モデルプレスのインタビューに応じた浜辺美波(C)モデルプレス

浜辺美波「起き上がるのが辛くて」落ち込みきった時期に考えた“最低限の幸せ”と立ち直った方法<「らんまん」インタビュー>

2023.03.20 12:00

4月3日より放送開始する連続テレビ小説「らんまん」(毎週月~土あさ8時~ NHK総合※土曜日は1週間の総集編、毎週月~金あさ7時30分~ BS4K・BSプレミアム)のヒロインを務める女優の浜辺美波(はまべ・みなみ/22)にモデルプレスらがインタビュー。

「明るくて朗らかな人」―そんなイメージのある浜辺が「落ち込みきった」時期があるという。その悲しみを乗り越え、前を向けた理由とは?本作の見どころなどとともに、たっぷりと語ってもらった。

  

神木隆之介主演「らんまん」

神木隆之介(C)NHK
俳優の神木隆之介が主演を務める同作は、高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルとしたオリジナルストーリー。幕末・明治から大正・昭和そして未曽有の敗戦へ―そんな混乱の時代の渦中で、愛する植物のために一途に情熱的に突き進んだ槙野万太郎(神木)とその妻・寿恵子(浜辺)の波乱万丈の生涯を描いていく。

浜辺美波、朝ドラヒロイン決定に万感の想い「手が震える感覚」

浜辺美波(C)NHK
― まず、朝ドラのヒロインとして出演が決まった際の感想を教えてください。

浜辺:連続テレビ小説は小さい頃から両親含め祖父母から「出演したら観るのにな」と言われておりました。祖父母が年齢を重ね、コロナ禍で帰省ができないという中で、何か恩返しができることはないかなと思っていた時期にこのお話をいただきました。神木さんが主演であり、お花も大好きなので植物学の話と聞いて、全部のタイミングの巡り合わせにすごく恵まれていると思いました。出演が決まった時は手が震える感覚があり、「私で良いのかな」という気持ちや嬉しさ、楽しみなどいろんな感情が湧いてきて眠れませんでした。

― 脚本を読まれた感想を教えてください。

浜辺:第1週を読ませていただいた時に、幼い万太郎さんの無邪気な感覚とお母さんとの交流に、ポロっと思わず泣いてしまいました。1話から「こんなに心を持ってかれるんだ」と驚くくらい長田(育恵)さんの脚本には引き込まれるものがあって、愛してしまうような万太郎さんの人間性が描かれています。最初に脚本の長田さんとお会いした時に、言葉遣いに色々な配慮と愛がこもっている信頼できる方だなと感じたのを覚えています。そんな長田さんのお人柄が存分に詰まった温かくハッピーになれるお話です。

浜辺美波/ヘアメイク:寺田裕子(資生堂)、スタイリスト:瀬川結美子、衣装:フラマー/アネンサール、MANA/CONCORDIA(C)モデルプレス
― 朝ドラ出演は2015年の「まれ」以来8年ぶりとなりますが、この8年でご自身の変化はありましたか?

浜辺:当時は撮影の記憶が全くないくらい、自分のことだけで精一杯でした。それと比べると今は視野を広く持てる余裕が出てきたり、自分のペースで撮影に向かうルーティーンもできてきたりしているので、子役ちゃんが来た時に、撮影が良い思い出として残るように努めたいと思うようになりました。私はまだ幼い子たちには会えてないので、いつか妊娠や出産などの展開があれば、皆で仲良く和気あいあいとできたら良いなと思います。

浜辺美波、寿恵子と共通点「自分で道を選びたい」

浜辺美波(C)モデルプレス
― 今回演じる寿恵子さんは、夫を支えることにひたむきで逞しい女性という役どころですが、演じる上で心がけていることはありますか?

