ソラ/MAMAMOO公式Xより

NewJeansらK-POPで流行するワッキング&ヴォーギング MAMAMOOソラ「Colors」は“クィア文化リスペクト”で注目

2024.05.10 16:45

K-POPの振り付けで流行中のダンスにワッキングやヴォーギングと呼ばれるジャンルがある。共にLGBTQ+カルチャーから発祥したこれらのダンスがトレンド化している背景、そして今高い評価を受けているMAMAMOO(ママム)のSolar(ソラ)の新曲「Colors」の魅力に迫る。

  

LGBTQ+カルチャー発祥「ワッキング」「ヴォーギング」とは?


ワッキングとヴォーギングは似ているが異なるダンスジャンルで、双方の起源にはLGBTQ+カルチャーがある。

ワッキングは1970年代に米ロサンゼルスのゲイクラブで誕生したストリートダンスの1つ。アップテンポなディスコミュージックに乗せて、軽快でエネルギッシュな動きを披露する。ゲイやトランスジェンダーのダンサーたちがドラァグクイーンやグレタ・ガルボ、マリリン・モンロー等の女性スターを真似しながらダンスをしたのが原型と言われており、腕を回す動作や、腕をしならせるように伸ばす動作、印象的なポーズやステップ、クラシックバレエやジャズダンスの影響を受けたターンなどが特徴だ。

韓国ダンスシーンではワッキングのレベルが高く、海外で名を知られるダンサーも多い。現在は比較的女性に人気のダンスジャンルとなっている。


ヴォーギングは1970年頃、米ニューヨークのハーレムの「ボール・ルーム」と呼ばれたダンスシーンで誕生。この「ボール・ルーム」は、黒人・ラテン系の性的マイノリティが人種差別・同性愛差別から逃れ、ありのままの自分をアピールできるナイトクラブだった。

ヴォーギングという名前は、ファッション誌「VOGUE」の印象的なモデルポーズに由来。ゲイたちがディスコミュージックに合わせてモデルのようなポーズを決め、その美しさを競い合ったことから始まっている。ポージング、アーム・ハンドモーション、キャットウォーク、ダックウォーク、床を使ったフロアパフォーマンスなどの要素を使って独特な動きを作り出し、劇的で芸術的な表現でアピールする。大きくオールドウェイ・ニューウェイ・ヴォーグフェムの3スタイルに分かれている。


ヴォーギングは多くのポップアーティストにも影響を与えており、特にマドンナの「ヴォーグ」(1990)はヴォーギングの認知度と人気を高めた楽曲として知られている。韓国ではワッキングシーンが広く発展していたため、ワッキングのダンサーが部分的にヴォーギングを導入し、2つを混同する場合も多いという。


K-POPガールズグループ、女性ソロ歌手で流行するワッキングとヴォーギング

ワッキングは韓国で女性ダンサーが多いジャンルであり、ガールズグループの振り付けに取り入れられることも多い。特に近年ではNewJeans(ニュージーンズ)の「Super Shy」(2023)がさいたるものとして知られている。同曲のダンスはショート動画プラットフォームを通して一般層にも爆発的に広まった。


また同年に人気を集めたオーディション番組「BOYS PLANET」(Mnet)でエース練習生のソン・ハンビンが披露し、国内トップのワッキングダンサーであるLIP Jとセッションしたことでも大きな話題となった。また現在放送中のオーディション番組「I-LAND2」(Mnet)のパフォーマンスビデオでもワッキングの振り付けが用いられた。



一方ヴォーギングはマドンナの印象が強いのか、K-POPでも女性ソロ歌手が男性ダンサーやクィアダンサーを引き連れたパフォーマンスが度々話題になる。かつて「韓国のマドンナ」と呼ばれた歌手・女優のオム・ジョンファがその代表例だ。先日、2006年のヒット曲「Come 2 Me」をENHYPEN(エンハイプン)と共にカバーしたステージも注目を集めた。


また近年のK-POP界でヴォーギングを積極的に取り入れているのは、高難度のダンスパフォーマンスで知られる女性ソロ歌手のCHUNG HA(チョンハ)だ。彼女の「Stay Tonight」(2020)、「I’m Ready」(2024)は国内最高峰のヴォーギングダンサーKIM RANらが振り付けた。



