松田聖子ら昭和スターは"昔のまま"が歓迎される一方、浜崎あゆみはなぜ過去と比較されるのか
浜崎あゆみが2026年9月23日放送の音楽特番『1億2000万人のありがとう 歌の感謝祭』(日本テレビ系)に、ブルーのミニドレスにハーフツイン姿で出演し、2006年リリースの「BLUE BIRD」を披露した。久しぶりのテレビ出演にファンからは喜びの声が上がる一方、SNSでは現在の姿をめぐってさまざまな意見が飛び交っている。年齢とともに見た目や声が変わるのは誰しも同じであり、浜崎より上の世代のスターにも同様の変化は見られる。にもかかわらず、彼女には厳しい声が集まりやすい傾向があるようだ。
◆平成の歌姫は令和でも話題性抜群
浜崎あゆみは2000年代初頭に一世を風靡した。街のいたるところで浜崎の曲が流れ、女子高生を中心に幅広い世代から親しまれていた。
浜崎が一時代を築けたのはお人形のようなビジュアルやファッションセンス、カリスマ性だけではない。自身で作詞を手掛けており、彼女の言葉には、孤独感や世の中の不条理が投影されている。
1999年リリースの「A Song for ××」では「居場所がなかった 見つからなかった」「一人きりで生まれて 一人きりで生きて行く」と、孤独な心情を言葉にしている。2002年の「Voyage」では「誰も皆癒えぬ傷を連れた 旅人なんだろう」と歌っている。
令和の今、「孤の社会」といわれることが多いが、それは今に始まったことではない。浜崎の全盛期は"夜回り先生"として知られる水谷修氏が、夜の繁華街をさまよう青少年に寄り添っていた時期と重なる。当時、リストカットなどの自傷行為が問題視されていた。
同時代を彩った安室奈美恵や倖田來未が明るいイメージを放っていたのに対し、浜崎には弱さや脆さも感じられた。浜崎は孤独を抱える人の心の拠り所でもあったのだ。
とはいえ、浜崎は孤独を抱える人たちにだけに支持されたわけではない。例えば、愛の切なさを紡いだ「HEAVEN」は聴き手の胸に染みわたり、アップテンポの「evolution」は聴き手の心を明るくした。また、浜崎の曲は夏を彩る曲が多く、「July 1st」や「Greatful days」は今も親しまれている。そんな浜崎も10月2日に48歳を迎えた。日本を代表する歌姫としての地位は今も揺るぎない。2023年春には、デビュー25周年を記念し、渋谷109をジャック。109のシリンダー(外壁)には浜崎の写真が掲げられていた。また、2024年後期の連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)は平成のギャルカルチャーが一つの見どころだが、結(橋本環奈)と歩(仲里依紗)が浜崎の「Boys & Girls」を歌うシーンが話題を呼んだ。さらに2025年に放送された『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)では、主題歌に浜崎の「mimosa」が起用された。
◆歌番組に出演するたびに反応が集まる背景
浜崎は23日のテレビ出演後の批判を受け、27日にInstagramを更新した。投稿では「画面越しに数分しか会ったこともない私について過去にまで遡ってあーだこーだ推測してくれた時間は有り難いと受け取るぜ」と綴っている。
浜崎は年齢による変化を指摘されたり、過去と比べられたりすることが、他のスターと比べても多いと感じる。
たとえば、60代半ばの松田聖子は"ぶりっこキャラ" "王道アイドル"としてのイメージを、今も保っている。しかし、歌番組でふりふりドレス姿で歌っても、批判はほとんど見かけない。とはいえ、松田は世間の目を意識していると思う。ライブではミニスカートや頭の大きなリボンでファンを喜ばせているが、ファン以外も観る歌番組では、ロングドレス姿で歌うことが中年期からすでに多かった。
一方、浜崎は、テレビ出演時の衣装も全盛期と変わらないデザインのものが多い。ファッションは自由であるが、幅広い層が目にする以上、お茶の間からさまざまな反応が出るのも仕方がない。
また、浜崎は若者枠でもシニア枠でもない括りにくい狭間の年代だ。郷ひろみや田原俊彦など60代以上のアーティストが全盛期とほとんど変わらない姿で歌えば、当時を知る世代の多くは懐かしさを覚えつつ、今も活躍する同世代に拍手を送りたくなる。若い世代にとっては、年齢を重ねても若々しく輝く姿は、尊敬の対象だ。一方、40代だと、なかなかそうはいかない。
さらに、Xの利用者は10〜30代が中心で、50代以上の利用率は半数以下だ。例えば、浜崎よりも上世代のスターの動画がバズっても、全盛期を知る人たちの目には触れにくいし、その世代は自身の感情を若者ほどXに気軽に投稿しない。
現在、40代の浜崎には、大衆から様々な声を受けやすい要因が揃っているといえるだろう。
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