<女子アナの“素”っぴん/鈴木唯アナ>1番辛かったこと、仕事のポリシー、沢山悩んだ就活【「フジテレビ×モデルプレス」女性アナウンサー連載】
2018.09.16 17:00
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「フジテレビ×モデルプレス」女性アナウンサー連載『女子アナの“素”っぴん』―――― Vol.21~22は2016年入社の鈴木唯(すずきゆい・24)アナウンサー。
「才色兼備」と呼ばれる彼女たちも1人の女性。テレビ画面から離れたところでは、失敗して泣いていたり、悔しくて眠れなかったり、自分の居場所に悩んでいたり…。それでも気持ちを落ち着かせて、どうしたら視聴者に楽しんでもらえるのか、不快感を与えないのか、きちんと物事を伝えられるのか、そんなことを考えながら必死に努力をしている。本連載ではテレビには映らない女性アナの“素”(=等身大の姿)を2本のインタビューで見せていく。前編はこれまでのアナウンサー人生を振り返りながらターニングポイントに迫るもの、後編は彼女たちが大切にする「5つの法則」をメイク・ファッション・体調管理といったキーワードから問う。
――――永尾亜子アナの後を引き継ぎ、11人目に登場するのは鈴木アナ。※後編(Vol.22)は10月1日に配信予定。
鈴木アナ:「めざましテレビ」のエンタメコーナーのリポーターを1年目の10月から担当することになったのですが、出演2回目にテレビでもご活躍されている女優さんにインタビューをさせて頂く機会があったんです。とても緊張していたのですが、取材が終わりディレクターに「今のインタビューはどうでしたか?」と聞いたら、「全然駄目」と言われて…。まさかそう言われると思っていなかったので「えっ!1つもですか?」と返したら「1つも。何も良くなかった」とさらに言われてしまって。ショックでしたね。新人でもアナウンサーはアナウンサーとして見られているんだ、経歴は関係なく求められていることがあるんだ、と強く感じました。
― どこが悪い所だったんでしょうか?
鈴木アナ:2回目なのでインタビューの方法も分からず、用意された質問を一生懸命覚えて一言一句そのまま相手に聞いていく感じで、相手から面白い言葉が返ってきても、深掘りせずにスルーしてしまったんです。それが良くなくて。自分に経験や知識がないので、その通りにやることが正解だと思い込みすぎていたんだと思います。でも徐々に自分の聞きたいことも聞けるようになって、自分の色を出して良いんだ、と思ってからは、楽しくなりました。
― やはり落ち込みましたか?
鈴木アナ:「全然駄目」と言われた後は、毎週エンタメのロケに行くのがすごく嫌で、習い事に行きたくない小学生のような気持ちでした(笑)。緊張するし、上手く聞けなかったら嫌だな…という感じで。でもある時から普通に気負わず、ただ相手との会話を楽しめば良いんだと気づいて、1番楽しい仕事になりました。
― 落ち込んだ時はどうやってポジティブな気持ちに持っていきますか?
鈴木アナ:寝る(笑)。もちろん失敗は忘れちゃいけないし、忘れられないんですけど、寝たら「そういうこともあるよね」と気持ちがリセットされます。
鈴木アナ:私はスタジオにいるよりも、インタビュー取材の仕事が多く、初対面の方とのインタビューが多いので、できる限り相手に心を開いてもらえるような準備を心がけています。
― 具体的にどのようなことをするんですか?
鈴木アナ:ワールドカップや平昌オリンピックに行く前、私はただひたすらネットで情報収集をしていたんです。でもある時先輩に「鈴木に必要なのは実況するわけではないから、そういう専門的な知識じゃない。視聴者が知りたい情報をその同じレベルで聞き出すことだよ」と言われたんです。そこでハッとして。それ以降、ただただ調べ物としての知識を集めるんじゃなくて、例えば取材がない時も選手の元に足を運んで「今度ワールドカップに行くので、よろしくお願いします」と挨拶だけでもして、顔を覚えてもらう、というような準備もするようになりました。相手も「あ、この人知ってるな」と思って、少しは話しやすくなりそうだと思ったんです。
― 取材前にも現場に行くんですね。
鈴木アナ:そうですね。やっぱり見ないで調べたものと、実際に足を運んで聞いたものって全前違うと思うんです。
― その先輩の言葉が大きかったわけですね。それ以外にも心に残っている言葉や大事にしている言葉はありますか?
鈴木アナ:言葉ではないですが、1番困った時に頂いたアドバイスは今も大事にしています。平昌オリンピックに行った時、ある選手のインタビューを担当したのですが、その方が思うような結果が出なくて、泣き出してしまったんです。本当に喋れないレベルで号泣していて。私はその時、何を聞けばいいのか、どういう聞き方をすればいいのか分からなくなってしまったんです。それで帰国後、先輩の中村光宏アナに相談したら「普通『悔しいですよね』と聞くことが多いと思うけど、そしたらもっと選手は追い込まれた気持ちになってしまうかもしれない。少し目線を変えて『家族も応援してくれましたね』とかポジティブな方向にしてみると、少しは話しやすくなるんじゃないのかな」と教えてくれて。そういう風に視点を変えるということは、どんな仕事をする上でも大事なんだな、と思いました。
中村アナはこの前のサッカー、ジャカルタ・アジア大会で日本が決勝で敗れて銀メダルになった時も、「惜しい」とは言わず「一試合一試合、チームとして、どんどん良くなっていって、皆で勝ち取った銀メダルですね」と伝えていたんです。「惜しかった」じゃなくて「勝ち取った銀メダル」と言える目線はすごいな、と改めて尊敬しました。
― ではこれまでの中で「これはファインプレーだったな」と感じられるお仕事はありましたか?
