<堀田真由“男女逆転”「大奥」インタビュー>「体調がおかしくなるくらい」追い込まれる…福士蒼汰に救われていること「間違いなく代表作になっていると確信」
2023.01.13 17:00
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2023年1月10日にスタートしたNHK総合ドラマ10「大奥」(毎週火曜午後10時~10時45分)の「3代・徳川家光×万里小路有功 編」で3代目将軍・徳川家光/千恵を演じる女優の堀田真由(ほった・まゆ/24)。男女が逆転した江戸パラレルワールドを描く作品の中での葛藤、そして共演者の支え──「間違いなく代表作になっていると確信している」と話す彼女の生き様とは。
堀田真由“男女逆転”「大奥」家光役抜擢の心境
「わしは将軍という名の人柱である」。徳川の世を存続させるため、女将軍が誕生。“男女逆転・大奥”のすべてはここから始まる。3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女が逆転した江戸パラレルワールド、そしてジェンダー、権力、病など、現代社会が直面する課題を大胆な世界観で鮮やかに描いたよしながふみ作「大奥」を原作にドラマ化する。「本当に心の機微を丁寧に表現していかないと難しい役どころです。泣いたり、怒ったり、本当に喜怒哀楽が激しい役柄なのですが、これまでそういった役があまりなかったので、新たな挑戦になっています。素敵な、挑戦的な役どころを託していただけたことが嬉しく、そしてしっかりとプレッシャーも感じながら撮影に挑んでいます」。
堀田が演じる家光は、赤面疱瘡で亡くなった本来の3代家光のご落胤。家光の死を偽装するために3代将軍・家光として据えられ、女性でありながら男性のように生きるという非常に難しい役どころとなっている。
「クランクインの前に、立ったり、座ったり、歩き方など、男性らしい基本的な所作は教えていただきました。1日の中でも本当に扮装変えが多くて、女将軍をやっていたかと思ったら次のシーンでは小姓になっているなど、いろいろな姿を家光が見せていくので、小姓のヘアメイクをしていただいている時は、わざと足を開いてそこから気持ちを作っています。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演させていただいた時にも、男性の方々とご一緒させていただくシーンも多かったので、これまでご一緒してきたみなさんの所作も参考に、今回の『大奥』では男性側、女性側、両方の心理を感じられたと思います」。
堀田真由、福士蒼汰に救われていること「毎回助け船を出してくださる」
家光は、歪んだ生い立ちから、心を閉ざし、暴力的な一面もあるが、公家出身の美しき僧・万里小路有功と出会い、その深い愛によって成長していく。家光の側室「お万の方」となり、その後大奥の基盤を築いていく有功を演じるのは俳優の福士蒼汰。収録を進める中で、堀田自身も福士に救われ、役者としての繋がりを築いていた。「第2回から家光編は始まるのですが、有功と家光が出会う最初のシーンが、扇子で顔を何度も叩くという、原作でもかなり有名なシーンなんです。そのシーンを撮影したのが、かなり撮影自体が進んだ後だったのですが、家光が有功に少し引っかかりを持つ大切なシーンになるので、福士さんや監督と『すごく丁寧にやっていきたいですね』と話していました。家光としても初登場シーンになるので、そこで家光の人となりがかなり出てしまう部分ということもあり、すごく悩んでいたんです…。
マイナスな部分が多かった家光は、有功と出会ってすごくプラスの要素が増えていって、寒色なものが暖色になる、冷たい青みたいなものが暖かいオレンジや赤になっていくというイメージで進めていきたいなと思っていたのですが、福士さんも同じ気持ちで、『有功のことをもっと適当な扱いをするようにして、叩く時もちょっと強弱をつけたほうがいいかもしれないね』と言ってくれました。
それと、家光は心で思っていることと言葉に出ることがずっと真逆の人なのですが、本番の時に、泣いてはいけないシーンで私が涙を流してしまった時があったんです。きっと家光からしたら心は泣いているので、その心情は合っているのですが、それを表には見せてはいけない人だったので…。でもそこで福士さんは、お芝居を押し付けるというわけではなく、『有功に対してマイナスのことをもっと思って』『真由ちゃんの中でやりやすいポイントがあると思うから、僕が言っていることだけじゃなくて、その中で見つけやすいポイントを探してみたらどう?』などと優しく言ってくださって。毎回助け船を出してくださる方で、本当に一緒にこの作品を作っていけてよかったなと思っています」。
