意見分かれる女優の「俳優」呼び 安達祐実、土屋太鳳らが語った「呼ばれ方」への本音
かつては男性を「俳優」、女性を「女優」と呼び分けることが一般的だった。しかし近年はテレビやネットニュースなどでも、男女を問わず「俳優」と呼ぶ風潮が広がりつつある。一方で、こうした呼び方をめぐってはさまざまな意見があり、SNSや芸能界でもたびたび議論の的となってきた。
もっとも、男女で呼び方を分けない動きは今に始まったことではない。2002年には「看護婦」「看護士」から「看護師」へと呼び名が統一され、1980年から1990年にかけては「スチュワーデス」から「客室乗務員」や「CA(キャビンアテンダント)」へ呼称が変化した。今や「カメラマン」も「フォトグラファー」と呼ぶ時代だ。
こうした流れを踏まえれば、女優を「俳優」と呼ぶ風潮も決して不思議なものではないだろう。実際、海外でも性別による区別をなくす動きは見られる。
2017年に行われた「MTV Movie & TV Awards」では、それまで男女別に設けられていた演技部門を統合し、実写版『美女と野獣』で主演を務めたエマ・ワトソンが"最優秀俳優賞"に輝いた。今のところ日本では男女別の演技賞が主流だが、ゆくゆくは海外のように「俳優賞」とする日がやって来るのかもしれない。
とはいえ、実際問題として女優を「俳優」と呼ぶ風潮に違和感を抱く人は少なくない。最近では元TOKIOの松岡昌宏も、自身のラジオ番組でこの風潮について言及。「女優さんっていうのは特別」「みんながみんな、なれるもんじゃない」「"女優さんは素敵だ"っていう称号」などと俳優呼びに異を唱え、多くの共感を集めていた。
では、昨今の「俳優」呼びについて"呼ばれる側"はどのように思っているのだろうか。実際、女性芸能人の間でも「俳優」と呼ばれたい人がいる一方、「女優」という言葉にこだわりを持つ人も多い。
例えば「"女優"という響きを大切にしたい」と語ったのは、土屋太鳳だ。2024年2月、29歳の誕生日を報告したSNS投稿で、「女優」という呼び方について自身の思いを綴っている。
この日、「最近は女優という言葉を使わず俳優や役者や表現者という言葉が選ばれることが多いのですが」と切り出した土屋は、2014年放送のドラマ『今夜は心だけ抱いて』(NHK BSプレミアム)で母親と入れ替わってしまう娘役を演じた経験を振り返り、「女性だからこその演技、表現があるのだなとすごく痛感した」とコメントした。
そのうえで「平等ではないからこその、平等であるべきだからこその、『女優』という感覚」「身体の性別とは別の、自分の心を見つめた時の『女優』という言葉が持つなんともいえない、せつないような不思議な響き」を、これからも大切にしたいと語っている。2025年配信の「女子SPA!」インタビューで、「女優でいいじゃん」とあっけらかんと語ったのは室井滋。「私なんかは本名が『滋』でしょ。女優って言ってもらわなかったら、私を男だと思ってる人もいたと思うんです」と彼女ならではの利点を語り、「今さら俳優って言われてもなぁと思うし」「女優のほうが、女が優しいって書いて、響きもいい」と続けていた。
ほかにも「女優」呼びを肯定する芸能人として、川上麻衣子、横山めぐみ、池上季実子なども挙げられる。そして彼女たちが共通して語っているのが、「女優」という言葉が持つ"響き"。性別で区別されることへの抵抗よりも、そこにしかない独特の響きを好意的に受け止めていることがうかがえる。
一方で、女優ではなく「俳優」と呼ばれることを望んでいる芸能人も少なくない。芸歴40年超えの大ベテラン・安達祐実もそのひとりだ。
以前行われた「une nana cool」のクリエイティブディレクター・千原徹也氏との対談で、昨今の「俳優」呼びについて意見を求められた安達。そこで、20代の頃に共演した奥田瑛二から「我々の職業は俳優」「だから女性も"俳優"と名乗るべき」と言われ、「確かにそうだ」と深く共感したことを明かしている。
続けて「もちろん"女優"と名乗りたい人がいても全然いいと思います」と前置きしながら、「でも、わたしは女性だろうが、男性だろうが、関係なく"俳優"でありたいと思った」と主張。「だから、お願いできる時は"俳優"と表記していただいています」とも語った。
さらに「女優」という肩書きそのものから距離を置いているのが、夏木マリだ。過去に「女優」という言葉のイメージについて「化粧が厚い感じがする」と語ったことがあり、自身のことは「プレイヤー」と呼んでいるという。その背景には「遊ぶように本気で仕事をしたい」という、俳優から声優まで幅広く活躍する夏木ならではの思いがあるようだ。
女優を「俳優」と呼ぶ風潮について、その受け止め方は実にさまざま。「女優」という響きを残したい人もいれば、性別にとらわれず「俳優」と呼ばれたい人もいる。どちらか一方を正解とするのではなく、本人の思いに合わせて柔軟に呼び方を選ぶことが、今の時代には求められているのかもしれない。
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