モデルプレスのインタビューに応じた黒羽麻璃央 (C)モデルプレス

<黒羽麻璃央インタビュー>刀剣男士としての紅白出場と自身の今後を語る「いばらの道を歩もうかと」

2019.01.05 22:21

ミュージカル『刀剣乱舞』の三日月宗近役として、「第69回NHK紅白歌合戦」への出場を果たした俳優の黒羽麻璃央(くろば・まりお)。今最も熱い日本のポップカルチャーのひとつとして世界に広がる同作を背負い、25歳にして稀有な経験を成し遂げる若手俳優の1人と言えるだろう。2018年は地上波ドラマやバラエティー番組への露出も急増。今の人気におごることなく「ブレイクしたい!」と自問自答を続ける黒羽のさらなる野望を聞く。

  

人の夢が叶う瞬間に立ち会えたのはすごく幸せ

― 紅白出場という、役者さんとしてはなかなかない経験をされた感想からお聞かせください。

黒羽:夢のようなステージに立つことができて、とても光栄です。自分が普段聴いているアーティストさんたちのパフォーマンスをモニター越しですが近くに感じ、見ることができて、とても幸せな時間を過ごすことができました。リハーサルの段階から記者の多さ、フラッシュの多さに衝撃を受けましたね。

― 紅白からの「CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2018→2019」出演という、刺激的な年越しになったと思いますが、年越しの瞬間はどのように迎えましたか?

黒羽:刀剣男士全員で輪になって迎えました。

― 両番組の出演で、反響も大きかったのでは?

黒羽:家族や友人から本当に多数、連絡をいただきました。これまでバラエティやドラマなどTV出演自体はありましたが、2018年の最後に一番多く連絡をもらった瞬間だったと思います。

― 紅白出場決定はどんな風に知らされたんですか?

黒羽:僕らが知ったのは本当に記者会見の当日です。ちょうど「真剣乱舞祭2018」の稽古中だったんですが、「今日は別件がありますので、一度ネルケ(ネルケプランニング)に集合してください」と言われて。みんな到着すると、プロデューサーの松田(誠)さんからお言葉をいただき、「紅白が決まりました」と。その時は「ようやく」という気持ちでした。役として深く関わった上で、人の夢が叶う瞬間に立ち会えたのはすごく幸せだなと思いました。

― 2018年は音楽番組「シブヤノオト」でミュージカル『刀剣乱舞』の特番が組まれたりも。

黒羽:きっと最初は、僕らが音楽番組に出ていても異様に見えたと思います。司会の方と話していても、僕らは刀剣男士として応じるという部分は徹底しているので。そうやって最初は「これは何モノなのか」って目線で見られていたものが、トライアル公演から始まって3年以上…積み上げてきたものが実っていくのは素敵だなと感じていましたし、やっぱりちょっとキツイなって思う瞬間も多々あったんですけど、それをみんなで乗り越えて来られたのが誇らしいです。始球式(※)もそうですけど、未だかつてないことじゃないですか?信じてやってきてよかったなって思いますね。

※2018年9月、ミュージカル『刀剣乱舞』×ジャイアンツコラボナイターにて始球式を実施。

― 音楽番組や始球式のように、ある意味アウェイな場所に出ていくことも2018年はすごく増えたと思うんですが、そういう場で特に意識することはあるんでしょうか。

黒羽:やっぱり貫き通すってことですね。一度見てもらえれば「どこかで見たことある」とも思ってもらえるでしょうし。そのアウェイすらも楽しめるというか。今のところ、僕としては始球式が歴代No.1の緊張でした!野球少年だった僕の個人的な感情も入っていたので。

― 嬉しかったですか?

黒羽:めちゃくちゃ嬉しかったです!東京ドームの関係者入り口から入るだけでも。ドラフトかからなかったけど(笑)。

― (笑)。紅白を機に初めてミュージカル『刀剣乱舞』に触れた方に、黒羽さんから魅力を伝えるとしたら、どんな言葉で表現しますか?

黒羽:日本人ってそもそも、本能的な部分に“刀剣”というものが組み込まれている気がするんですよね。自分の奥底に眠る“侍魂”みたいな本能を、『刀剣乱舞』に触れることで、呼び起こしている気がして。小さい頃に戦いごっこをしたりするのは海外の方も同じだと思うので、憧れみたいなものを感じ取ってもらえるんじゃないかと。

何より、作り手が本気だということ。演出家、脚本家、振付の先生や、音楽監督、殺陣師などスタッフの方々も、本気でこの作品をよくしようと一丸となっているからこそ、若い俳優さんが出てきてちょっと歌ったり踊ったりを習ってお披露目します…では示しがつかないところまで来ている。そこの本気度が結果に結びついているのかなと思います。

― そういった熱量が“19振りでの初陣”である紅白の一夜に集結したわけですね。

黒羽:今後もミュージカル『刀剣乱舞』だけじゃなく、ゲームやアニメ原作の2.5次元作品たちが、紅白に出ることが常連になるかもしれない。そういう歴史を作れるかというのは、やっぱり僕らに託されているような気がしました。

― ミュージカル『刀剣乱舞』としてこの先、どんなことが実現できると思いますか?

