“作家”押切もえに期待の声 山本周五郎賞で湊かなえと接戦「僅差だった」
2016.05.16 19:20
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16日、都内で第29回三島由紀夫賞・山本周五郎賞の受賞作発表記者会見が行われ、山本周五郎賞には湊かなえ氏の「ユートピア」に決定。候補作に選出されていたモデルの押切もえの「永遠とは違う一日」は僅差で受賞を逃したが、選考委員の佐々木譲氏は押切の作品を絶賛するとともに次作への期待を語った。
惜しくも受賞を逃した押切の作品だが、佐々木氏は「僅差だった。最終的に湊さんと押切さんとで絞られた」と説明。これら2作に加え、相場英雄氏の「ガラパゴス」も高い評価を受けた。
選考委員も「2作目なのになぜこんなにうまいのだろう」と唸らせたそうで、ダブル受賞の話も持ち上がったという。しかし賞の規定により、1作のみとなった。
選考委員も押切の次作に期待しているそうで、佐々木氏も「これだけの才能をお持ちなので、次の作品に期待しています。専業作家と違い、時間がなかなか取れないと思いますが、次の作品を早く読みたいです」とコメント。中でも「長編を読んでみたい」という声が多数上がったという。
湊氏は、押切の作品を含め、候補作は読んでいないというが「華やかな世界なので、異業種の方が書かれたと受け取れますが、私も淡路島の主婦ですし、みんな何かしら経歴や肩書がある。その(世界の)内面や新しい世界を知ることもできます」とコメント。また「普段、本を読まない人がそれが入り口となって本を読むこともあります」と歓迎し「同じ小説家として読ませていただきたいです」と関心を示した。
接戦でダブル受賞の話も持ち上がる
押切の作品について、佐々木氏は「文芸の世界からでないながら、非常にうまい。おしゃれに描いただけでなくきちんとした文学になっている」と称賛。さらに「巧みな構成とうまさ。2作目でこれだけとは大変なもの」と付け足した。選考委員も「2作目なのになぜこんなにうまいのだろう」と唸らせたそうで、ダブル受賞の話も持ち上がったという。しかし賞の規定により、1作のみとなった。
選考委員が押切もえの次作に期待
近年では、お笑い芸人・ピースの又吉直樹が「第153回芥川龍之介賞」を受賞したことも記憶に新しいが、「永遠とは違う1日」もモデルとして活躍する押切が「真摯に文芸に向き合った作品」と絶賛し「作品に向き合う読者も増えるので大いに歓迎」と語った。選考委員も押切の次作に期待しているそうで、佐々木氏も「これだけの才能をお持ちなので、次の作品に期待しています。専業作家と違い、時間がなかなか取れないと思いますが、次の作品を早く読みたいです」とコメント。中でも「長編を読んでみたい」という声が多数上がったという。
湊氏は、押切の作品を含め、候補作は読んでいないというが「華やかな世界なので、異業種の方が書かれたと受け取れますが、私も淡路島の主婦ですし、みんな何かしら経歴や肩書がある。その(世界の)内面や新しい世界を知ることもできます」とコメント。また「普段、本を読まない人がそれが入り口となって本を読むこともあります」と歓迎し「同じ小説家として読ませていただきたいです」と関心を示した。
作家・押切もえも2作目「永遠とは違う1日」
押切は2013年8月に、処女小説「浅き夢見し」(小学館刊)を発表。今作は、「小説新潮」で隔月連載された作品を連作短編集としてまとめたもの。押切の身近にあった芸能マネージャーやスタイリストのほか、アイドルを失格した女子高生、こじらせ系のバツイチ40代女性など、さまざまな女性を主人公に、恋や仕事に奮闘し、一歩を踏み出す姿を描いた、読者の背中を押す6つの物語が収録されている。山本周五郎賞とは
同賞は新潮文芸振興会が主催するすぐれて物語性を有する新しい文芸作品に贈られる文学賞。純文学を主とする三島由紀夫賞とともに1988年に創設された。第29回山本周五郎賞は、平成27年4月より平成28年3月までに発表された作品が選考の対象。佐々木氏のほかにも、石田衣良、角田光代、白石一文、唯川恵が選考委員をつとめた。(modelpress編集部)
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