura da Festaで一番、心を込めて歌います」と語り、披露したのは新曲「Hero」。

昨年4月、SNS上の「#うたつなぎ」企画で生まれた楽曲で、シンプルなピアノ伴奏を合図に届けられたのは「出会ってくれて本当にありがとう 離れていても心はずっとそばにいるよ」と寄り添う温かなメッセージ。「僕が皆さんを想っているんだよ、ということを伝えたくて作った曲です」という桜田の想いを受け止めたファンは、その瞳に涙を浮かべながら聴き入っていた。

「Sakura da Festa 2021~the next phase~」より(C)モデルプレス

【インタビュー】新曲「Hero」に込めた想い「もう会うことができない存在にも届いていたらいいな」

桜田通(C)モデルプレス
― 昼公演お疲れ様でした。まずは感想からお聞かせください。

桜田:こんなに落ち着いたライブは久々でした。オリジナル曲も増えたからなんですけど、個人的にはもちろん100点ではないけど、歌詞も間違えなかったし、本当に落ち着いてやれていて。ずっと落ち着いてぶっ飛んでました。これはちょっと新たな発見というか。このライブの仕方はすごく心地いいなと思いました。

― ZeppTokyoということでこれまでにない演出もありました。

桜田:Zeppということで今までになかった舞台監督さんもいて、環境の規模が上がりました。サクフェスもこうなったんだ…という嬉しさはありましたね。紗幕を使った演出も、これくらいのキャパになったらやってみたいと思っていたことだったので、僕もそうだし、スタッフの方々も自ずと「こうだよね」みたいな。各々「Zepp来たし、ちょっと変えるよね」とトントン拍子で事が進んでいきました。音楽がないことには演出もできないので、(サウンドプロデューサー&マニピュレーターの)Naokiさんとめっちゃ必死に曲作って。そういう期限みたいなものにはケツ叩かれながらやっていましたけど、何回か打ち合わせを重ねてたくさんの方々とやれたので、Zeppに来るにふさわしいなと思えた演出になりました。そこに不安はなかったので、あとは本番、この身一つで演出に負けないくらいお客さんに伝えるには、ってことだけでした。

― 新曲2曲「One Word」と「Hero」の制作エピソードをお聞かせください。

桜田:「One Word」の冒頭の「In the beginning was the Word」は、僕自身は無宗教ですが新約聖書「ヨハネによる福音書」の一節目なんです。日本語に訳すと、様々な意味合いもあり、解釈には諸説あるんですけど「はじめに言葉ありき」という言葉で。僕は言葉をすごく大切にしたいと思って生きている人間だし、それにSakura da Festaにふさわしい1曲目も欲しかったんです。1曲目にふさわしく、今までの「あの空へ」「Seize the Day」「FICTION」とは違うような曲を作りたかった。今のこの時代を生きているからこそ書ける歌詞になったかなと思っています。

最初に書いた時は、いつの時代でも風化せずに刺さりそうなもので考えていたんですけど、それだと書いていてやっぱりちょっとしっくりこない、かっこつけてんなと思って。最初サビも英語の掛け声があったりしたんですけど、慣れている日本語が一番でしょってことで、今僕が生きていて思っていることを存分に込めて作りました。非常に気に入った曲になっています。聴く人が聴けば何のことを言っているのかわかると思うんです。それは僕の普段の生きている姿、発信している想い、僕の好きなもの…趣味や映画、自分が出ている作品からも来ているので、知っていれば知っているほど、「もしかしてこのこと言ってるんじゃないかな」「あー、わかるわ」ってなると思う一曲です。

「Hero」は「#うたつなぎ」っていう、自粛期間にSNS上でアーティストの方々の間で広がった企画で、僕もバトンをもらったので作った曲なんですけど、実は前回の配信ライブでもやろうかという話が出たんです。ただ僕は本当にお客さんが入っている状態で歌いたいと思ったんですよ。最後にいつもは「きっと今日より」や「それでいい」を歌っているんですけど、やっぱり今回は久々に再会ができるというのもあるし、このコロナ禍でライブをやるという意味でも、そこにふさわしい最後の曲はどうしても皆に直接聴いてほしかった。

一番の終わりまではほぼ完成していたんですけど、実は歌詞をマイナーチェンジしていて。今歌うにふさわしい歌詞に変えたり、あの時は急いで作ったので歌ってみて耳障りの悪い部分は少しだけ歌詞を削ったり。そうやって整えながら、サビの歌詞は一番最後の言葉を頭に持ってきたりとか。結局、伝えたいことってこれだったんですね。「離れていてもずっとそばにいるよ」「今日も幸せを願ってる」「出会ってくれてありがとう」ってことだったので、その一番伝えたいメッセージを頭に持っていきたいと提案し、曲の構成を組み替えたりして作りました。

