志尊淳(左)主演舞台「春のめざめ」に出演する大野いと(右上)と栗原類(右下)

大野いと&栗原類、志尊淳と“問題作”に挑む

2016.12.02 10:00

俳優の志尊淳が舞台初主演をつとめる「春のめざめ」(KAAT神奈川芸術劇場にて2017年5月上演)に、女優の大野いとと、モデルで俳優の栗原類が出演することが発表された。

  
同作は、KAAT神奈川芸術劇場芸術監督として、近代戯曲を現代に蘇らせるシリーズに取り組んでいる白井晃氏による「ペール・ギュント」「夢の劇―ドリーム・プレイ―」「マハゴニー市の興亡」に次ぐ第4弾。ドイツの劇作家、フランク・ヴェデキント作の名作戯曲で、物語の中心人物となるメルヒオール役を志尊が演じ、思春期の少年たちの性の目覚め、大人や社会との葛藤と苦悩を表現する。

大野いと&栗原類の出演が明らかに

志尊演じるメルヒオールの同級生でヒロインのヴェントラ役を演じるのは、大野。さらにオーディションに参加して監督の目に留まり、メルヒオールの友人で作中重要な役割を担うモーリッツ役に栗原が抜擢された。

大野は、同作への出演について「思春期の男女がどのように“性”というものを知っていくのか、そしてどのように受け止めていくのか、発表された当時は問題作とされていましたが、ミュージカルとして人気を博したこの作品に、今回携わることができてとても気持ちが入ります」とコメント。「白井晃さんや志尊淳さん栗原類さんたちと一緒に、この作品を作り上げることが、今、とても楽しみです」と胸を膨らませている。

栗原も「志尊淳さんとはずっとバラエティ番組で共演していたのですが、今回初めて一緒にお芝居で仕事ができるのが楽しみです」と主演の志尊との共演を期待し、白井氏が手がける作品への出演についても「白井晃さん演出の舞台にはいつか出していただきたいと思っていたので非常に光栄です」と語り、喜んだ。

主演・志尊淳の意気込み

ほか友人役には、小川ゲン、中別府葵、北浦愛ら、若手俳優を起用。また、若者達を抑圧する両親や学校の先生役にあめくみちこ、那須佐代子、河内大和、大鷹明良といった話題の舞台作品に欠かせないベテラン勢が出演。

豪華キャストを迎えて、志尊は「舞台経験のあまりない自分にとってプレッシャーを感じる部分もありますが、大野さんや栗原さんをはじめとする、たくさんの素敵なキャストさん、スタッフさんに囲まれている事に感謝しながら良い作品を作り上げられるよう、精一杯頑張ります」と意気込んでいる。(modelpress編集部)

STORY

ドイツの中等教育機関で学ぶ優等生のメルヒオール、友人で劣等生のモーリッツ、同級生のヴェントラ。ある日の帰り道、メルヒオールはモーリッツに「子供の作り方」を図解で説明すると約束する。成績のさえなかったモーリッツは、学校での過度な競争にたえられず米国への出奔を企てるものの果たせず、将来を悲観して自殺する。一方、メルヒオールは半ば強姦のようにヴェントラと関係し、ヴェントラを妊娠させてしまう。自殺したモーリッツの遺品からはメルヒオールのメモが見つかり、ヴェントラとの事も発覚。自殺の原因とされたメルヒオールは親に感化院に入れられてしまい…。

志尊淳(メルヒオール役)コメント

今回、「春のめざめ」で主演のメルヒオール役をやらせていただきます。

この物語は、思春期の男女が自分の成長に戸惑い、葛藤しながらも強く成長していく姿が描かれています。

メルヒオールとは年齢も近く、思春期の悩みや葛藤は共感できる部分がたくさんあると思うので、彼の気持ちに寄り添いながら丁寧に演じていきたいと思っています。

白井晃さんの作品を何度か拝見させていただき、白井さんは言葉で表現できない繊細さや雰囲気を持った作品を創られているイメージがあります。

舞台経験のあまりない自分にとってプレッシャーを感じる部分もありますが、大野さんや栗原さんをはじめとする、たくさんの素敵なキャストさん、スタッフさんに囲まれている事に感謝しながら良い作品を作り上げられるよう、精一杯頑張ります。

大野いと(ヴェントラ役)コメント

思春期の男女がどのように“性”というものを知っていくのか、そしてどのように受け止めていくのか、発表された当時は問題作とされていましたが、ミュージカルとして人気を博したこの作品に、今回携わることができてとても気持ちが入ります。

白井晃さん演出の「マハゴニー市の興亡」を拝見させていただいたのですが、ユーモア溢れる演出に引き込まれました。白井晃さんや志尊淳さん栗原類さんたちと一緒に、この作品を作り上げることが、今、とても楽しみです。

今年2度、舞台の上に上がらせて頂いたのですが、まだまだ未熟者ですので、白井晃さんやスタッフさん、役者の皆さんの力をお借りしながら、全力を尽くします。どうかみなさん楽しみにしていて下さい。

栗原類(モーリッツ役)コメント

3年前の冬に朗読劇で今作をやらせていただき、今回ストレートプレイ版に出演させて頂く事は、恐らく何かの縁だと僕は感じました。志尊淳さんとはずっとバラエティ番組で共演していたのですが、今回初めて一緒にお芝居で仕事ができるのが楽しみです。白井晃さん演出の舞台にはいつか出していただきたいと思っていたので非常に光栄です。白井さんver“春めざ”がどのように展開されて化学反応を生み出すか僕も楽しみです。

白井晃氏(構成・演出)コメント

2017年度の芸術監督の最初の作品として、フランク・ヴェデキントの「春のめざめ」を選んだ。それにはふたつの理由がある。ひとつは、100年以上も前に書かれた作品でありながら、全くもって変わらぬ若者の生や性への葛藤が描かれているからに他ならない。少年、少女は他者との対峙を通じて、やがて社会へ組み込まれて大人になってゆく。その過程は、青く稚拙な戦いではあるが、それは自己を形成する上で最も重要なことでもある。若い観客がこの作品に接する時と、大人の観客の視線とは自ずと違ってくる。それは、自分自身がそうであり、今の自分の感覚がこの作品をどのように捉え直せるかという興味がひときわ大きいのだ。

もうひとつは、この作品が書かれた、19世紀後半の社会の空気が、不思議と現代と似ているように思えてならないからだ。産業革命による経済体系の変化は、人々の暮らしや、国家の在り方まで変化させて行った。それが、まさに相似形をなして、しかももっと大きなうねりとなって現れているように思える。少年、少女たちが通う、ギムナジウムを取り巻く環境はとても危うい。それは大人たちが作った社会であり、まさに現代の子どもたちがおかれている状況と酷似している。

今回、舞台経験の少ない若い俳優たちと、この作品の創作に挑むことにした。それは、彼らの存在そのものが持つ、生への憂いと喜びを、誠実に現わすことができるのではないかと思ったからだ。彼らは、まだ保育器の中にいる。そして、外気の危険を感じながら葛藤している。そんな様子がリアルに立ち上がればと願っている。
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