奥平大兼「御上先生」(C)TBS

奥平大兼「御上先生」撮影で感じた松坂桃李のすごさ「学園モノをやっていないと見られない」気づきとは【インタビュー】

2025.01.14 18:00

俳優の松坂桃李が主演を務めるTBS系日曜劇場「御上先生」(毎週日曜よる9時~)が1月19日に放送スタート。生徒役の1人である奥平大兼(おくだいら・だいけん/21)が、モデルプレスらのインタビューに応じ、松坂の印象や現場でのエピソードなどを語った。

  

松坂桃李主演「御上先生」

本作は子供が生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの2つを中心に展開。未来を夢見る子供たちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実に1人の官僚教師・御上(松坂)と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描く大逆転教育再生ストーリーだ。

御上が担任を務めることになるのは隣徳学院3年2組の生徒29人。生徒キャストは、2024年3月から始まったオーディションで選ばれ、8月初旬に全29人が決定。奥平は、報道部の部長で、ジャーナリスト志望の神崎拓斗を演じる。

奥平大兼、日曜劇場出演の心境

奥平大兼「御上先生」(C)TBS
― 日曜劇場への出演が決まったときの心境を教えてください。

奥平:たくさんの名作がある枠に出させていただくことはとても光栄です。最初は「日曜劇場か」「すごいな」くらいにしか思っていなかったんですが、顔の近くまでカメラが来る特有のカメラワークを体感したことで今までの日曜劇場でのシーンが頭の中に出てきて、すごいチームでやらせていただいているんだと実感しました。2023年に学園モノをやらせていただいて、大人数でお芝居をするのはすごく大変ですし、時間もかかるものですが、「御上先生」に入る前は楽しみが大きかったです。初めましての方もたくさんいますし、何人か共演したことある子もいて、役も前の作品と全く違いますし、(年齢的に)あとどのくらい学園モノができるんだろうという寂しさや、いろいろな気持ちを抱きながらスタートしました。

― 「御上先生」に抱いた印象を教えてください。

奥平:大前提として、この作品に出てくる子たちは神崎や先生も含めて自分の問題に対してまっすぐにぶつかっていく強い子ばかりです。僕自身が御上先生と出会っていたら、いろいろな問題に対して真正面からぶつかる勇気も覚悟もないので、正直逃げ出しちゃうかもしれない。だから撮影をしていると、この作品に出てくるキャラクターたちはみんな頑張っていますし、強い子たちなんだなと思います。

― 演じる神崎についてはどう解釈していますか?

奥平:神崎はクラスのカリスマと書いてありますが、あまり自覚はなく、子供が大人ぶっているような子です。良いお家で育って、自分なりにやりたいことをやってきて、今まで打ち負かされることが少なかった子が、御上先生が来て初めて家族以外に打ち負かされて…。現在進行形で撮影中なので、もちろん台本で先の未来は分かりますが、神崎がどう変わっていくのかは全く分かっていなくて、自分は完璧な人間だと思っていた人がこんなに打ち負かされてどうしたら良いのか全く分からない、でもクラスの子たちには堂々としていたい…みたいな部分が難しいです。神崎を演じるうえで「こうしたい」という思いはもちろんありますが、最終的にはドラマを観てくださる方がいて、自分では客観的に見ることができないので、監督やスタッフさんの意見を聞いて「今ってこう見えているんだ」「そのつもりはなかったけど、そう見えているんだ」と参考にしているので、話し合っている時間は長いです。

奥平大兼、助けられている松坂桃李の人柄

― 松坂さんの出演作で印象に残っている作品はありますか?

奥平:「新聞記者」(2019)です。藤井道人監督ともご一緒させていただいたこともあるので、一番印象に残っています。

― お会いしてみた印象はいかがですか?

