大塚 愛の「旦那に仕返し」に遊び心あふれる ファンと“お茶会”も<ピアノ弾き語りライブ/セットリスト>
2015.12.24 11:49
シンガーソングライターの大塚 愛が18日、今年で3回目となるピアノ弾き語りのライブ「AIO PIANO vol.3」を東京めぐろパーシモンホールで開催した。大塚 愛といえばPOPでキャッチー、楽しくわいわいとお祭り騒ぎのようなライブを想像する人がほとんどだろう。もちろんそれも彼女の魅力的なライブの一つではあるが、今回の大塚 愛とグランドピアノのみという構成のライブにおいては、また違った彼女の一面を楽しむことができた。
北欧のお屋敷のようなセット
ステージ上はグランドピアノ、そしてその横にはどこかのお嬢様が座るような素敵なソファとテーブル、奥にはセットの暖炉、上を見上げると煌びやかな照明が飾られ、まるで北欧のお屋敷の一室のようなセットで彩られていた。開演時間とともに大塚が現れ、ピアノの椅子に座ると「こんばんは、大塚 愛です」と一言。「今年もまた終わっていく あなたに会えた喜び」と、オープニング曲を歌い始めるとともに、だんだんと大塚 愛とピアノだけの世界に引き込まれていく。こうして静かに、ゆっくりと、今年のAIO PIANOはスタートした。
お馴染みの楽曲をピアノバージョンで
1曲目は「甘えんぼーレモンティー」。この季節にピッタリな、華やかであたたかみのあるピアノアレンジが、少し緊張感のあった会場をすぐに解きほぐした。月日を重ね、経験を重ねた大塚 愛がピアノで奏でる大人の「甘えんぼーレモンティー」がスッと心に入り心地よい。続く「ユメクイ」が終わると、MCでは「皆さん、寝てもいいんですけど、いびきだけは勘弁してくださいね」と、彼女らしいMCで笑いを誘う。3曲目には「うらうらら道」というインストゥルメンタル曲を披露。「いつもの道ではなく今日は違う道を通ってみようかな?という日がある。途中不安になりながらも、目的地に着いた時の喜びがあったり、思いがけない出会いがあったりする」。そんな風に話したあとに演奏はスタート。クラシック楽曲さながら、緩急のある展開とピアノの音に引き込まれ、まるで映画か本の中に入り込んでしまったかのような感覚に陥る。一体彼女のクリエイティブの才能はどこまで広がっているのか。
と、これだけにとどまらず、次の楽曲でさらに驚かされることになる。今日ここに来ているお客さんが誰も想像していなかったであろう、「妄想チョップ」のピアノバージョン。原曲は大塚 愛らしい打ち込みのアッパー曲だが、ピアノ弾き語りになると、美しくも高揚感のある全くの別曲に変貌を遂げていた。
「旦那に仕返し」…RIP SLYME「楽園ベイベー」も披露
これぞ、大塚 愛ワールド。一体彼女の頭の中はどうなっているのかと、またも感心せずにはいられない。そしてここからカヴァー曲が3曲続く。「最近旦那が色んなところで私をネタにしているようなので、仕返ししようと思って」。そう言って演奏したのは、RIP SLYMEの代表曲「楽園ベイベー」。ラップ曲をピアノの弾き語りで歌う、彼女の遊び心と引き出しの多さを改めて感じることのできる一曲になった。「お茶会」コーナーに突入
彼女の弾き語りスタイルのベースとなった今井美樹の「Miss You」、そしてクリスマスソングの定番曲、山下達郎の「クリスマス・イブ」を続けて披露。すっかりクリスマス気分に浸りながらも、大塚 愛のライブでは初の試みとなる「お茶会」コーナーに突入。大塚 愛の部屋に友だちを招く、という設定で、抽選で客席から3名が選ばれ、ステージに上がる。ソファに座り、大塚 愛と会話を楽しむことができる、ファンにはたまらないスペシャルコーナーだ。東京公演では女性3名が選ばれ、雰囲気は女子会そのもの。女性たちの悩み相談に大塚 愛が次々と答えていく。彼女の発言には一本の軸があり、生み出されるクリエイティブと一貫してブレがないことがわかる。短い時間ではあるが、大塚 愛という一人の女性の考え方や生き方を知ることができる貴重なコーナー。共感を持った女性たちも多いのではないだろうか。
そして、「お茶会」に招待された「今日は彼氏と一緒にきました」という一人の女性が選んだリクエスト曲「大好きだよ。」を演奏。なんと曲の最後にはリクエストをした女性の名前を呼び、「お幸せに」と、ささやかなサプライズメッセージ。その場にいた人たち全員が幸せな気持ちになったに違いない。
「プラネタリウム」「恋愛写真」…代表曲も惜しみなく
9月13日に行われた「LOVE IS BORN」で初披露された未発表曲「日々、生きていれば」を今回のライブでも披露すると、続けて最新アルバム「LOVE TRiCKY」から「shooting star」をピアノアレンジで披露。「この手にないから きっと惹かれているんだ 手に入ってしまったらきっと違う」という恋愛の真理を描いた楽曲が、切ないピアノアレンジと絶妙にマッチしている。彼女の代表曲である「プラネタリウム」ではステージの頭上にたくさんの星が煌めく。大塚 愛の部屋に招かれ、一緒に特別な一夜を過ごしているかのように、贅沢な時間が流れていった。
本編ラストの曲は「恋愛写真」。過去の恋愛、出会い、想い、大切な人との時間を切り取った写真が、誰にでも心の中にきっとたくさんある。その一つ一つが今の自分を作り、また新たな出会いに変わってゆく。だから今そばにいる人を大事にしよう。最後にそんなメッセージをもらった気がした。
アンコール曲「Always Together」は、そんな大好きな人たちと一緒に生きていきたいと、未来を描いたラストナンバー。観客から拍手喝采の中、大塚 愛がステージからはけると、一本の映画を見終わったあとのように、心にあたたかいものがいつまでも残っていた。
一人の音楽家として、一人の女性として、迷い悩みながらも、大好きな人たちと前を向いて歩いていこうとする大塚 愛の姿を感じた2時間。多くの女性と何ら変わりなく、強さと弱さをもった彼女から生み出される言葉や作品。それが大塚 愛の一番の魅力ではないかと思う。
12月30日には「COUNTDOWN JAPAN15/16」に出演。年が明けて1月20日には、2015年に行った2大ライブ公演の映像をワンパッケージに収録した「ai otsuka LIVE BOX 2015 ~TRiCKY BORNBON~」が発売される。大塚 愛が今後どんな作品やライブを届けてくれるのか、楽しみにしていたい。(modelpress編集部)
「AIO PIANO vol.3」セットリスト
2015年12月18日(金)めぐろパーシモンホール01.甘えんぼーレモンティー
02.ユメクイ
03.うらうらら道(Inst)
04.妄想チョップ
05.楽園ベイベー(cover)
06.Miss You(cover)
07.クリスマス・イブ(cover)
08.大好きだよ。
09.日々、生きていれば
10.shooting star
11.プラネタリウム
12.恋愛写真
EN.Always Together
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