乃木坂46久保史緒里、キャバクラ嬢役で新境地「人間像を壊していきたい」大河女優が描く未来<「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」インタビュー>
2023.06.27 18:00
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映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(6月30日公開)に出演する、乃木坂46の3期生・久保史緒里(くぼ・しおり/21)。彼女は今作で、自身初となるキャバクラ嬢役に挑戦している。モデルプレスでは、オファーを受けたときの心境や役への思い、さらには今後のビジョンまでたっぷりと聞いた。
伊藤沙莉主演「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」
本作は『ミッドナイトスワン』の内田英治監督と、『岬の兄妹』の片山慎三監督がタッグを組み、6つのストーリーを2人で分業、1本の映画として創り上げていくというコラボレーションスタイルの意欲作。新宿歌舞伎町でバーテンダーとして働きつつ、探偵としての顔を持つマリコ(伊藤沙莉)が、恋人で自称忍者・MASAYA(竹野内豊)とともに依頼者からの事案を解決しようと奮闘する、ブラックユーモア溢れた作品となっている。
久保はホストの星矢(高野洸)に恋するキャバクラ嬢の絢香役を演じている。
久保史緒里“キャバクラ嬢役”は「挑戦」
― まずは、今作のオファーを受けたときの心境から教えてください。久保:“キャバクラ嬢役”と聞いたときはすごくびっくりしました。まさか自分にそういった役がくると思っていなかったので「挑戦づくしだな」と感じたのですが、内田英治監督と片山慎三監督の名前を見て、このお2人とご一緒に映画を作れるという嬉しさがありました。
― オファーを受ける上で迷いや不安はありましたか?
久保:自分の知らない世界だったので、そういった意味ではすごく怖いなという気持ちはあったのですが、こうした役を演じることについては、不安より“ワクワク”の方が大きかったです。自分と離れたところにいる役を演じられることは、すごく光栄なことだと思っています。
― 劇中では、絢香がスナックで酔っ払うシーンなど、アイドルとしての久保さんを知っているファンの皆さんには“180度違う姿”を見せることになると思います。その点への不安や怖さはありましたか?
久保:そういった不安は全くありませんでした。これまでの約7年間の活動を通して「久保史緒里」という人間像が皆さんの中で出来上がっているとしたら、それはすごくありがたいことですし、これからはその人間像をどんどん壊していきたいという思いもあります。人間性の部分は『乃木坂46のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)を通して「こんな一面があったんだ」とお伝えできていると思うのですが、役を通しても皆さんにまだ見せたことがない私をどんどん見せていきたいんです。
きっと、ファンの皆さんは私が今回のような役をやるというのは、想像もしていなかったと思います。ミーグリ(ファンとの交流イベント「オンラインミート&グリート」)でも、驚いていらっしゃる方がいたのですが、そういった反応もすごく光栄なことだと思っています。実際に映画を観ていただいた際に、皆さんの想像を越えられていたら嬉しいですし、それは撮影に挑む前からの課題でもありました。
久保史緒里、役作りにこだわり
― 役作りで意識したことがあれば教えてください。久保:私自身、これまでの人生で歌舞伎町に行ったことがなくて(笑)。映画出演が決まった際に、「マネージャーさん2人を両脇に一緒に歌舞伎町を歩く」という、初めての経験をしました!
― 実際に見た歌舞伎町は、イメージしていた通りでしたか?
久保:イメージ通りでした。今作には歌舞伎町で生きる本当に色々な人の人生を描いているのですが、実際に歩いてみても生き生きとしている人がたくさんいたことが印象的で。すれ違う全員に対して「どういった経緯でこの歌舞伎町に来たんだろう」と興味が湧きました。
― 絢香を演じる上で大切にしていたことはありますか?