堀田真由「間違いなく代表作になっていると確信」
そんな堀田とは真逆ともいえる家光を演じる上で、自身の身を削って役に没入しているという。「自分にとっては間違いなく代表作になっていると確信している」と断言できるほど、“家光”として「大奥」に生きる堀田の思いは──。「私は普段怒ることがあまりないと思っているのですが、家光は突発的に怒りのメーターが0から100に動く方なので、今撮影をしていて自分自身の体調がおかしくなるくらい、ちゃんと追い込まれています。これまで役の切り替えを結構できるタイプで、役を引きずるタイプではなかったのですが、今回はかなりちゃんと引きずりながら撮影をしていて…。
でも形は違えど、悩んでいることや人間の弱い部分というものはみんなが持ち合わせているので、撮影の中で勝手に涙が出てしまった時などは、『今自分が家光と近づけているな。家光としてちゃんと存在できているんじゃないかな?』とすごく感じています。自分にとっては間違いなく代表作になっていると確信しているので、本当に多くの方に見ていただきたいと思っている作品です」。
そして、“男女逆転”を描いた「大奥」に込めたメッセージとして、「まず男女逆転という発想が本当に面白いなと思います。男女が逆転していって女性が将軍になっているのに、ちゃんと歴史として残ってきた事実が描かれているので、『よしながさんの頭の中はどうなっているんだろう?すごいな』と思いながら、原作も楽しく読ませていただきました。私も時代劇作品に出演するようになってから、『学生時代にもっと歴史を楽しんで勉強していれば日本の良さをたくさん知ることができたのに』と思うことがあったので、男女逆転ではありますが、この作品を見ていただいて、学生の方や若い方にも、楽しいなと思ってもらえるきっかけになったら嬉しいなと思います」と語っていた。(modelpress編集部)
「大奥」あらすじ
江戸幕府3代将軍・徳川家光の時代、「赤面(あかづら)疱瘡(ほうそう)」と呼ばれる奇妙な病が日本中に広がっていった。この病は“若い男子にのみ”感染し、感染すれば“数日で死に至る”恐ろしい病であった。対処法も治療法も発見されず、結果として男子の人口は女子の1/4にまで激減し、日本の社会構造は激変した。男子は希少な種馬として育てられ、女子はかつての男子の代わりとして労働力の担い手となり、あらゆる家業が女から女へと受け継がれるようになる。江戸城でも3代将軍家光以降、将軍職は女子へと引き継がれ、大奥は将軍の威光の証であるがごとく希少な男子を囲い、俗に美男3千人などと称される男の世界が築かれていくのであった。
3代 徳川家光×万里小路有功 編
赤面疱瘡が広まり、本来の3代将軍家光も死去。春日局は秘密裏に、その娘・千恵を将軍の身代わりにし子を産ませ、徳川を維持しようとしていた。公家出身の美しき僧・万里小路有功は、春日局により無理やり還俗させられ大奥へ。人としての人生を奪われボロボロに傷ついた千恵といつしか愛し合い…。堀田真由(ほった・まゆ)プロフィール
1998年4月2日生まれ。NHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017)で注目を集め、その後、テレビドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019)やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022)、映画「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」シリーズ(2019、2021)、「ハニーレモンソーダ」(2021)などの話題作に多数出演。「ブルーサーマル」(2022)では声優初挑戦ながら主演を務めた。ヘアメイク:小笹 博美 kozasa hiromi
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