木曜「医療ドラマ」対決『アナログナース』vs『救命病棟24時』面白いのはどっちだ
放送中の秋ドラマの中で、初回視聴率10%超えという好スタートを切った医療ドラマが2作品ある。江口洋介と松嶋菜々子W主演の『救命病棟24時』(フジテレビ系)と、松下奈緒が主演を務める『アナログナース~デジタルってなんなんだよ!?~』(テレビ朝日系)だ。
『救命病棟24時』で今シーズンの大きなテーマとなっているのが、世代間ギャップと若手の育成だ。小島楓(松嶋菜々子)は多くのミドル世代の視聴者と同じように、後継者の育成に時には首を傾げながらも奮闘している。
例えば、楓は「家でシャワーを浴びてる時に、患者のことを考えたことがある?」と、研修医の田中芽生(横田真悠)に尋ねた際、「考えていません」と言われたことが心に引っかかった。同世代の医師たちと「普通、嫌でも考えちゃいますよね」と本音を交わす場面には、世代間の価値観が端的に表れている。
とはいえ、楓は現代の若者を一様に否定しているわけではない。第1話では、進藤一生(江口洋介)に「みんな、できる子なんですよ。私が研修医だった頃よりも」と語っていた。若手の言動に戸惑うことはあっても、その能力や長所はちゃんと認めているのだ。
そんな楓の柔軟な視点が特に印象的だったのは、第2話の場面だ。患者に感情移入しない宮沢蓮(木戸大聖)の内面を察し、一生にこう説明する。「若い先生は自分を守るために、あえて患者さんに深入りしないようにしてると思うんです。じゃないとメンタルもたないですから」。ここには、若手を理解しようとする楓の姿勢がよく表れている。
本心が分かりにくい医師は、蓮だけではない。医師インフルエンサーを夢見る柊木亜美良(白石聖)もその1人だ。有休を早々に消化し、ランチ休憩中に動画配信を行う姿を観て、第3話までは「問題児」だと思っていた。しかし、第4話で明らかになったのは、患者への高い共感力と、命の重さをしっかり受け止める一面だった。美容外科医になりたい理由についても、「見た目で悩んでる人を全員ハッピーにするのが夢」と語っている。型破りなふるまいの裏で、誰かの役に立ちたいという思いも強い。
振り返れば、第1シリーズの研修医時代の楓も、患者の死からすぐに気持ちを切り替える医師の姿を理解できず、自分の思いをぶつけていた。そんな、第1シリーズの楓を思い出しながら今シーズンを観ると、「若い頃や経験が浅いうちは、みんなそんなものだ」ということに改めて気づかされる。
そして、今シーズンのもう一つの見どころが、楓と一生のフラットな関係性だ。働き方改革や若手のメンタルケアが求められる病院でも、一生は「お前」呼びや「研修医」呼びを改める気はなく、目の前の患者を救うことにしか関心がない。そんな両者を柔軟性が高い楓がフォローする姿は、シリーズのファンにとって感慨深いものがある。一方、『アナログナース』は、『ドクターX』『ザ・トラベルナース』と世界線が交差する医療ドラマ3部作の集大成に位置づけられる。
本作はキャスト陣も豪華だ。主演の松下奈緒を支えるのは、江口のりこ、原菜乃華、津田健次郎ら、2025年の連続テレビ小説『あんぱん』にも出演した顔ぶれだ。
第1話では、新施設への大規模移転中、患者の情報入りのスマートフォンがフリーズする事態が発生。現場が混乱する中、黒いコートをまとった那須田灯(松下奈緒)が颯爽と姿を現す。台の上に立って、ホイッスルを吹き「全員 スマホ無視!」と指示する姿に驚いた。役柄とはいえ、おしとやかで上品な松下がこうした号令をかける姿は意外性があり、その堂々としたたたずまいに圧倒された。
また、各話で次々に衝撃の事実が明かされていく点も、物語の大きな魅力だ。第2話では、田中一二三(江口のりこ)と梅田旭(中沢元紀)が親子関係にあることが明かされた。ほかにも、灯の過去や灯がアナログにこだわる理由など気になる謎がちりばめられており、AIに過剰なまでに信頼を寄せる萬里小路かよ(冨永愛)がなぜそうなったのかも気になる。
かよほどではないが、筆者の周囲でも、何か質問するとAIの回答を送ってくる人や、「チャッピー(ChatGPT)はこう言っていた」と自然に口にする人がいる。AIとの付き合い方は人それぞれだが、こうした反応には筆者はまだ慣れない。そもそも飲食店のタブレット端末で注文することさえ苦手だ。ChatGPTもPayPay払いも利用したことがなく、本も紙でしか読まない"アナログ派"だからだ。そんな筆者だからこそ本作を観ていると、「やっぱり、アナログもいいよね~!」とうなずく場面が多い。
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