大原櫻子がコロナ禍で考えたこと 「大泣き」を経て「この1年はとても充実していた」と言えるまで
2021.03.03 16:30
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<5thアルバム「l(エル)」(3月3日発売)モデルプレスインタビュー>歌手で女優の大原櫻子(25)がコロナ禍で考えたこと。昨年、ヒロインを務めるはずだったミュージカル「ミス・サイゴン」が全公演中止、「大泣き」を経て「この1年はとても充実していた」と言えるまで。
「エンターテインメントを届けられる世界が当たり前じゃないと感じたとき、みなさんになにを届けるのか、自分でちゃんと考えて発信していきたいと心から思いました」
大原櫻子「大泣きした」ミュージカル中止
東京・帝国劇場で昨年5月~6月にかけて上演されるはずだったミュージカル「ミス・サイゴン」。幼い頃から同作への出演を夢見ていただけに落胆は大きかった。「普通に稽古が終わった翌日に稽古が中止となり、次の日もその次の日も中止、そして公演自体が中止。最初はその悔しさをどこにぶつければいいのかもわからなくて。稽古が中止になった日、インスタにサングラスをして断捨離している画像を投稿した日があるのですが、空元気をしていないと心が保てないような日々でした。
公演中止がわかったときは、スタッフさんと1時間くらい電話して、私がこのミュージカルにかけてきた想いを精一杯伝えました。やり方を変えてどうにかできないのか、といった相談もしたのですが、本当にどうしようもないことだと理解できてしまい、大泣きしました。しばらく泣いていたのですが、そんな中でも前を向かないといけないと思い、前を向き始めました」
大原櫻子、初の単独作詞・作曲に挑戦
「ミス・サイゴン」中止の瞬間は絶望に近い感情がわき上がったが、いま改めて1年を振り返ると「とても充実していた」という。自粛期間では料理をする時間ができ、9月にはYouTubeチャンネルを開設、夏には映像のお仕事も舞い込んだ。その中でも特に大きかった出来事は、初の単独作詞・作曲に挑戦したこと。「図らずも『ミス・サイゴン』中止でスケジュールが空き、その時間を使って『チューリップ』という楽曲を制作しました。もともと昨年は音楽活動を予定していなかったので、時間ができて作詞と作曲を自ら手がけられたのはとてもポジティブにとらえています。
それに今回は考える時間をいつもより確保でき、自分が伝えたいメッセージがはっきりしたんです。このコロナで世の中にはネガティブな出来事があった人はたくさんいて、私の友だちにもいました。そんな方々を元気にしたい、励ましたい、という想いを込めて楽曲を制作しました」
声が出せなくても…観客から“届いた想い”
楽曲制作自体も大原が提案。様々なことに対して“能動的”に動き始めたことが、結果として新しい一面をファンに届けることにつながったという。同時に改めて自身が発信するべきことについて熟考した。「『自分にできることってなんだろう』『そもそもなんで自分はこういうお仕事をやっているんだろう』ということをものすごく考えました。そのヒントをくれたのが最近まで出演していた舞台『両国花錦闘士』。コロナの影響で客席はいっぱいにできなかったのですが、拍手の大きさはコロナ前より大きかったんです。
お客さんは声を出せない分、拍手で気持ちを伝えてくれて、それに感動して泣いてしまいました。エンターテインメントを待っている人がいるなら私には居場所がある、だったら頑張りたい、もっと楽しいものを届けたい、溢れる感情が止まりませんでした」
大原櫻子が挑む、新しいライブ
今もっとも望むのは「コロナ前のようにライブでお客さんと触れ合うこと」。しかしそれはまだいつになるか誰にもわからない。それでも大原は一歩を踏み出した。4月から全国ツアー「大原櫻子 CONCERT TOUR 2021 “Which?”」を開催する。定員制限を行い、全13ヶ所で各2演目制の全28公演。それぞれの演目時間は約70分を予定し、2演目は内容が異なるという試みだ。「お客さんと触れ合えるライブをやりたいです。通常なら“さくちゃん”と呼んでくれて、自分もそれに応えることができる、そんな当たり前のことを当たり前にできなくなることがこんなにストレスになるなんて思ってもいなかったです。だからこそ、それがまた当たり前にできるようになったら、これまでにはなかった新しい景色が広がる可能性もあるので、それは楽しみでしかたがありません。
でもそれはまだ先の話になりそうで、それでもこの状況でファンの方と同じ空間を共有すること、そういう場を設けることはまず一歩になるのかなと思い、4月からの全国ツアー開催を決めました。例えばみんなで一緒に踊るとか、声を発せられなくても動きで一体感を生み出すことができないかなとか、今までとは違うアプローチの方法を考えています」
“l(エル)”に込められたもの
最新アルバムのタイトル「l(エル)」は、リード曲「STARTLINE」の“L”をはじめとして、“love”“life”など複数の“l(エル)”の意味が込められ、さらに“L”を小文字表記“l”にすることで“スタートライン”をビジュアルでも表現した。「小文字の“l(エル)”は人が凛として立つ姿にも見えるなと思い、あえて小文字の“l(エル)”にしました。未来に向けて歩き始める、ということも連想できますしね。人生を生きる、ライフ、そしてラブ、コロナによって改めて考えさせられたことです。アルバムに収録された楽曲を通して、いろいろなことを感じてもらえたらいいなと思います」
大原櫻子インタビューこぼれ話
<こぼれ話1/ロングヘア>一生で1回はロングヘアを経験しておきたくて、今は伸ばしています。ヘアアレンジも自在なので楽しいです。でもファンの方はどっちが好きなんだろう…。感想を絶賛募集中です!
<こぼれ話2/英会話>
毎日30分、ネイティブの方とテレビ電話のような形で勉強しています。今日も取材場所に来るまでの車の中で行いました。始めてちょうど半年くらい。日常会話程度ならやり取りできるようになりました。始めたきっかけは海外の方にも歌を届けたかったから。日本で英語の曲を歌うときも、よりよい発音で歌えた方が表現の幅も広がると思ったんです。
(modelpress編集部)
大原櫻子(おおはら・さくらこ)プロフィール
1996年、東京都生まれ。日本大学藝術学部映画学科卒業。2013年、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」全国ヒロインオーディションで5000人の中から抜てきされ、スクリーン&CD同時デビューを果たす。2014年、女優として「日本映画批評家大賞 “新人賞”」、歌手として「第56回輝く!日本レコード大賞“新人賞”」を受賞。以降、歌手活動と並行して、数々のテレビドラマや舞台へ出演する。<5thアルバム「l(エル)」>
BOAT RACE 2021 TVCMイメージソング「STARTLINE」、Coo&RIKU タイアップソング「抱きしめる日まで」、長屋晴子(緑黄色社会)書き下ろしの配信シングル「透ケルトン」、一青窈作詞のシングル「#やっぱもっと」、そして自身初の単独作詞/作曲ナンバー「チューリップ」を含む全12曲を収録。
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