浜辺:最初に登場する時は17歳で幼さが残っていますが、そこから時代的に政略的な結婚が多い中でも万太郎さんと結婚することを自分で決意して、女性として逞しくなっていく成長の過程を演じられるよう心がけています。最初は等身大の葛藤を抱えながら、徐々に芯の通った女性を演じていければと思っています。

― 寿恵子さんとご自身との共通点、もしくは共感したポイントを教えてください。

浜辺:寿恵子は時代背景の中でも自分で道を選びたいという性格です。私が思う理想の女性像は自分の選んだ道を後悔するのではなく、楽しんで力強く歩いていく人で、私自身も最終的には自分で進む道を決めたいと思っています。そういう意味では共感ができますし、視聴者の方にも「応援したい」と思ってもらえるようなお人柄ではないかなと思います。

浜辺美波(C)モデルプレス
― 寿恵子さんの一番の魅力というのはどのような部分に感じていますか?

浜辺:やはり強さだと思います。苦労する中でも楽しみながら牧野さんを支えて苦難を乗り越えていく。そういった工夫ができる強さは羨ましいものがあります。伝記を読むと、牧野さんが植物採集に出かけて会えなかったり、引っ越しも20回以上していたりと、そんな大変な中でも支え続けることが幸せだったと思うんです。そういう自分で貫いたから思える幸せを、感じることができる人だと思うので、その良さを自分の中で固めて演じていきたいなと思います。

浜辺美波「演じるのが楽しみになった」寿恵子の印象深いエピソード

(中央)浜辺美波(C)NHK
― 今回寿恵子さんの人生を長く演じられますが、1人の女性の人生を若い頃から年齢を重ねるところまで演じる面白さや難しさは、どういうところに感じていますか?

浜辺:寿恵子さんは幼少期のシーンがなく17歳から描かれているので、歳を重ねて自身のことを回想する時に、自分が演じた思い出を積み重ねていけるので演じやすいだろうなと思っています。あとは、今まで20代前半までしか演じたことがありませんでしたが、朝ドラでしかできないような年齢まで演じられるので楽しみです。

― 植物学者の妻を演じるために事前に準備したことがあれば教えてください。

浜辺:高知の牧野植物園で職員さんからお話を聞いたことは、役作りの中で大きかったです。涙ながらに「朝ドラが決まって良かった」と言ってくれるくらい、愛情深くお話をしてくださいました。植物園にはモデルとなった壽衛さんについても記録が残されていたので、伝記で読むよりも大きな存在を感じたり、2人の関係性を身に沁みて感じられて、演じる上での大きな材料になりました。今後の展開の準備としては、ダンスのお稽古を教えていただきました。

浜辺美波(C)モデルプレス
― 同作は主人公だけでなく寿恵子さんもモデルとする方がいて、奥様にちなんだ植物に名前をつけたというエピソードもあると言いますが、そのモデルとなった2人で印象深いエピソードはありますか?

浜辺:植物園に牧野さん本人の絵もまだ残っているので見たのですが、牧野さんは植物画を残していた時の図鑑の文字と、寿恵子さんにお手紙を書いていた時の文字の丸みが違うんです。そこに愛情が出ていて、手紙の中では寿恵子さんではなく「寿恵ちゃん」と呼ぶような、本当に最後まで仲の良いご夫婦だったと聞きました。植物に「スエコザサ」と名付けた有名なお話を聞いた時は、最後まで添い遂げたのだなと思い嬉しかったです。最後まで演じるのが楽しみになったエピソードです。

浜辺美波、座長・神木隆之介の「器の大きさに感服」

浜辺美波、神木隆之介、志尊淳(C)NHK
― 神木さんとは映画「屍人荘の殺人」(2019年)から4年ぶりの共演で今回は夫婦役となりますが、その空気感を作るために演技面で話し合ったことはありましたか?

浜辺:神木さんとは今回の役への共通認識として、万太郎も寿恵子もある意味独特で面白い面のある人なんじゃないかなと2人で笑っています(笑)。

― 先日神木さんのインタビューで現場では「良い感じで頑張りすぎない」という風に話していましたが、浜辺さんから見て神木さんのそういうスタンスは、どう映っていますか?

