【18歳選挙権解禁】10代女性・モデルプレス世論調査 選挙に意外と現実的 投票意欲70%超「スマホ通信速度制限解消」の声も
2017.10.20 10:15
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選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の総選挙がいよいよ10月22日に投開票日を迎える(解禁後初の選挙は昨年の参院選)。全有権者数の約3%にあたる18~19歳(約240万人)。今回モデルプレスは、18~19歳の女性有権者へ、総選挙に対する意識調査を行った。
調査方法
モデルプレス調査員による東京・渋谷区にて18~19歳の女性に直接聴取形式の調査。有効回答は101人。77%が学生、23%がその他。学生のうち高校生・高専生が33%、専門学校生が5%、大学生が62%。(調査日:10月18日)また、18~19歳女性の北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州の日本全国8地域へのインターネットリサーチ形式の調査も実施。有効回答は103人。88%が学生、12%はその他。学生のうち高校生・高専生が26%、専門学校生が13%、短大生が2%、大学生が49%。99%が未婚で、年収200万未満が15%。(調査日:10月13日/マクロミルモニター活用)
質問と回答
●あなたは今回の選挙で投票を行いますか?
・投票する:73.8%・投票しない:26.2%
●あなたが選挙の情報を得ているメディアは?
・テレビ:76.7%・ネットニュース:35.9%
・SNS:28.2%
・新聞:20.4%
・街頭演説:16.5%
・候補者、政党発信の資料:10.7%
●街頭演説を足を止めて聞いたことがありますか?
・ある:11.7%・ない:89.3%
●好きな芸能人が出馬するとしたら投票しますか?
・投票する:36.9%・投票しない:63.1%
●候補者のルックスは投票基準になりますか?
・なる:23.3%・ならない:76.7%
「選挙で投票する 73.8%」
投票するかどうかについて、「投票する予定」と回答したのが73.8%。街頭演説を足を止めて聞いたことがあるかと問うと「ない」が89.3%を占めた。また好きな芸能人が出馬するとしたら、投票するかについては「投票する」が36.9%。候補者のルックスが投票基準になるか「ならない」が76.7%だった。
選挙の情報を得ている媒体(複数回答)については、「テレビ」が76.7%。次いで「ネットニュース」35.9%、「SNS」28.2%、「新聞」20.4%、「街頭演説」16.5%、「候補者、政党発信の資料」10.7%。
10代女性は意外と現実的で投票意欲も高いという結果となった。
現実の生活問題のテーマが続々と
さらに今回モデルプレス調査では、東京・渋谷などで、10代女性が選挙に対してどのように考えており、また日常にどのような問題を抱えているのか、約100人から具体的に話を聞いた。・「スマホの通信速度制限問題」
現実的な生活のテーマとしては「スマホの通信速度制限の解消」を求める声が多く「YouTubeやInstagramを見ているとすぐ制限される。Wi-Fiがあるところを探して、1~2時間歩いたりしている」「外でライブ配信などをしているとすぐに制限にかかる」「街中にWi-Fiが飛んでいたら嬉しい」と、スマートフォンでSNSを多用する世代ならではの問題を抱えているようだった。
・「電車オールナイト」「満員電車問題」
また「公共交通機関の24時間営業」を要望する声も多く、「地方だから終電が早い。友達と早くバイバイしなきゃいけない」「終電逃したらいつもカラオケ。本当は帰りたい」「お金がもったいないから公園で過ごす」と10代のリアルな意見があがってきた。
これについて「どうしたら実現できるか」と尋ねると「深夜は電車賃を割増にしたらどうか」「深夜は山手線やバスを走らせる」など、個々に対策案も飛び出した。
さらに公共交通機関の中でも、利用する人の多い「電車」に関して問題視する人は多く「満員電車は異常な状態。無くして欲しい」「全時間で女性専用車両を作って欲しい」「田舎なので、本数が多くしてくれると助かる」「隣駅に行くだけで100円以上かかるから、いつも歩いている」など切実な声も多かった。
・「医療費の無償化」「ATM手数料の無料化」
ほかにも「医療費の無償化」や「ATM手数料の無料化」、「飲酒の18歳引き下げ」「産休や待機児童問題」などが挙がり、自身の生活とダイレクトに繋がる悩みについて、問題意識を持っていることが伺えた。
選挙へのリアルな意識は?「住民票問題」も
・「選挙を経験してみたい」10代女性は意外と現実的で、19歳より18歳のほうが投票意欲が高かった。
選挙へ行く理由を尋ねると「選挙へ行く経験をしてみたい」が最も多く、ほかには「親や先生に言われたから」「周りがみんな行くから」といった声が続いた。
ほか、政治に対して意志をもって投票する人もおり、「若者が行かないと高齢者に有利な政策になるから」「自分たちの将来を自分たちで選択したいから」「選挙権を獲得する歴史を勉強したら、行きたい気持ちになる」「投票した人だけが意見を言えるから」などの意見が。選挙へ行く人の中でも、意識の差がはっきりとしていた。
・「投票するなら考えて選びたい」
候補者を選ぶ基準としては、「自分の生活を良くしてくれそうな人」が多く、著名人が出馬しても積極的には投票しないという傾向も見られ、投票層においては「投票するなら考えて選びたい」と選挙を自分ごととして捉える人が比較的多かった。
・「テレビで情報を入手する」
また情報を入手する具体的な媒体については「朝のニュース番組(テレビ)」に次いで「Twitter」といったインターネットサービスをよく利用しているようだった。
・「住民票が地元にあるから無理」
選挙へ行かない人の理由は「よく分からないから」が最も多かったが、一方で「住民票が地元にあるから無理」という意見も多かった。
昨年の参議院選挙では、10代の投票率は46.78%で20~24歳の33.21%より高い。また、年齢別で見ると18歳は51.28%、19歳は42.30%と、19歳のほうが投票率が低かった。これは住民票が地元にあるままで投票から遠ざかっているという見方がある。現在、各大学では「不在者投票制度」の活用が呼びかけられているという。
・投票しない10代女性の声は?
また「毎日朝から夜まで仕事で時間がない」「誰が出ているのか知らないから」「面倒だから」「投票に責任が持てないから」「一人が投票したところで何も変わらないから」などと続いた。
ただ投票しないと表明した人の中には、好きな芸能人が出馬した場合に「それは応援したいから投票する」という回答もあった。
10代女性たちの問題意識に注目
現実的な生活の問題についていろいろなテーマを語ってくれた女性たちだが、それら全てを政治と関連付けて考えている人ばかりではなく、政治に対しても「政治家は違う世界の人みたいなイメージ」「私からしたら解散した理由もよくわからない」「わかってない事が多いから政治にも興味持てない」「わかりにくい言葉が多すぎる」などと、理解が難しいと訴える10代が圧倒的多数だった。投票権を新たにもった世代は、それぞれ特有の悩みを持ちながらも、政治へ参加する仕組みの理解が不十分なため、意志をもった投票を出来ずにいるように感じられた。
女性の選挙への参加について歴史を紐解くと、日本で最初に女性に参政権が与えられたのは1880年(明治13年)だが、1884年には廃止。1900年~1945年までは戦争中の治安警察法により、女性の政治参加を禁じ、抑圧された時代が続いた。その後、民衆運動の盛り上がりも後押しし、ようやく戦後1945年(昭和20年)に女性が選挙へ参加できる参政権を勝ち取った。
選挙権が18歳以上に引き下げられてから初めての衆院選は、いよいよ10月22日に投開票を迎える。今回の10代女性たちの行動にあらためて注目していきたい。(modelpress編集部)
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