蛯原友里のマックCM再登場で振り返る「エビちゃんOL」時代 女性のファッションと価値観はどう変わったか
2000年代初頭に『CanCam』(小学館)モデルとして一世を風靡した「エビちゃん」こと蛯原友里が、日本マクドナルドの「プリプリエビプリオ」のテレビCMに出演し、話題となっている。そこで今回は、「エビちゃんブーム」を振り返りつつ、2000年代と令和における女性のファッションや価値観の変化について考えたい。
◆エビちゃんは変わらないが20年で日本は激変
2005年のCM出演からおよそ21年、2015年の「えびフィレオ」10周年編以来およそ11年ぶりに、蛯原友里が日本マクドナルドの「プリプリエビプリオ」CMに姿を現した。46歳になっても変わらない美しさが話題を集めている。
2026年版では2005年版を思い起こさせるベビーピンクのキャミソールワンピースに、茶色のロングブーツを合わせたスタイルが再現されている。ただし、髪型とメイクは当時と異なる。2005年版では華やかな巻き髪とキリっとしたメイクが特徴であるのに対し、2026年版ではナチュラルなメイクとやわらかな毛先のカールが特徴だ。
当時を振り返ると、筆者は「エビちゃんOLになりたい」と口癖のように呟いていた。『CanCam』を読み、LAISSE PASSEやWILLSELECTION、Feroux、LD prime、Apuweiser-richeなどの服をこよなく愛していた。新宿のマルイや銀座のプランタンは華やかな空間で、ただそこにいるだけで胸が高鳴る、夢のような場所だった。また、『CanCam』にはLouis VuittonやDiorなどのハイブランド特集がよく組まれていたが、当時の日本は活気があり、豊かだったと今になって思う。
あれから20年以上が過ぎた今、ファッションにお金を惜しみなく投じる女性は少なくなり、当時の煌めきを宿した場所の多くが閉店し、存続しているブランドの中にはカジュアル化したものも多々ある。また、大学やオフィス街でも、巻き髪の女性やハイヒールを履いた女性はほとんど見かけない。さらに、デパ地下やおしゃれなカフェでさえ、ハイブランドの財布を目にすることは稀だ。
もちろん、当時も大半の日本人が豊かだったわけではない。また、蛯原の生まれた1979年前後は就職氷河期世代で、同世代の女性には若くして経済的に苦労した人も多い。それでも、2万5000円のワンピースを扱うブランドがいたるところに出店し、経営が長く成り立ったことを鑑みると、今よりも人びとの心に余裕があり、将来への不安が薄かったといえるだろう。また、現在の20代・30代が当時と比べて経済的に苦しいわけではなく、お金の使い道が変わったという見方もできる。たとえば推し活にお金を注ぐ人が増えている。推し活は自分だけでなく、「推し」のための支出でもある。一方、エビちゃんブームの頃は自分が「推し」であり、「私が主人公」「かわいい私、最高でしょう?」といった雰囲気があり、その自己愛や自分の未来に対する自信は、振り返ると魅力的に映る。
物価高と円安、老後不安、ジェンダーレスの潮流、ストッキングとパンプスへの反発が高まる今、2000年代初頭のエビちゃんファッションは今の価値観とは相容れないともいえよう。
◆変わる女性像、変わらない憧れ
今の時代、インフルエンサーが憧れの対象となり、親しみやすい雰囲気の女優がドラマのヒロインに抜擢されることも多い。また、「男性だから〇〇、女性だから〇〇」という考え方は、若い世代を中心に薄れている。
その一方、Xでは、SMAPの「Dear WOMAN」を主題歌にした資生堂TSUBAKIのCMがたびたび話題になっている。仲間由紀恵や香里奈をはじめとする圧倒的な美を放つ女優の姿に魅了される女性は多い。今の時代であれば、「女性の美を商品化している」といった批判の声も上がりそうだが、このCMの豪華さと美しさに今でも心ときめく人は多いのだ。
また、資生堂のMAQuillAGEは2005年8月にリリースされたが、初代イメージモデルを務めたのは、篠原涼子、伊東美咲、蛯原友里、栗山千明の4人だ。彼女たちは同世代にとって親しみやすいというよりも、憧れの対象であった。そんな彼女たちがイメージモデルを務めるMAQuillAGEの広告はキラキラしており、この化粧品を手に取った人の心をワクワクさせた。近年のMAQuillAGEは当時と比べてカジュアル化しているが、2000年代初頭のイメージを懐かしむ女性は少なくなさそうだ。
類いまれな美しさを放つ女性や煌びやかな世界観が多くの女性の心を惹きつけるのは、ジェンダーレス化やカジュアル化した今も変わらない。
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