【TGC2020S/S 】無観客で開催 香里奈・中条あやみ・白石麻衣・ラウールら集結 片寄涼太・日向坂46が登場(C)モデルプレス

無観客開催された「TGC」自粛ムード下で見せた新たなエンタメ発信 主催者・出演モデルの思いは

2020.03.01 09:19

「第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER」(以下:TGC)が2月29日に開催された。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、急遽無観客での開催が決まった今回のTGC。ライブ配信やSNSを巧みに駆使し、観客ではなく視聴者やネットユーザーを取り込んだ新たなリアルタイムイベントとなった。

  

30回目のTGC、“無観客”開催を決断

今回のTGCは節目となる30回目。同イベントの聖地である代々木体育館の改築が終わり、3年ぶりに代々木にカムバックするという記念の回でもあった。しかしイベントの実行委員会は、本番3日前の26日、「厚生労働省の発表を受け慎重に検討を重ねた結果」“無観客”で開催することを決定。LINE LIVE(生中継)とメディア配信での実施となるため、内容をより適した形に再構築することも発表された。もちろん来場予定だった観客には、チケットの払い戻しが行われる(3月6日~)。

無観客開催となった「第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER」外観(C)モデルプレス
TGC立ち上げから参画する「W TOKYO」代表取締役社長の村上範義氏はモデルプレスの取材に対し、このような局面で改めて『女性ファッションブランドをはじめ、若年層向けの商品を扱う会社の発表の場になっている』というTGCの存在意義を考える機会があったことを説明。「発信・発表の場を設けることは、短期的な利益を求めるのではなく、中長期的な事を考えての決断。今ネガティブな状況が続いている中で、可能な限りポジティブな要素を見出していくことが、経済の持続性という意味ではとても必要なので開催に至った」と明かした。

またこの機会が、これから更に進化する通信システムの時代において、「どうやって映像でファッションを表現していくか」をチャレンジするきっかけにもなったという。実際にカメラの台数やカメラワークを変え、ライブ配信用に設計し直すなどの変更が行われたそうだ。


関係者・スタッフに感染対策呼びかけ マスク姿でリハ

ランウェイ周りは最低限のカメラマンのみで実施「第30回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2020 SPRING/SUMMER」(C)モデルプレス
そのような経緯で開催に至った今回のTGC。事前に報道関係者には、当日37.5度以上の発熱をしているかつ呼吸器症状がある人、本人・またはその家族が14日以内に中国への海外渡航歴がある人、新型コロナウイルス患者と濃厚接触した可能性がある人は出席しないようになど、注意事項が伝えられた。

トップバッターを務めた中条あやみ(C)モデルプレス
そして当日は主催者側の関係者がマスクを着用するだけでなく、報道関係者にもマスクを無償配布すると呼びかけ。関係者エントラスやモデル控室・トイレ・ミーティングルームなど様々な箇所に除菌用の次亜塩素水のハンドクリーナー、スプレーボトル、超音波噴射機等が設置された。

リハーサル時は、出演者もマスクをつけてステージに。ステージ横にも次亜塩素水を配置したという。


ライブ配信イベント盛り上げのため内容の変更・追加

前述したとおり、ライブ・SNSでの配信型イベントとなるため、演出の変更、コンテンツの追加がいくつも行われた。

カメラワークやカメラ台数だけでなく、LINE LIVE時のテロップを増やしたり、普段は行わないSNSでのシークレットゲスト予想&発表企画を実施したりするなどして、インターネット上での盛り上がりを煽った。ライブ配信の良さを活かした、出演者との生電話企画や、スタジオからのプレゼント企画も。

スタッフはこのような変更・追加企画のため、急ピッチで当日まで準備や調整に追われていたという。

無観客でのランウェイ本番 モデルたちは堂々と

白石麻衣(C)モデルプレス
いざ本番、スタッフやカメラマン、報道陣のみのがらんとした会場で、モデルたちはいつもと変わらない堂々としたランウェイを繰り広げた。


渡邉理佐(C)モデルプレス
遠藤さくら(C)モデルプレス
もちろんいつものような客席からの歓声、手作りのボードやうちわによる応援もない会場だが、出演者は続々とLINE LIVE視聴中のファンたちにファッションコーディネートを披露していった。

本番直前、LINE LIVEにアクセスが殺到し、システム障害が起きる場面もあったが、20分以内で復旧。閑散とした会場でランウェイを歩くモデルたちは少なからず戸惑いもあっただろうが、視聴者側は出演者の姿を見ながら十分に楽しむことができたのではないだろうか。