奥平:ものすごくラフな方です。神崎とは1話からバチバチなので、ある程度距離を置くのかなと思っていたんですが、すごく気さくに話しかけてくれました。もちろん緊張感はありますが、お芝居をするうえでガッチガチに緊張しないで済むのは松坂さんの人柄かなと思います。すごいと思うことは、難しいことを言っていますし、長いセリフを淡々と話すんですが、全然噛まないんです。僕はめちゃくちゃ噛むので、「やばい」と思いつつも、1対1でお芝居しているときは本当に楽しいです。僕が感じただけなので、ご本人がどうかは分からないですが、テストと本番ではギアを変えていらっしゃると思います。神崎が受け止められるようにお芝居してくださって、そのおかげで変化することもあるので、リアルタイムで感じられるのはとても楽しいです。

奥平大兼、衝撃の出会い明かす

― 神崎と御上先生のように、奥平さんにとって衝撃的だった出会いのエピソードはありますか?

奥平:「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(日本テレビ系/2023)の福井雄太プロデューサーです。お芝居に対してものすごく積極的に来てくれる方で、演出までしてくれるんです。監督だけでなく、プロデューサーさんがそこまで熱くなって自分が演じている役や作品に意見を言ってくださったり、相談に乗ってくださることが嬉しくて、それを初めて感じたのが福井さんでした。熱意がある方と一緒にやっていると、こっちも本気になれますし、本気でやると良いお芝居、良い作品ができると思うので、そんな方と出会えたのは嬉しいです。今回の飯田和孝プロデューサーも話し合ってくださるので、すごくありがたいですし、熱がこもったお芝居ができて嬉しいです。

― 学園モノならではの面白さ、難しさはありますか?

奥平:みんな同世代なので、シンプルにうるさいです(笑)。本当に学校にいるような感覚になります。ある程度年齢差があるとは言えど、みんなタメ口になってきていて、高校生に戻ったかのようなくだらない話もしますし、それが学園モノをやっているんだなと感じる部分でもあるので、良いなと思います。松坂さんは本当の先生みたいにニコニコしながら見ていて、たまに生徒の子たちの会話に混ざるときもあります。

大変なことは、クラスのシーンでは1人が喋っているときでも、その他の生徒ももちろん教室にいなければいけないので、どうしてもその日、シーンによってセリフがないと集中力が続かないです。自分が喋るシーンでなくても、リアクションはしなければいけないので、集中力をどう温存しておくかは今までの学園モノでも勉強になりました。

奥平大兼、同世代俳優との撮影で感じること

奥平大兼「御上先生」(C)TBS
― 同世代の俳優さんたちに刺激を受けることも多いですか?

奥平:刺激なのかは分からないですが、みんなそれぞれ色があって、面白いです。愛流(窪塚愛流)の彼にしかできないお芝居がすごく好きで「最高の教師」のときも一緒だったんですが、そのときとはまた違った感覚を覚えました。1年経っていますし、その間にいろいろな現場を経験して役柄も違う中で、再共演の子のお芝居を見ることも楽しいですし、初めましての子に対しても「こういうお芝居をする子がいるんだ」と知るきっかけにもなりました。これは学園モノをやっていないと見られないと思うので、とても面白い経験です。

― 現場ではどのように過ごされていますか?

奥平:お菓子の減る量が半端じゃないです(笑)。それが見ていて面白いですし、楽しそうだなと。あとはみんなたくさん写真を撮っています。自前のカメラを持参している子もいますし、スマートフォンで撮っている子もいるんですが、共有してくれる写真の量がすごいんです。僕は映画が多くて、映画の場合は大体1ヶ月ぐらいの撮影期間でオフショットも撮るので結構な量になりますが、今回のみんなはその1ヶ月分の写真と同じぐらいの量の写真を1日で撮っています。自分が写っていない写真もたくさんあるので、まず自分が写っている写真を探すのが大変ですし、使えそうな写真を探すのも大変ですが、自分でオフショットを撮ることがないので、撮ってくれてありがたいです。いつか各個人のSNSに上がると思うので、どんどん見せていけたらなと思っています。

奥平大兼、共演を楽しみにしていた人

― 多くの同世代の方がいますが、共演を楽しみにしていた人はいますか?