久保:絢香は昔から歌舞伎町という街にいたのではなく、憧れて上京してきた存在で、登場人物の中では染まりきった人間ではないんです。なので、役作りをする上でも絢香の純粋な部分を大切にしていました。
彼女はすごく孤独だったと思いますし、寂しさのほかにも色々な感情があったと思うんです。キラキラとしたイメージを抱いて「歌舞伎町」に来たと思うのですが、そこで現実の厳しさを知ったり、彼女の純粋さゆえの不器用さのようなものが絡まったりして、なかなか人生の歯車が上手く回らない。そういった部分は、台本を読んでいても「なんでこうなっちゃうんだろう。なんでこういう人生に転んでいっちゃうんだろう」と感じていました。
でも、絢香はただただ純粋だったからこそ、そう転んでしまったのかなとも思います。撮影前は、そうやって彼女の1個1個の行動から人間性をつまみ出す作業をしていました。
― 劇中では、絢香の表情や目の動きなどから強い感情が伝わってきました。そうした細かい部分は、監督とすり合わせていったのでしょうか。
久保:内田監督からはずっと「本当にその場で感じたことだけで良い」と言われていました。これは当たり前のことのようで、普段ライブでファンの皆さんからの「見え方」を意識している自分にとっては初めての感覚に近かったんです。アイドルをやっているがために難しいことの1つでもありました。
“自身と真逆”絢香とは「共通点もたくさんある」
― 久保さんと絢香は全く別の人生を生きていますが、絢香の人生から学んだり、刺激を受けたりしたことはありますか?久保:絢香と私は離れているようで、実は共通点もたくさんあると思っています。絢香はすごく強がりで、きっと助けて欲しい場面もいっぱいあったのに、そこで「助けて」と言えない。それが彼女の強さであり、弱さでもあったと思います。そういった面では、私もあまり自分からSOSを出せないタイプなので、似ているからこそ辛くもなりました。「もっと素直に生きたら生きやすいのに」と重ねてしまいましたね。
― 絢香と絢香が恋をしているホスト・星矢には、予想外の展開が待ち受けています。台本を見た際、久保さんは2人のラストシーンに対してどのように感じましたか?
久保:「どういう展開になるんだろう」とすごくドキドキしながら台本を読み進めていたのですが、絢香が出した決断は不思議だとは思いませんでした。それが彼女にとっての正義だったのかなとも思いますが、どこかで違う選択をしていたら、何か違うラストがあったのかもしれないなとは思います。
“大河出演でも注目”久保史緒里が描くビジョン
― 久保さんは、2022年末に『左様なら今晩は』(11月11日公開)で映画初主演を果たし、現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』では織田信長(岡田准一)の娘・五徳役が話題を呼ぶなど、女優としても大きな注目を集めています。グループから離れて個人活動をすることに対して、ご自身ではどのように感じていますか?久保:乃木坂46に加入して7年目を迎えましたが、自分がこうして色々な作品に参加させていただける未来を想像していなかったのでとても嬉しいですし、同時にグループの名前を背負って色々な活動をさせていただくことへの緊張感や責任感も年々強くなっているなと感じています。
― 様々な俳優さんと関わったり、役柄を演じたりする中で、ご自身の考え方に変化などはありましたか?
久保:私は元々人見知りで引っ込み思案なので、あまり自分からコミュニケーションをとるのが得意ではないのですが、色々な現場で色々な俳優の方とお会いして、皆さんのコミュニケーション能力の高さに刺激を受けました。私自身も、緊張したときに現場で皆さんがたくさん話しかけてくれたことで緊張を解すことができたので、これからは私も積極的にコミュニケーションをとっていきたいなと思っています。
― 新たな挑戦で多くの刺激を受けていたんですね。今後も女優業に力を入れていきたいという思いが強いでしょうか?
久保:もちろんお芝居を通して勉強することは多いですし、これからもどんどん色々な役に挑戦していきたいと思っています。でも、自分の未来のプランとして、「この道だけ」と決めているわけではありません。正直、皆さんが想像している以上に色んな道を考えてはいます。どの選択をしても後悔のないように生きていきたいです。
― 貴重なお話、ありがとうございました。
(modelpress編集部)
久保史緒里(くぼ・しおり)プロフィール
2001年7月14日、宮城県出身。血液型はO型。星座はかに座。身長は161cm。『Seventeen』の専属モデル。2016年、「乃木坂46 3期生オーディション」に合格してデビュー。20thシングル『シンクロニシティ』にて初の選抜メンバーに。2021年には『クロシンリ 彼女が教える禁断の心理術』で連続ドラマ初主演に抜てきされ、舞台『夜は短し歩けよ乙女』で初W主演。2022年に『左様なら今晩は』で映画初出演にして初主演を務め、現在、NHK大河ドラマ『どうする家康』に出演中、映画『リバー、流れないでよ』が公開中、今年9月14日(木)より舞台『天號星』が上演。また、『乃木坂46のオールナイトニッポン』のメインパーソナリティーを務めるなど、あらゆるフィールドでの活躍を見せている。
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