小栗旬「豊臣兄弟!」(C)NHK

小栗旬「豊臣兄弟!」出演の決め手となった共演俳優の存在「僕にとって財産」本人が語る“首の傾き”裏話も【インタビュー前編】

2026.07.05 20:45

大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合、毎週日曜午後8時~/BSプレミアム・BS4K、毎週日曜午後6時~ほか)で織田信長役を務める俳優の小栗旬(おぐり・しゅん/43)にインタビュー。主演の仲野太賀、池松壮亮が演じる“豊臣兄弟”への思いや、彼らの芝居から受けた刺激についてたっぷりと語ってもらった。さらに、SNSで大きな反響を呼んでいる“首の傾き”に隠された裏話も明かされた。【インタビュー前編/※取材は4月に実施】

  

大河ドラマ「豊臣兄弟!」

池松壮亮、仲野太賀「豊臣兄弟!」(C)NHK
大河ドラマ第65作目となる本作は、戦国時代のど真ん中、強い絆で天下統一という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡、夢と希望の下剋上サクセスストーリーを描く。主人公は天下人の弟・豊臣秀長。歴史にif(もしも)はないものの「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた天下一の補佐役・秀長の目線で戦国時代をダイナミックに描く波乱万丈のエンターテインメント。主人公・小一郎(のちの秀長)を仲野、その兄でのちに天下人となる秀吉を池松が演じる。

「想像を軽々と超えてくる」仲野太賀&池松壮亮の芝居から受けた刺激

池松壮亮、仲野太賀「豊臣兄弟!」(C)NHK
― 小一郎と秀吉にとって絶対的な主君となる織田信長。仲野さん、池松さんとの共演を通して、信長というキャラクターが深まっていったと感じる部分があれば教えてください。

小栗:太賀くん、池松くんのピュアで真っ直ぐな姿勢を現場で見せてもらい、彼らが作る「豊臣兄弟!」をベースに、織田信長というキャラクターが出来上がっていると思います。歴史的な背景で言うと、本来はもっといろいろな武将や人々が信長を取り巻いていたと思いますが、あくまでこの作品の世界において、秀吉は信長にとって確実になくてはならない存在になっていきます。それでいて秀吉は、信長に欠けている部分や、自分にはない感覚を非常に強く持っている。本来ならこうだろう、と思うようなこちらの想像を軽々と超えてくる彼を見て、信長の中で「秀吉は大事な駒として置いておかなければいけない」という思いが、回を重ねるごとに強くなっていったのだと思います。秀吉は本当にミスが多いし、信長が言ったことに全部背いていくので「よくまた許したな」という感じではあるのですが(笑)。

― 小一郎、秀吉と信長の関係性は、回を重ねるごとに少しずつ変化していきますが、小栗さんご自身はその変化をどのように捉えられていますか?

小栗:今作では描かれていないのですが「桶狭間の戦い」以前の、信長が “うつけ”と呼ばれていたような時代は、信長自身も明るく美しい世の中を作りたかったんじゃないか、と僕は想像しています。経済的に豊かで、様々な貿易がなされていくような新しい世の中をイメージして突き進んでいたと思うのですが、その先進的な経済感覚が当時の人たちにはあまり理解されなかった。それが、彼を破壊の方向へと向かわせていったのだと思います。同じビジョンを持てる人間があまりにも少ない状況の中、様々な人やものを蹴散らすしか選択肢がなくて、気づいたら自分が“破壊神”になってしまっていた。それは彼にとって予期せぬことというよりは、そうせざるを得なかった結果だったと思います。

そんな時、どれだけ過酷な状況を経ても、自分の横で「人々を喜ばせたい」「明るい未来を見たい」と言い続けてくれる秀吉は、そばに置いておきたい家臣だったはず。自分の判断や考えが狂わないための最後の指針であり、光に見えていたのではないかと思いながら演じていました。その横で知恵を絞って動いていく小一郎については、最初に出会った時は秀吉よりも確実に“使える存在”だと認識していたのですが、だんだん疎ましい存在というか、鬱陶しくなってくるんですよね(笑)。ただ、小一郎が必死に兄を心配し、助けようと行動する姿を見るのは、信長にとって傷をえぐられるようなことでもあったのかなと。自分が作ることのできなかった美しい世界を、目の前に突きつけられるような瞬間だったのではないかと思っています。

― 仲野さん、池松さんのお芝居から、どのような刺激を受けましたか?