吉村崇、田中みな実(C)モデルプレス
急な企画変更・追加によって、トークコーナーなどでは少なからずバタバタとする場面もあったが、出演者たちもこの異例の措置をカバーしようと一丸となっていた印象。大きな混乱やトラブルはなく順調に、約9時間のイベントが行われた。

トークブースでは出演者が手を除菌するところを必ず見せたり、ステージ上の商品試食場面などでも除菌ティッシュでしっかりと予防する姿を、あえてポップに見せることで若者への予防の啓蒙につなげる姿勢が感じられた。

出演者たちの無観客開催への思いは

香里奈(C)モデルプレス
モデルたちは、ランウェイ後のトークコーナーなどで今回のイベントについて様々なことを語っていた。香里奈は「(ステージを)歩く前まではお客さんがいないことはわかっているんですけど、(ステージに)出た時は忘れているんです」と明かし、「やっぱり寂しかったです。いつも声援をいただいているお客さんのありがたさがわかった」と改めて実感したファンへの思いを語った。

大政絢は「見てくださってる方もいるので、今まで通り楽しみたいと思います」と言い、松井愛莉は「初めての試みなので緊張してるんですけど、皆さんに元気を与えられるようにがんばります」と意気込んでいた。

大政絢(C)モデルプレス
出演者のJOYはモデルプレスのインタビューに応じ「昔はなかったライブ配信というこの時代だからこその発信方法で新たな試みができたんじゃないかなと思います。新型コロナウイルスは早く収束してほしいですけど、こういった試みが進化していくことはエンタメが伸びていくチャンスでもありますし、ライブ配信から元気をもらった方もいると思います」とライブ配信の良さについてコメント。

モデルの鶴嶋乃愛も、モデルプレスの取材に対し「ライブ配信という新しい楽しみ方を皆さんにより知ってもらえる機会にもなったとも思います。ライブ配信が、新型コロナウイルスの関係で外に出られない状況の方たちの楽しみのひとつになれたなら嬉しいです」と語った。

鶴嶋乃愛(C)モデルプレス
司会を務めたフリーアナウンサーの田中みな実も「世の中は少し暗い雰囲気になるかもしれないけれども、自粛自粛ばかりでなくて、明るく楽しいことを発信できたらいいなと思います」と言葉に。俳優・志尊淳は「僕は今回、無観客だからこそ歩くべきなんじゃないのかなと、やらせていただくことにしました。こういう時期だからこそできることを、僕自身、模索してやっていきたい」と前向きにコメントしたほか、目の下には“HOPE”という文字を書き、危機的状況となっている世界に対してのメッセージを感じさせた。

志尊淳(C)モデルプレス

ライブ配信後に村上氏自ら語った無観客開催への思い

最後に挨拶するW TOKYO村上範義氏(C)モデルプレス
イベントのLINE LIVEの配信終了後、村上氏が自らステージに登場し、無観客開催を成功させた出演者やスタッフに感謝を述べた。「感染を防ぐことを第一にして無観客にしたのですが、ブランドさん、モデルの皆さんと作ったクリエイションをどうしても発信したいと思ったので、こういう形でわがままを言わせてやらせていただきました」と明かした村上氏。

「改めてお客さんがいることの嬉しさや大切さをすごく理解することができましたし、こんな中でも皆さんのクリエイションを数百万人の方にライブ配信で見せることができたのは、自粛が続いている中でも、不幸中の幸いだったのではないかと思います」と手応えもにじませた。

日向坂46(C)モデルプレス
このような機会にリアル×ソーシャル連動型の生中継イベントとして昇華された今回のTGC。ネット上では「ライブ配信で大好きなモデルさんたちをたくさん見られてよかった」「感染拡大を防ぐためには賢明な判断だと思う」「無観客でもファンを取り込んでくれて楽しかった」など多くの反響があった。大トリは乃木坂46が務めたが、無観客だったことによって披露した楽曲「逃げ水」の「サビ前の沈黙が成立して美しすぎた!」というポジティブな声もあったようだ。


乃木坂46(C)モデルプレス
エンターテインメントを始めとした多くの文化活動までもが自粛を迫られる中、ソーシャルメディアを駆使した形で発信された今回のTGC。世界的にも危機的な状況となる中で、減っていく娯楽や文化的価値を新たな形態で伝える1つの例を示したのではないだろうか。(modelpress編集部)
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