僕も生きていて別れもあったし、ペットが亡くなってめちゃくちゃ悲しいっていうこともあって。この「出会ってくれて本当にありがとう」っていうのは、何に対しても言える言葉なんですよね。家族も友達にもペットにも全部そう。だから今いる人に対して伝えたい曲でもあるし、「離れていても心はずっとそばにいるよ」というのは、僕の中ではもう会うことができない存在にも届いていたらいいな、という思いで歌っています。それを皆さんの前で歌えるということが、僕は結構ドキドキして。それまで全然緊張してなかったのに、この瞬間だけはマジで緊張しました(笑)。一回横にならなきゃ無理だった(笑)。横になってなかったらもっと歌詞飛んでたと思います。

― 効果あったんですね!(笑)

桜田:あれかなり落ち着きましたね(笑)。もう周りを気にしちゃダメだと思って。今となってはメロディももっと丁寧に歌えたのかもしれないけど、それはこれからもっと歌い慣れていけたら。この曲はまだどこで配信するかも決まっていないので、レコーディングもマスタリングも何もしていない状態。もしこの曲を配信するんだったら一度歌った後がいいと思ったので、歌い込めてもないんです。そういうちょっとした不安定さも含めて伝えたいことだと思ったから、ちょっとチャレンジで歌ってみましたけど、大きく間違えなくてよかったです(笑)。緊張しました。

― 観客の方々の表情や反応はいかがでしたか?

桜田:本当に申し訳ないけど、(『Hero』を歌っている間は)見れなかった。これで見て皆がもし感動しちゃってたりしたら、俺ももう感動しちゃうから。とにかく目をつぶって、目の前にいる人や今日一緒にいられない人、全てを想像しながら歌ってました。もう最近は物理的なものなんて超えて生きてるので(笑)。目の前の現象を超えた次元で伝えていきたいと思ってるから、逆に今日は見なかったです。

― 最後に、改めてファンの皆様へのメッセージをお願いします。

桜田:まずSakura da Festaとして、Zepp Tokyoっていうものはありがたい反面、余裕で通過点だと思っています。でも今日やってみて、結構境目だと思ったんですよ。これでZepp TokyoをSakura da Festaの空気で充満できなかったらここまでだと思うし、僕は正直、ちゃんと届けられたのかな?とまだ少し思っていて。そういう中ではある意味、次の切符も射程圏内に入ったなと思いつつ、この環境をありがたく大事に思いながら、伝えられる人数が増えれば増えるほど、僕がこうやって生きてるんだと伝えていくべきだと思っています。

やっぱり自分の信念を持って伝えることしかできないし、そこに自信がなかったら僕は多分今日Zepp Tokyoに呑まれていたと思うから、そこはいい意味でこれからもっとちゃんと自信も持たなきゃなって。こう言いながらもまだ心の中でおこがましいなと思う自分もいるし、「Hero」の歌詞にもある「僕はきっとHeroじゃない」ってその通りなんですよ。僕は全然えらくもないし、Heroでもない、世界からすればちっぽけな存在なんだけど、目の前の一人一人に自分の伝えたいことを伝えるっていうことをこれからもしていきたいと思っています。

今回は配信もあるということで、いつもやっていたようなドラマ主題歌は色んな権利問題があって控えなきゃいけないものもあって。思えばほとんどオリジナル曲でセットリストが組めるようになっちゃったんですけど、もしこれからまた配信のないリアルライブができるようになれば、ドラマ主題歌などもやっていって、今までのSakura da Festaの良さもちゃんとなくさないでいこうと思っています。今はこういう風に自分の曲が多めにはなると思うんですけど、皆さんからの意見やメッセージも日々真摯に受け止めながら、皆でSakura da Festaを作っていきたいと思っているので、是非これからも応援してくださったら嬉しいです。アーカイブもあるので、本当にこの瞬間を目撃してもらえたらなと思います。

― ありがとうございました。(modelpress編集部)

モデルプレスマン(C)モデルプレス

桜田通「Sakura da Festa 2021~the next phase~」セットリスト

M1 One Word
M2 Don't step on Me
M3 NOISE
M4 君だけのHERO
M5 鼓動
M6 限りある日々
M7 会いたい
M8 born again
M9 FICTION
M10 Seize the Day
M11 あの空へ
M12 Hero
【Not Sponsored 記事】

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