黒羽:なんでしょうね…なんか「どこまで行っちゃうんだろう?」ってすごく思います。終わりがないというか、毎年毎年、ビッグサプライズ的な出来事があるので。このミュージカル『刀剣乱舞』というコンテンツがどこまで行くのか未知数というか、恐ろしい(笑)。

― ひとつの役を長く演じる中での変化はありますか?

黒羽:はい。長い時間を費やせば費やすほど、役のことを深く考えるし、三日月に関しては自分の中にスイッチが出来たというか。ボタンひとつで、憑依できるような感覚があります。最近は「菊丸(※)やってたんだ?!」って驚かれることが多くて。そうやって役によって意外性を与えられるのが嬉しいですね。

※ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズン・青学(せいがく)7代目 菊丸英二役

― 過去の作品を見返したりしますか?

黒羽:あまり見返さないです。たまに棚に並んだDVDボックスを見て「こんなにやってきたんだな」って思うことはあるんですけど、自分の中で「…うん」って納得して、また元に戻す(笑)。見たらソワソワしちゃうっていうのがわかっているので、今はまだ。30歳ぐらいで全部見返してみたら面白いかな(笑)。

― 役のスイッチが入る瞬間ってどんな感じなんでしょうか。

黒羽:衣裳とかはもちろんそうなんですけど、稽古場でもスイッチは入るので、完全に感覚というか…頭の中でフワーッと服を着るような感覚?“まとっている”みたいな。

黒羽麻璃央、今後も映像と舞台を両立「いばらの道を歩む」

ふわふわのラグに寝転がり「これ欲しい~!」と黒羽さん(C)モデルプレス
― そんな紅白で締めくくった2018年ですが、どんな1年でしたか?

黒羽:何をしたか思い出せないくらい怒涛でした(笑)。すごくいいことも悪いこともあって、自分の限界値を知れたというか。これ以上やったら壊れるなとか、おかしくなっちゃうなっていうのがわかって。

― 体力的な部分で?

黒羽:体力的なものもそうですけど、例えば稽古に取り組むペース配分だったり、時間をうまく使える方法を見つけられました。自分がベストな状態で仕事に臨むにはどうしたらいいのかが明確にわかったんです。きっと2019年も追われることが多いと思うので、学んだことをうまく使えたらなと思います。

― 2018年、特に印象的だった出来事は?

黒羽:一番覚えているのはやっぱり始球式なんですよね。終わった瞬間に緊張の糸がプツンと切れて、涙が出そうになったんです。今まで経験したことのない現象でした。東京ドームに立つのは子どもの頃からの夢でもあったんです。夜ご飯を食べながらテレビの野球中継で見ていた、あのマウンドに立てるというのは…!

― あの衣裳での見事な投球が話題になりましたよね。

黒羽:野球は5年間やっていて、野球関係の仕事に就きたいと思うくらい大好きでした。それは怪我をして、志半ばで諦めてしまって。体育教師になろうかな?って考えた時もあったんですけど、芸能界に入るチャンスがあったので、こっちの道に来たら…始球式できました(笑)。

― 色んなルートで夢は叶うものですね…!

黒羽:未だかつてないですよね。東京ドームであの衣裳着て!ミュージカル『刀剣乱舞』っていう刺繍の入ったグローブも作ってもらったんです。打ち上げかなにかで、松田さんに提案しました。「絶対あったらカッコイイと思います」と。野球中継をずっと見てきたから大体わかるんですけど、「絶対に(グローブの)ここ映るから、ここに刀剣乱舞のマークあったらめちゃめちゃカッコイイと思いますよ!(熱弁)」って。そしたら大急ぎで作ってくださって。そのグローブは今展示されているんですけど、ほしいですね。買い取ろうかな(笑)。

― 黒羽さんの手に戻ってくることを願います(笑)。2019年の抱負をお聞かせください。

黒羽:活動の幅を広げつつ、明確なものを出していきたいです。ドラマ何本、舞台何本とか、具体的な数字で出していけたら。まだ決まってないんですけど。それと、時の人でもいいから、まずはヒットしたい。“ブレイク俳優”と呼ばれたいですね。それは毎年狙っているところです。僕と同じ世代の俳優さんが第一線でブレイクされているのを見ると、「彼らが持っていて、僕が持っていないものは何だろう?」とすごく思うんです。そこを突き詰めていきたいですね。

(C)オトクニ/libre2018 (C)「広告会社、男子寮のおかずくん」製作委員会
― 1月からは“料理男子コミック”を実写化した連ドラ初主演作『広告会社、男子寮のおかずくん』が始まります。同じくミュージカル『刀剣乱舞』の崎山つばささんとのご共演で。

黒羽:そうなんですよ。仲良しこよし。僕、途中まで自分が連ドラ初主演だっていうことに気づいてなくて(笑)。それくらいリラックスしていました。昨年の9月に一ヶ月くらいで撮ったんですけど、怒涛の日々。めちゃめちゃ時間に追われていましたね。「ヤバイヤバイ、明日30シーンも撮るの?」みたいな。

― 膨大なセリフ量を!

