吉田沙保里

吉田沙保里、歌手デビューに「モヤモヤ」の声 本田真凜、斎藤佑樹にもあった"異業種"進出の壁

2026.09.18 17:41
提供:ENTAME next

女子レスリング五輪3連覇の吉田沙保里が、10月28日発売のシングルCD『I’m Here』でソロ歌手としてメジャーデビューすることが発表された。現役時代は"霊長類最強女子"の異名を取り、世界大会16連覇、個人戦206連勝という輝かしい実績を残した吉田。今度は歌の世界で新たな勝負に挑む。

同CDに収録される『I’m Here』『勝ちに行く、今』は、いずれも吉田が作詞に参加した応援ソング。吉田は自身のSNSで「頑張る皆さんに元気や勇気を届けられる曲になったら嬉しいです」と意気込み、憧れの歌手にはDREAMS COME TRUEの吉田美和を挙げ、NHK紅白歌合戦への出場にも意欲を示しているという。

新たな挑戦を歓迎する声がある一方、ネット上では「いくらレスリングですごくても、いきなり歌手デビューはどうなのか」「歌手を目指して努力している人はたくさんいるのに、有名人だからすぐデビューできるのはモヤモヤする」「吉田沙保里は好きだけど、なんで歌手デビュー?」といった疑問や批判的な意見も見られ、反応が分かれている。

これは吉田に限った話ではなく、アスリート出身の著名人が畑違いの分野へ進出すると物議を醸しやすい傾向がある。

プロフィギュアスケーターの本田真凜は、2025年公開の映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』で本格的に女優デビューした際、起用を疑問視する声が少なからずあった。元プロ野球投手の斎藤佑樹も、2024年に日本テレビ系報道番組『news every.』のキャスターに就任したとき、「ニュースは本職に任せた方がいいのでは」といった意見が出るなど議論を呼んだ。

ほかにも、五輪メダリストの競泳選手が女優へ転身した際に賛否を呼ぶなど、アスリートが「異業種」へ進出するたび、似たような反応が繰り返されてきた。

なぜ、こうした異分野への挑戦に疑問の声が持ち上がりやすいのか。

最も大きいのは、「実力で選ばれていないのでは」と疑われやすい点だ。本来なら努力を積み重ねた上で小さな仕事やオーディションなどから始まり、一つずつ階段を上がりながらポジションを勝ち取る。別分野で有名な人物がいきなり大きな仕事を手にすると、「知名度でショートカットした」「有名だから選ばれた」という印象になりやすい。

これはアスリートだけの問題でもない。人気芸人やタレントがアニメのゲスト声優に起用されると「本職の声優を使ってほしい」と批判されたり、演技経験の少ない有名人がドラマや映画のキャストに抜てきされると反発が起きたりする。知名度や話題性が優先されたように受け取られると、同じような賛否が生まれるのだ。ただ、だからといって実力がないとは限らない。

本田の場合、女優デビューが発表された当初は「話題性ありきでは」といった見方もあったが、実際には数年前から演技レッスンを受けていた。映画公開後には、演技力やスクリーンでの独特の存在感を評価する声も上がった。

斎藤も『news every.』出演前からアナウンス技術を学び、キャスター就任後は真摯な姿勢で体当たり取材などにも挑戦。当初は異色の人選として賛否を呼んだものの、現在では番組の顔の一人として定着している。

結局、「有名だから選ばれたのでは」という疑念を払拭くできるかどうかは、その後の仕事ぶりにかかっている。

その点、吉田も今まで歌と無縁だったわけではない。現役時代の2015年には、TBSの石井大裕アナらのユニットとコラボし、Well stone bros.の楽曲『目を覚ませ』に参加。「Well stone bros. feat.吉田沙保里」名義でCDが発売され、ミュージックビデオにも出演した。

さらに、引退後はギターの弾き語りにも取り組み、あいみょん『裸の心』、Superfly『愛をこめて花束を』などの歌唱動画をアップ。独特な雰囲気の可憐な歌声に対し、「声がかわいい」「歌めっちゃうまい」といった反応が寄せられた。

そもそも昭和までさかのぼれば、女子プロレスのビューティ・ペア、プロ野球の落合博満、大相撲の増位山など、現役時代に歌手として活動したアスリートは少なくない。今よりも、競技と歌手活動を並行することが身近だった時代ともいえる。

吉田の歌手デビューの発表を唐突に感じた人は少なくないが、実際は「レスリングの有名人が経験なしで突然歌手デビュー」というわけではない。ただし近年は、知名度があるがゆえに、厳しい目にさらされやすくなっている。これまで異業種挑戦で高い評価を得たを例もあるだけに、吉田も歌声や歌詞で自身の新たな一面を示すことができれば、今回のさまざまな反応も変わっていく可能性がある。

マットの上では、文句なしの「世界最強」を証明してきた吉田沙保里。今度は歌手として、どんな戦いぶりを見せるのか。

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