小栗:2人はいつも、僕が「きっとこういうお芝居になるんじゃないかな」と思っていることを軽々と超えたお芝居を見せてくれる。そのおかげで、こちらも引っ張ってもらったことが本当に多くあります。秀吉を演じているときの池松くんは、少し怖さを感じるような狂気性があって、ただただ明るいだけではないんです。現場で一緒に芝居をしていると、突き刺さってくる部分もあります。一方で、太賀くん演じる小一郎と向き合っている時は、得体の知れない丸みのような、優しさを非常に感じます。

演じていると、この信長を本当に好きでいられるのだろうか、と自分の中で疑問に思う瞬間があるんです。これは僕が勝手にそう思っているだけなのかもしれませんが、2人が間違いなく「信長を愛している」という姿をずっと見せてくれる。そのおかげで、直接的には描かれていなくても「君たちがずっと僕のことを愛してくれているなら、僕も愛されているというつもりでやろう」と思えるんです。そういったところで、彼らの存在に救われていました。

小栗旬本人が語る“首の傾き”裏話

池松壮亮、仲野太賀、小栗旬「豊臣兄弟!」(C)NHK
― 小栗さんの首が傾いているシーンがSNSで話題になっていましたが、ご存知でしょうか?また、この反響を受けて現場で何かお話していたことがあれば教えてください。

小栗:その反響は認識しています(笑)。自分としてはそれほど意識していたわけではなく、これまで身分や位が高い人ほど、どっしりと威厳をもって座っているのをたくさん見てきたので、信長に文句を言う人は誰もいないだろうから、どんな姿勢でもいいんじゃないかと考えたのが始まりでした。ただ、同じような仕草を「鎌倉殿の13人」でもやっていたので、SNSで「小栗旬が傾くとやばい」と言われるようになってしまって(笑)。なので、物語の後半はあまり傾いていないかもしれないです。信長に威厳が出てきてからは「傾くとやばいって言われているし、今度は傾けないようにしようかな」と思って、逆に真っ直ぐ座るようにしています。

― 去年の10月に名古屋まつりに参加されていましたが、どのような印象を持たれましたか?

小栗:名古屋まつりはとにかく熱気がすごかったです。あんなにも人の顔を見る機会は一生に一度しかないだろうなと思いますし、太賀くんとも話していましたが、スターになった気持ちになりました(笑)。パレードは優勝した野球チームやオリンピックの選手など限られた方にしか体験できないものだと思っていたので、貴重な経験をさせていただいたなと思っています。

小栗旬、オファーを受けた決め手は仲野太賀&池松壮亮の存在「僕にとって財産」

小栗旬「豊臣兄弟!」(C)NHK
― 今作で信長を演じて、小栗さん自身の中で何か変化したものがあれば教えてください。

小栗:今回、この信長役をやろうと決めた大きな理由の一つに、太賀くんと池松くんの存在がありました。実際に現場へ行くと、彼らのお芝居に対する真摯な姿勢に触れることができて。なんというか「演じる」ということを心から信じているんですよね。僕らが作っているものは、あくまで物語を紡いでいくフィクションですが、そこに真っ直ぐ向かい合っている2人と、信長役を通してお芝居ができたことで「芝居をする」ということにもう一度ちゃんと向き合おう、という思いを抱かせてもらいました。僕にとって財産です。

もともと僕の中では「織田信長=強い存在」というイメージがありました。今作で演じた信長がたまたまそうだっただけかもしれませんが、彼もあくまで一人の人間なんですよね。大きな葛藤や迷いの中で生きている、僕らと何も変わらない存在が、少し偉大になりすぎてしまっただけなのではないか。そんな風に一人の人間として、自分の中で改めて感じることができたのは良かったなと思います。

小栗旬、大河ドラマで叶った夢

小栗旬「豊臣兄弟!」(C)NHK
― 大河ドラマへの本格的な出演は「鎌倉殿の13人」の主演以来4年ぶりとなりますが、当時の経験が役に立ったことはありますか?

小栗:大河ドラマは、出演を重ねるごとに馴染みのスタッフさんが増えていくことが面白いですし、すごく嬉しいです。「おかえり」という雰囲気でみなさんが受け入れてくださることが、どんどん増えていって、とても素敵な場所だと感じています。

あとは、役に立ったことの裏返しになってしまうかもしれませんが、人間というのは不思議なもので、大変だった記憶を忘れてしまうんですよね。4年前、大河ドラマの撮影を終えた時に「めちゃくちゃしんどかったな」と思ったはずなのに、それをすっかり忘れて、4年後の今、また10ヶ月近く撮影に参加している自分がいて(笑)。「ほら、あの時そう思っていたじゃん!やっぱり大河ドラマって大変なんだよ」と改めて思い知ったので、もしまた出演できる機会があった際には、できれば撮影期間が2〜3ヶ月程度の役で参加したいと思います(笑)。

― それだけの魅力があるということですね。

小栗:そうですね。あと、ちゃんとした織田信長を一度演じてみたいという思いもありました。以前演じた時は、少し特殊な設定だったので(笑)。今回、その夢が叶って良かったです。

★「本能寺の変」の舞台裏に迫ったインタビュー後編は近日公開!

(modelpress編集部)

小栗旬(おぐり・しゅん)プロフィール

1982年12月26日生まれ、東京都出身。ドラマ「GTO」(カンテレ/1998)で連続ドラマに初めてレギュラー出演し、その後もドラマ、映画、舞台と様々な作品で存在感を見せる。近年の主な主演作は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK/2022)、ドラマ「匿名の恋人たち」(Netflix/2025)、「ガス人間」(Netflix/2026)、映画「フロントライン」(2025)など。待機作に、映画「キングダム 魂の決戦」(7月17日公開)、「バッド・ルーテナント:トウキョウ」(2026年公開)がある。
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    豊臣兄弟!

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    毎週日曜20:00 ~ 20:45 / NHK総合ほか

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