黒羽:もう必死ですよ。会話劇だったので、ちょっとした空き時間でもみんなでセリフ合わせをして。

― 毎週金曜に晩ごはんを持ち寄る“ハナキン持ち寄り会”のお話ですが、見どころポイントを教えてください。

黒羽:料理に関して言うと、プロの人が作っていないリアル感があります。本当に営業マンの男の子が家に帰って、サクッと作れちゃうようなご飯をみんなで作る。こういう先輩や友達がいたらいいなとすごく思いました。

― お料理は実際に作ったんですか?

黒羽:はい。お料理教室にも行きました。普段は全く料理しないので…。父親が料理人だったので、DNAを引き継いでいるかなって思ったんですけど、案外そうでもなくて、料理教室で出鼻をくじかれました(笑)。ヤバイなと思ったんですけど、本番に強い男だったので(笑)、すごく難しいオムライスも一発OKでした!

― そして2月にはミュージカル『ロミオ&ジュリエット』、4月には舞台『黒子のバスケ』が控えていますが、映像と舞台はこれからも両立されますか?

黒羽:そうですね。僕は本当にその時によってやりたいことが違ったりするので、いいバランスでやれたらいいかな。それが一番難しいんですけどね。どちらかに絞ったほうが絶対に楽なんですけど、これからもいばらの道を歩もうかと(笑)。

― 2017年にインタビューさせていただいた時、ロミジュリをやりたいとおっしゃっていて。決まっていたんですか?

黒羽:いや、決まってないです。有言実行タイプ(笑)。自分で言うのもあれですけど、その力を持っているほうだと思います。やりたいことは口に出せば叶う。広いようで狭い業界なので、誰かしらが見たり聞いたりしてくれているんですよね。

― バラエティー番組にはこれからも積極的にご出演されますか?

黒羽:はい!今年もたくさん出たいです。テレビが大好きなので。ドキドキワクワクできるお仕事がすごく楽しいですね。自分に存在価値があるんだ、必要とされているんだと実感できて、「生きてるわ~!」って思います。

― 最後に、それぞれの夢や目標に向かって頑張っているモデルプレス読者に向けて、前向きになれるアドバイスやメッセージをいただけますか。

黒羽:「人生山あり谷あり byまりお」(笑)。でも本当にそうだと思います。キツイこともあるし、楽しいこともある。キツイことのほうがどうしても記憶に残りやすいんですけど、腹八分目でがんばりましょう。最近好きな言葉なんです、「腹八分目」。何事も腹八分目くらいがちょうどいい。次への欲求が出てくるから。今の僕のモードは、腹八分目スタイルです!

(modelpress編集部)

ミュージカル『刀剣乱舞』

人気ゲーム「刀剣乱舞-ONLINE-」(DMM GAMES/Nitroplus)を原案とした初のメディアミックスとして、2015年より続くミュージカル作品シリーズ。公式略称は「刀ミュ」。1部のミュージカルでは歴史上の戦場を舞台に刀剣男士が激しく闘う重厚な歴史ドラマを描き、2部では一変して、オリジナルの衣裳を纏った刀剣男士が煌びやかなライブを繰り広げるという独自の構成が多くの観客に愛されている。2018年11月~12月に開催した「真剣乱舞祭2018」は、国内5都市で13公演を行い、公演数・会場規模ともに過去最大を記録。2019年1月~3月にミュージカル『刀剣乱舞』 ~三百年の子守唄~を上演。

黒羽麻璃央(くろば・まりお)プロフィール

モデルプレスのインタビューに応じた黒羽麻璃央(C)モデルプレス
1993年7月6日生まれ。宮城県出身。身長180cm。第23回 JUNON SUPERBOY CONTEST にて準グランプリを受賞。ミュージカル『テニスの王子様 2nd』では青学・菊丸英二役、ミュージカル『刀剣乱舞』では三日月宗近役として活躍。ミュージカルのみならず、映画『アヤメくんののんびり肉食日誌』(2017/芝崎弘記監督)、テレビドラマ『監獄のお姫さま』(2017)、『プリティが多すぎる』(2018)レイ役で出演。またバラエティー番組でも活躍中。2019年はドラマ『広告会社、男子寮のおかずくん』が1月15日よりテレビ神奈川ほかにて放送、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(2~4月、東京国際フォーラムほか)、舞台「『黒子のバスケ』ULTIMATE-BLAZE」(4月~5月、大阪・愛知・東京・福岡)が控える。
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