さらにSNSで広く流行したものには、2023年のSOMI(ソミ)の「fast forward」が挙げられる。


流行の背景に人気ストリートダンス番組とSNS


ワッキング、ヴォーギングが韓国ポップスシーンで普及した背景として、ストリートダンス番組の流行とショート動画プラットフォームでのバイラルヒットが挙げられる。韓国では2021年にMnetで放送された女性ダンサーたちによるサバイバル番組「STREET WOMAN FIGHTER」がヒットし、若者層を中心に社会現象を巻き起こすほどとなった。2022年には男性ダンサー版の「STREET MAN FIGHTER」、2023年には「STREET WOMAN FIGHTER2」が放送され、女子高校生バージョンの「STREET DANCE GIRLS FIGHTER」も実施されるなど超人気シリーズになっている。


8つのダンサークルーによるチーム戦で、複数のミッションをこなし優勝を目指す同番組。出演したダンサーはアイドル的人気を誇り、スター歌手の振付師やバックダンサーとしてはもちろん、バラエティ番組やCM、ファッション界等からも引っ張りだこだ。この番組によって、ストリートダンスカルチャーや細分化されたダンスジャンル、国内のダンスアカデミーや彼らの功績についても一般層に浸透するようになり、専門職であるダンサーを人気職業に押し上げた。


番組で人気を得たダンサーは「BOYS PLANET」等の注目度が高いアイドルオーディション番組にメンターやプロデューサーとして参加したり、BTS、SEVENTEEN、NCT等トップ人気のK-POPアイドルとコラボしたりと、一層ポップス界とストリートダンス界の垣根をなくしている。前述したLIP JやKIM RANも同番組に参加しており、彼らの影響によってワッキングやヴォーギングも大衆に認知されるダンスジャンルとなった。


ワッキングはADORのパフォーマンスディレクターであるキム・ウンジュ氏(過去にはSOMIとCHUNG HAが所属したI.O.Iの振り付けも手掛けた)の主ジャンルでもある。「Super Shy」はNewJeansらしさが引き立つよう、躍っているときの楽しさや中毒性を追求して考えられたという。結果的にワッキングのリズミカルで目を引く振付けはバイラルヒットを起こし、「STREET WOMAN FIGHTER」が放送されていない海外にもワッキングがトレンドのダンスであることを印象付けた。


「fast forward」でも分かるように、ワッキングやヴォーギングは不思議な体の使い方が見ているだけで楽しく、癖になる魅力がある。高い身体能力やコントロールスキル、センスが要されるジャンルでありながら、ポップス界でも流行しているのはショート動画プラットフォームで映えるという理由も大きそうだ。

LGBTQ+カルチャーへの本格リスペクト Solar「Colors」が話題

そして、ヴォーギングで構成されたパフォーマンスで今最も注目を集めているのがSolarが6日に動画を公開した新曲「Colors」だ。


ヴォーギングは元々黒人・ラテン系の性的マイノリティという被差別層が生んだカルチャーでありながら、特権階級である白人のポップスターのマドンナが普及させたことで文化の盗用だという指摘もある。

そんな中、Solarが自ら作詞・作曲した「Colors」は、”何色でも気にせず自分を解き放て”という内容で、起源となるボール・ルームカルチャーへの本格的なリスペクトが感じられる楽曲だ。Solar自身、この曲はヴォーギングで踊らなければならないという構想があったそうだ。


KIM RAN率いるHOUSE OF LOVEが手掛けた振り付けは、全編がヴォーギングとなっており、ここまで徹底したヴォーグダンス曲はK-POP初だという。パフォーマンスビデオでは、実際に当時のボール・ルームを再現したようなナイトクラブで、 ドラァグ衣装・メイクのダンサーたちが自分たちの魅力を見せつけ合うように踊っている。

ワッキング・ヴォーギングを現代的なトレンドに落とし込むポップスの流れもある中で、元祖のLGBTQ+カルチャーへスポットライトを当てた彼女の姿勢がオンライン上でも高く評価された。

日本が世界に誇るジャンルでもあるワッキング&ヴォーギング



一方日本のダンスシーンでも、ワッキングやヴォーギングは世界からその実力を認められてきた歴史あるジャンルだ。椎名林檎のダンサーとして知られたダンスユニットのAyaBambiやダンサーグループの東京ゲゲゲイ等、国際的にも知名度が高いレジェンドダンサーも多い。

D.LEAGUEで活躍するHAL HIRATAやグローバル人気を誇る若手ワッキングクイーンの今田惟吹等、注目ダンサーの層はとても厚いのだ。メインストリームのポップス市場との融合によって、ストリートやマイノリティ発祥のカルチャーの価値が引き上げられるムーブメントが今後日本でも起こるかもしれない。(modelpress編集部)
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