浜辺:現場のやり方がリハーサルから引き締めるパターンと、あえて最初から引き締めることを選ばないパターンの2つありますが、神木さんは後者のパターンで現場の雰囲気を作ってくださっています。神木さんがリハーサルからしっかりかしこまってやると、他の人にプレッシャーがかかってしまうので、長く撮影する時はこういう座長の在り方の方が皆の肩の力が抜けるということを意識して、あえてリラックスした現場作りをしてくださっています。緊張感の中にもちょうど良い緩さがある「らんまん」らしいやり方を選べる神木さんの器の大きさに感服しました。現場でもムードメーカーで万太郎さんが入るだけで雰囲気が明るくなり笑いが起きますし、力強さがあるなと思います。

浜辺美波が悲しみを乗り越えた方法

浜辺美波(C)モデルプレス
― モデルプレスの読者の中には今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。そういった読者に向けて浜辺さんが悲しみを乗り越えた方法を教えてください。

浜辺:私は悲しみがある程度溜まらないと悲しいとあまり感じないタイプなので、つまり感じたということは相当悲しい時なんです。最近だと「らんまん」の長期に渡る撮影の前にお休みをいただいたのですが、「厄年かな?」というくらいあまり良くないことが立て続けに起こって、落ち込んでしまって。マイナス思考になって「お仕事も駄目なのかな?」「うまくいかないな。どうしたら良いんだろう。ご飯が食べられなくなっちゃう」とも思ってしまいました。理由を考えると悲しさをより感じてしまう気がして逃げてしまうことも多いのですが「どうして悲しいのか?」「私の最低限の幸せは何なのか?」と考えた時に、ご飯があってワンちゃんがいることが私の最低限の幸せで、「このフィールドが守られているから今私は幸せだ」と分かってからはかなり楽観的になりました。まずそこを守って、守るために何を頑張るかというのが明確になり、元気になりました。

― その落ち込みを乗り越えるきっかけがあったのですか?

浜辺:落ち込みきった、というのがあります。ベッドから起き上がるのが辛くて、ワンちゃんにご飯はあげるけどかまう余裕はないかも…身体に重力が5倍かかっているのでは?と思うくらい重たかった時に、このまま力を振り絞って頑張るだけではこの先走っていけないと思って、理由を考えたのが良かったのかもしれません。

浜辺美波の“夢を叶える秘訣”

浜辺美波(C)モデルプレス
― そんな浜辺さんの“夢を叶える秘訣”を教えてください。ちなみに2020年は「自分が決めたこと信じることを長く続けること」とお話していました。

浜辺:それも変わらないですが、「真っ直ぐな心を忘れないこと」かな。素直になってみることが色々なタイミングでのきっかけになるのではと思います。

浜辺美波が思う「らんまん」の“見どころ”

― 最後に、視聴者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

浜辺:改めて今回連続テレビ小説が愛され続けている理由はなんだろうと考えてみた時に、朝からすがすがしい風が体の中を通り抜けるような爽やかな活気をくれるというのが大きな理由の一つなのではないかなと感じました。万太郎さんの天真爛漫な明るさを毎朝観ると、華やかで心が軽くなるような一つのエッセンスをくれると思います。最後まで「らんまん」に咲き誇るような連続テレビ小説になっているので、朝のルーティーンに組み込んでいただければ必ずハッピーな気持ちになれます。ぜひこれを機に朝ドラを観ていない方は観ていただきたいと思いますし、ルーティーンの方は4月から楽しんでいただけると嬉しいです。

(modelpress編集部)

浜辺美波(はまべ・みなみ)プロフィール

浜辺美波(C)モデルプレス
2000年8月29日生まれ、石川県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞し芸能界入り。その後、ドラマや映画、CMなど多岐にわたり出演。2017年公開の映画「君の膵臓をたべたい」で、第41回「日本アカデミー賞新人俳優賞」などを受賞し新進気鋭の若手女優として頭角を現す。2023年は劇場アニメ「金の国 水の国」の主人公の声を担当したほか、3月17日に公開された映画「シン・仮面ライダー」でヒロインを務めている。
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