岡田准一「白い巨塔」で挑む“ダークヒーロー”
テレビ朝日開局60周年記念スペシャルドラマとして5夜連続(5月22日~5月26日/よる9時)で放送される『白い巨塔』にて主演を務める岡田准一(おかだ・じゅんいち/38)がモデルプレスなどのインタビューに応じた。
『白い巨塔』豪華キャストで人間ドラマの最高傑作に挑む
1965、69年に新潮社より刊行された、作家・山崎豊子氏の長編小説『白い巨塔』。大阪の大学病院を舞台にした同作は、医療ドラマの枠を超えて人間の本性に迫り、山崎作品の中でも“最高傑作”と呼び声の高い作品となっている。主人公・財前五郎役に岡田を迎え、財前の同期で内科医の里見脩二役を松山ケンイチ、財前の愛人でバーのホステス・花森ケイ子役を沢尻エリカ、そして財前の師である第一外科教授・東貞蔵役を寺尾聰。さらに数々の名作ドラマを手掛け、近年は映画界でも活躍し、紫綬褒章、旭日小綬章を受賞した巨匠・鶴橋康夫氏を監督に、脚本には日本アカデミー賞を受賞した羽原大介氏らを迎え、開局60周年にふさわしいスケールとスタッフで、人間ドラマの最高傑作を作り上げる。
設定は現代日本に 今、財前五郎を演じるということ
今回は物語の設定を2019年に変更。現代の最新医療ならではの、今までにない新たな『白い巨塔』の世界を醸成していく。岡田は「(現代は)相手を慮(おもんぱか)るという時代で、どの企業でも社会でも、コンプライアンス的に、周りにすごく気を使わないといけない時代」とし「そんな時代に財前という上昇志向の塊のような男が、仲間や友や会社を敵にしてでも戦って権力を手に入れてやろうとする姿が、どう映るのか。そこが今回やる上で大事なのかな、と思います」と今回演じる上で大切にしていたことを説明。「どす黒い人たちが山ほど出ています(笑)。人間ドラマというのは普遍的なものだと思うし、表面は(時代に合わせて)やっぱり色々とケアして作っていかなきゃいけないんですけど、大事な人間ドラマという部分はできる限り、大事に作った作品になっていると思います」と胸を張った。
岡田准一、財前五郎は「魔物がいる役」
近頃では映画への出演が続いており、テレビドラマ出演は2015年以来となる。今回演じる財前五郎は野心に溢れ、みずからの才能には絶対的な自信を持つ男。自身と、義父の悲願である“第一外科・教授”の座に向かい、なりふり構わず邁進していくが、その姿勢と傲慢とも言える性格には反感を抱いている者も少なくない…という役柄だ。「ドラマを久しぶりにやらせてもらう、ということもあり、ドサッと来た台本の量に大河ドラマを思い出しました(笑)。上り詰めて落ちる、というストーリーになっているので、前半はすごく楽しめるんですけど、後半で徐々に追い込まれていく度に、僕の精神状態もあんまり良くなくなっていき、大変でした。これまで財前役を演じられてきた方は、皆さん大変だったんだろうなと感じましたね」
「自分に自信がなかったり、何かに囚われていたりする時はセリフが言いにくくなることがあるんですけど、そういうこともありました。不安定なシーンが多いと、自分も不安定になるので、上手くいかないような気がして…」と苦労もあったようだが「歴代の方は皆、そうなんだと思います。(財前は)魔物がいる役というか。まあ良い人の役よりも断然、楽しい役ですけどね(笑)」と微笑んだ。
これまで田宮二郎や唐沢寿明ら名優たちが務めてきた財前役。どちらの作品も見たという岡田は「比べられると、ちょっとしんどいかなとは思います」としながらも「僕がやる、財前になっていると思います。なので田宮さんや唐沢さんを意識したかと言われると、していないですね」ときっぱり。「精一杯、駆け足で生ききった男の人なので、演じていて、とても楽しい役柄。やりがいはもちろんある役柄だし、自分が演じると思ってなかったから、楽しかったかな」とうなずきながら「いわゆるダークヒーローでもあるので、後輩に対して追い込んだり、横暴であったり、酷いこともするんです。すごい顔芸をやりながら、後輩の柳原を追い込むことも(笑)。コンプライアンスを大切にする今の時代にそぐわないような、我を通して上り詰めてやる、という熱さとエネルギッシュさが逆に眩しく見えてきました」と楽しそうに語った。
里見役は松山ケンイチ 共演を振り返る
また財前の終生のライバルとも言える里見を演じる松山に対しては「松山さんが、いろいろ調整してくれた感じです。松山さんが『岡田くんがこうするならこうします』みたいな感じで、僕のやることを受けて、どうするか考えてくれていたような気がします」と信頼を伺わせる場面も。現場の様子を問われると「鶴橋監督がなんか、すごく愛情を持って接してくれていたので楽しくやらせてもらいました。監督はドラマ界の伝説の方。役者に愛される方だと有名でしたが、その感じが分かりましたし出会えて良かったです」と充実した様子で振り返った。(modelpress編集部)
『白い巨塔』第一夜あらすじ
腹腔鏡手術のスペシャリストとして医学界に名を馳せる、浪速大学医学部第一外科・准教授の財前五郎(岡田准一)。逞しい体と精悍な顔つきに加え気さくな人柄は、付属大学の学生や医局員たちに慕われ、浪速大学のスター准教授として君臨していた。ある夜、浪速大学・滝村名誉教授の喜寿を祝うパーティの最中、“スペ患”である近畿新聞会長・山田音市の容態が急変。膵癌を患う山田は、執刀医に財前を指名する。本来、山田は第一外科・東貞蔵教授の“スペ患”。上司である東を差し置いて自分が執刀するわけには…と躊躇いを見せる財前だったが、心の中では期せずして舞い込んだチャンスにほくそ笑んでいた。
手術は無事成功し、財前には山田から高級ワインと数百万の現金が贈られる。財前によって自分の“スペ患”が救われたことに、表面上では平静を装いながらも、東はその事実を苦々しく受け止めているのだった…。
そんな中、浪速大学医学部では東の退官に伴う教授選挙が近づいていた。「君を次期教授に推薦しようと思う」――そう、恩着せがましく財前に囁く東だったが、その実、腹の内では財前ではない人物を、と考え始めていた。
その矢先、同期である第一内科・准教授の里見脩二から胃癌再発患者のカルテを見せられる。財前の診断では、原発巣は胃ではなく膵臓。再発は誤診断である、と指摘するが、その診断を下したのが、浪速大学医学部長の鵜飼裕次だとわかった途端、翻意する!教授選に備え、上層部に楯突くようなことは避けようとする財前を非難する里見だったが…?
やがて、東が財前以外の人物を教授選候補に擁立することが判明。財前は、義父である財前又一の財力と政治力を最大限に活かし、浪速大学医学部第一外科教授という悲願に向けてさまざまな工作を開始する。
欲望が渦巻く教授選は、思いもよらぬ展開へ…。そしてその後も、過酷な運命が財前を翻弄していくことになる!
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