『救命病棟24時』ポスタービジュアル(C)フジテレビ

『救命病棟24時』初回視聴率10% 江口洋介&松嶋菜々子コンビ復活の感慨と"物足りなさ"の要因

2026.10.16 17:33
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江口洋介と松嶋菜々子がW主演を務める『救命病棟24時』(フジテレビ系)の第6シリーズが、10月12日から始まった。第1話の平均世帯視聴率は10.0%を記録し、好調なスタートを切った。今回は、本作のファンである筆者が第1話を振り返り、秀逸だった点と、過去作と比較して感じた物足りなさについて書いてみたい。

◆働き方改革で変わる医療現場

『救命病棟24時』は2013年の第5シリーズ以来13年ぶり。江口洋介と松嶋菜々子の共演に限れば、2010年のスペシャル以来16年ぶりとなる。この間、新型コロナウイルスの流行、働き方改革、若者の仕事観の変化など、医療現場や社会を取り巻く環境は大きく変化した。

第1シリーズでは小島楓(松嶋菜々子)は研修医だったが、進藤一生(江口洋介)から「お前は救命に向いてない」「患者に迷惑だ」と突き放されても、必死に食らいついていた姿が懐かしい。

第2シリーズでは、救命救急医が置かれる過酷な現実が克明に描かれた。医局長の小田切薫(渡辺いっけい)が「うちの医者たちは丸3日も寝てない」と他科の医師に声を荒らげる場面や、部下の休暇願いを看護婦長が拒む場面もあった。彼らは強い使命感でこの状況を受け入れていたが、その代償は大きかった。薫は過労で命を落とし、生前の意思に従って臓器を提供する。他者のために自らを捧げた薫の姿は、単なる殉職や美徳という言葉では片づけられない、悲しみを伴う自己犠牲の精神を浮き彫りにした。

一方、第6シリーズの医療現場は、一見ホワイトである。辻智宏(八嶋智人)はセンター長となり、部下の「バカ」という発言をパワハラだと注意する。都立第三病院でも働き方改革が進み、休暇の取得が推奨されている。しかし、現場は人手不足による混乱状態にあり、「労働時間だけ制限されても」といった声も上がっていた。

近年の若者は仕事とプライベートを明確に切り分ける傾向があるが、本作にもそうした価値観が描かれている。例えば、研修医・田中芽生(横田真悠)は、家では患者のことを考えない。医師にも私生活がある以上、芽生のスタンスを否定することはできない。とはいえ、楓が懸念しているように、仕事と私生活を完全に切り離すことには心許なさも残る。だからこそ楓は、目の前の命に全力で向き合う一生がセンターに必要だと確信し、彼を呼び戻そうと説得を重ねたのだ。一生と楓が再会したのは、ビル爆発事故の現場だった。混乱の中に突如として現れた一生の姿に、思わず胸をなでおろした。

江口と松嶋の共演は約16年ぶりで、一生と楓についても久しぶりに再会するという設定だ。そんな2人が見せた、年月の経過を感じさせない息の合ったオペに思わず息をのんだ。揺るぎない信頼関係と、目の前の命を救うという共通の思いが、見る者に"この人たちなら救ってくれる"という安心感を与えた。

第1話で最も印象に残ったのは、一生と楓が病院の屋上で朝焼けの街を見つめる場面だ。楓が「(この病院で患者を診るのは)今夜限りでしたね?」「その長い夜が、もう明けちゃいましたよ」と声をかけると、一生は「明けない夜はないからな」と返した。第1シリーズの主題歌、DREAMS COME TRUEの「朝がまた来る」を思い起こさせるこの場面は、悩んでいても、答えを見い出せなくても、朝は必ず訪れるのだと静かに教えてくれた。

◆過去作にあった「愛」「切なさ」は引き継がれるか

『救命病棟24時』の魅力は、医療現場の厳しさを描くだけにとどまらない。本作はもともと火9枠の医療ドラマでありながら、第1シリーズでは『やまとなでしこ』に通じる清らかな愛が作品にロマンティックな美しさを添えていた。一生は、昏睡状態の妻・早紀(高田美佐)の目覚めを信じ、自分の命を懸けて寄り添い続けた。目を閉じた早紀を抱きしめる場面は切なくも美しかった。

第3シリーズでは、自然災害がもたらした悲劇と、最愛の人を救えなかった医師の苦しみが、楓を通して描かれた。楓は婚約者・加賀裕樹(石黒賢)を地震による負傷で失い、深い悲しみを味わう。病院では自分の感情よりも医師としての仕事を優先していたが、最愛の人の遺体を故郷へ運ぶ道中、堪えきれず涙を流した。

こうした場面には、ほかの医療ドラマやお仕事ドラマにはない、清らかな愛と抑えきれない切なさがあふれていた。

一方、第6シリーズは月9枠での放送となったが、第1話を見る限り、トレンディドラマ黄金期を思わせる雰囲気は薄い。働き方改革、世代間対立、若手の成長といったテーマは共感を得やすいものだ。美容とSNSに励む医師インフルエンサー・柊木亜美良(白石聖)にも、時代を映す人物像が表れている。ただ、こうしたテーマはほかの作品でも扱われやすい。過去作が描いてきたロマンティシズムや、見終えた後に心に残る余韻という点では物足りなさを感じるかもしれない。

江口と松嶋の息の合った演技こそが、今シリーズの核になるだろう。一生と楓は何事にも動じず難手術をこなしていく。長年のファンは、2人がそこに至るまでの苦労を知っているからこそ、その姿に感慨深さを覚えるのだ。

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