東出昌大、波瑠/「あなたのことはそれほど」第2話より(画像提供:TBS)

波瑠主演・不倫ドラマ「あなそれ」が「昼顔」「奪い愛」より「ヤバイ」と言われる理由 共感出来なくても面白い

2017.04.26 04:21

25日に第2話が放送された女優の波瑠が主演を務め、東出昌大仲里依紗鈴木伸之(劇団EXILE)が共演するドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系、毎週火曜よる10時~)。波瑠演じる主人公・美都と、鈴木演じる有島の不倫を軸に、2組の夫婦のマリッジライフと四者四様に揺れる恋愛模様を、予測不能な展開で繰り広げていくが、これまでの不倫ドラマとの違いは何か。

  

いくえみ綾の人気コミックを実写化

(左から)鈴木伸之、波瑠、東出昌大、仲里依紗(C)モデルプレス
人気の漫画家・いくえみ綾氏の人気コミック「あなたのことはそれほど」(祥伝社 「FEEL YOUNG」連載中)を実写化。“2番目に好きな人”と結婚した、波瑠演じる主人公・渡辺美都がずっと想い続けていた、中学時代の同級生と偶然再会したことからすべてが始まる、大人のいびつなラブストーリー。

美都に一目惚れをして結婚した夫の渡辺涼太役を東出、美都の中学時代の同級生である有島光軌役を鈴木、有島の妻の有島麗華役を仲が演じる。


不倫に走る主人公、その理由は…

仲里依紗、鈴木伸之/「あなたのことはそれほど」第2話より(画像提供:TBS)
眼科で医療事務として勤務する主人公・美都は、乙女で思い込みが激しく、向こう見ずな性格。中学時代に同級生だった有島に恋をし、この人と結婚すると思い込んでいたが、占い師に「2番目に好きな人と結婚するといい」と言われ、ショックを受けた過去がある。

第1話のラストで再会し、一線を越えた美都と有島。第2話ではさらに嘘を重ね、不倫の温泉旅行中に出産のため里帰りしていた麗華が出産。お互いに既婚者であることが発覚するという波乱の展開が続いている。

波瑠/「あなたのことはそれほど」第2話より(画像提供:TBS)
有島と再会してからの美都は『思い出した!恋ってこんな感じだった』と目に見えてウキウキとし、一切悪びれることもなく不倫をスタート。そのモノローグは清々しいほど自己中心的な考え方で、ためらいや罪悪感が1ミリもないことをよく表している。不倫を隠すため涼太に嘘をついたときには『初恋が嘘で淀んだ気がする。この気持ちは私の中で一番綺麗なんだけど』。『私結婚してるんだった』と事実を忘れるほど有島との情事に夢中になり、結婚を後悔。『何で今こんな幸せが振ってきたんだろう。おかげで私悪い人になっちゃったよ』と不貞も“運命”のせいに仕立て上げる。

「昼顔」「奪い愛」とは違う魅力

ここに、昨今の多数の不倫をテーマにしたドラマとの違いが。『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(2014年、フジテレビ系)が一大ブームを巻き起こしたが、その後にドロドロの不倫劇が話題を呼んだ『不機嫌な果実』(2016年版、テレビ朝日系)も『昼顔』も、主人公は夫とのセックスレスに悩みを抱えていて、葛藤しながらも不倫から本物の愛に目覚めてしまうというという流れだった。

また、『不機嫌な果実』のスタッフが脚本家の鈴木おさむ氏とタッグを組んだ前クールの『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)とも大きく異なる。主人公・光(倉科カナ)は、元恋人の既婚者・信(大谷亮平)と禁断の愛に走り出すが、ストーリーが進むにつれて信の妻・蘭(水野美紀)が3年前に姑息な手を使って光から信を“奪った”ことが明らかとなっていき、光には同情の余地があった。

波瑠、東出昌大/「あなたのことはそれほど」第2話より(画像提供:TBS)
しかし、『あなそれ』の美都は、こういったこれまで描かれてきた不倫劇の主人公とは一線を画している。料理好きで穏やかで、愛妻家の完ぺきな夫を持ち、何の不自由もない結婚生活を送っている美都。いつまでも少女のような心の持ち主で、完成披露試写会でも波瑠が「不倫しているというより、単純に恋してるんですよ。それがおかしいんですけど、その気持ちを大切にしている」と話していたように、その行動の原動力は純粋な“恋する気持ち”でしかない。

不倫に至る描写も軽快な音楽とともに進み、爽やかな演出を徹底。「初恋の人を忘れられない」という気持ちには共感する人も多いと想像できるが、不倫までの早すぎる展開はなかなか理解しがたいものとなっている。

東出昌大、波瑠/「あなたのことはそれほど」第2話より(画像提供:TBS)
美都以外の3人もどこかいびつ。狂気さえ感じる登場人物たちに、視聴者からは「全く共感できない」「想像以上にクズだった」「頭の中がお花畑だなあ」「全員サイコパスじゃないか…」など圧倒された声が多数で、中には「色んな不倫ドラマみてきたけどヒロインが1番ぶっとんでるかも。ここまで嫌われるヒロインにするの思い切っててすごい」「同情の余地がないぶん、昼顔よりやばい」「なんか…奪い愛の方がまだ救いようがあった」「違う意味で怖面白い」という意見も。

それでも、「結局怖いもの見たさでみちゃう」「誰にも感情移入できないのに続きが気になって仕方ない!」「これは絶妙にリアルだわ」と話題を集めており、“共感”とは違う形で楽しんでいる人が多いようだ。

波瑠(C)モデルプレス
人間味のあるキャラクターやリアルな心理描写は、原作のいくえみ氏の作品の魅力の1つ。本人も今作についてインタビューなどで、共感は求めてない、といったことを度々公言している。波瑠自身も「演じる役の言動が正しくないとわかっていても、どんなに愚かでも、心中するような気持ちでどこまでも寄り添っていくことしかできないのです」(17日ブログより)と、美都の行動や言動には疑問をのぞかせており、完成披露試写会では「バカだなって思って観てもらえれば」と魅力をアピール。

キャスト一同“覗き見”という言葉を強調していたように、2組の夫婦が崩壊していくさまと、それを役者陣がどう演じきるのか、楽しみながら見届けたい。(modelpress編集部)




情報:TBS
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