奥平:共演するのは初めてですが、プライベートで親交がある蒔田彩珠(富永蒼役)です。僕がデビューして1年目のとき、いろいろな映画賞にお邪魔させていただいたんですが、蒔田さんも映画「朝が来る」(2020)でたくさん賞を受賞していて、会う機会が多かったんです。そのときはまだお話もしたことなかったんですが「同世代ですごく良いお芝居をする子がいるな」「いつか共演してみたいな」と思っていたら、今回一緒になって、富永は神崎の幼馴染で、神崎も富永に対しては接し方が変わるような役柄なので、富永とのシーンは面白いですし、蒔田さんとお芝居することがすごく楽しみでした。

― お互いに出演が決まって、どんなお話をされましたか?

奥平:「次一緒じゃん」くらいしか話していないです(笑)。仕事で出会って仲良くなったらプライベートで会うのが一般的だと思うんですが、蒔田さんとはプライベートで知り合ってからのお仕事だったので、一緒にお芝居をすることに少し違和感があるというか、最初は慣れなかったです。楽しいんですが、不思議な感覚がありました。

奥平大兼、2025年の抱負

― 2025年はどのような年にしたいですか?

奥平:このお仕事に対しては目標がないので、成長できるならしたいですし、現状維持すべきことはすべきだと思っています。今回、北村一輝さんとご一緒させていただくのは2回目なんですが、3年前くらいに「自由にお芝居をする感じがなくならないでほしいな」とおっしゃってくださったんです。現場を重ねていくうちに、技術的なことや「今このタイミングではこう見られた方が良い」と客観的なことを気にする機会が多く、考えながらお芝居をすることも大事だと思いますが、囚われすぎるのも良くないなと思ったので、今年はそういったものを一回忘れてみようかなと。一回くらい「もうちょっとどうにかならない?」と言われるくらい自由に試してみたいと思います。

― 最後に「御上先生」の楽しみ方を教えてください。

奥平:一番面白いところはこれからの役者さんを見られることなのかな。今まで学園モノにはいろいろな素晴らしい作品がたくさんありますが、そこから注目を集め出した子もたくさんいます。学園モノの現場は、仲は良いですが同世代を意識する場でもあるので、役者目線としては「頑張ろう」と思いますし、これからどんどん出てくる子の出世作になりやすいと思うんです。リアル高校生もいるので、今の高校生を知るきっかけにもなります。大人の方々が過ごしてきた高校生と今の高校生は時代も違いますし、感覚も違うので、これから大人になっていく子たちが今何を感じているのかを知ることができるのも学園モノにしかない魅力だと思います。

物語的には、普段生きていたら触れないような政治的なお話が出てくるので、僕も台本を読んでいなかったら知らなかったことがたくさんありましたし、このドラマを観てくださる方々も初めて知ることがたくさんあると思います。それが良い方向に変わったらなお良しですが、何にせよ0から1はないと。ドラマでいろいろな人がいる中でダークなところも見せられることはありがたいですし、キャストも含め、監督、プロデューサーさん、スタッフさんの熱がこもっているので、視聴者さんに届いたらどう感じてくれるのかなと楽しみです。

― ありがとうございました!

(modelpress編集部)

奥平大兼(おくだいら・だいけん)プロフィール

2003年9月20日生まれ、東京都出身。俳優デビューとなった映画「MOTHER マザー」(2020)で「第44回 日本アカデミー賞新人俳優賞受賞」「第63回 ブルーリボン賞新人賞受賞」「第94回 キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞受賞」「第30回 日本映画批評家大賞 新人男優賞受賞」と4冠を達成。映画「Cloud クラウド」(2024)は、さまざまな映画祭に出品され、国内外で話題を呼んだ。近年の主な出演作は、NTV「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(2023)、Disney+「ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-」(W主演/2023)、「赤羽骨子のボディガード」(2024)など。
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