鈴木アナ:「めざまし」でカンヌ映画祭に取材に行った時のことです。その取材では、レポートやインタビューを通してしっかり情報を伝えられるよう努力をしたんです。「一般視聴者だったら、こういう所が気になるのかな?」「こんなことは知らなかったな」ということを伝えるようにしました。インタビューも、せっかく行ったし緊張しないで楽しもう、と素の自分で向かったら、褒めていただけたんです。
実は同年1月に、ゴールデングローブ賞の取材に行ったのですが、駄目駄目で、帰ってきたら色々な人に本当にすごく酷評されたんです(苦笑い)。その時は授賞式の中まで初めて入れることになったのですが、ハリウッドスターが集結ということで、スターに2ショット写真をお願いしてどれだけ撮ってこられるかという裏テーマがあって。でも私とディレクターはそっちがメインになってしまい、全然レポートできなかったんです。それで日本に帰ってきたら「何あれ?何の情報も入ってないし、リポートも何もない。これじゃあ何も分からない」と色々な方からお叱りを受けました。その経験があったので、5月に取材に向かったカンヌ映画祭では「アナウンサーの仕事は伝えること」としっかり意識してレポートできたんだと思います。
鈴木アナ:自分の言葉に自信が持てないことです。学校でも自分から挙手できないようなタイプだったので、元々の性格もあるかと思うんですが、どうしても「まだ3年目だし、自分より詳しい人が沢山いる中で、自分の薄っぺらい感想を言って良いのかな」と思ってしまって。でもそれを克服するには勉強しかないと思うので頑張ります。
― 入社当時に希望していたスポーツのお仕事を担当してオリンピックやワールドカップにも抜擢されて、すごく順風満帆にキャリアを重ねているように思います。
鈴木アナ:そうですね。まさか自分ができるとは思っていなかったお仕事までやらせてもらえていると思います。でも、自分が全然まだできないのは分かっているのに、やらせてもらえているという状況には不安もあります。「私なんかで大丈夫なのかな?」と思ってしまうんです。それに東京オリンピックにも携わりたいのですが、平昌オリンピックやワールドカップに行かせてもらって、その大変さを知った分、気軽に言えなくなってしまいました。どれだけ準備をして、どれだけ努力しなきゃいけないのかがよく分かったので、その責任の重さに気軽に手を挙げられなくなりました。
鈴木アナ:アナウンサーというか、テレビがすごく好きだったので、テレビ局に入りたかったんです。むしろ人前に出ることは嫌でした。でも周りに勧められて、流されるタイプなので「そっか。向いてるかも」と受けたんです。自分も落ちると思っていましたし、落ちたら周りに「ほら落ちたでしょ?」と言って諦めてもらえると思って(笑)。でも、運良く内定をいただけて、そこから本当に働けるかな、と沢山悩んだんですが、この道を選ぶことにしました。
― 就活の時に意識していたことはありましたか?
鈴木アナ:楽しむことだと思います。原稿を読む練習も沢山したんです。それでも「やっぱり駄目だな」と思うぐらい下手で…(苦笑い)。もちろん試験本番も下手過ぎて、原稿読みの時には面接官から再チャレンジを提案されるほどでした(笑)。それでもアナウンサーになれたので、きっとスキルが求められているわけではないんだろうな、と今は感じています。でもアナウンサーの就活は本当に楽しかったんですよね。緊張して、アピールして、こういうこと言わなきゃ、みたいな気持ちで切羽詰まっていたわけではなく、友達と話す感じで笑いながら、面接が終わったので、そういう楽しんだ雰囲気も伝わったのかもしれないです。
― アナウンサーを目指す方にアドバイスを送るとしたら、どんなことがありますか?
鈴木アナ:本当に好きなら、それを示すこと。時々、採用試験の手伝いなどで、アナウンサーを目指す学生さんとお話する機会があるんですが「フジテレビが大好きなんです」と言っていただくことが多くて。でも、嬉しいな、と思って「何が好きなの?」「どこが好きなの?」と話を広げようとすると、答えられないことがあるんです。そういう時、嬉しいと思った分、がっかりしちゃって。なので本当に好きなら、上辺だけじゃなくてちゃんと見せて欲しいと思います。
鈴木アナ:はい。倖田來未さんもカバーした「め組のひと」を「め組のひと ~お台場ワンガン娘ver.~」として披露させて頂きました。でも私は、ダンスが下手過ぎて…(苦笑い)。ダンスも歌も上手くない人間が、a-nationという大きな舞台に立って本当に良いのかな、と恐縮してしまいました。大変でしたが、皆で一丸となって取り組んで練習して、楽しかったです。
でも、とにかくダンスが下手で…。こんなに下手だと思っていなかったので、自分でもどうすれば良いのか分からず同期に聞いて教えてもらうんですけど、やっぱりできないんですよね(苦笑い)。運動神経は悪くないんですけど、リズム感なのでしょうか?学生時代から体育の授業でダンスがある時だけ、成績が下がっていました。
― (笑)。歌はどうですか?
鈴木:歌もダメなんですよ。恥ずかしい。
― a-nationでは緊張しましたか?
鈴木アナ:いえ、自分の中で1番楽しいイベントでした。前日、味の素スタジアムにリハーサルのために行ったのですが、「お~!ついに味スタに来たな」という感じで、サッカーの試合でしか行ったことがない所ですし、自分の中では楽しんでいました。本番も「大きな舞台でやるのも良いな」と呑気に思っていたのですが、周りの人からは「全然顔が笑ってなかった」と言われました(笑)。でも素敵な夏の思い出ができたと思います。
― 夏が終わり、20日からは世界柔道が始まりますね。「S-PARK」でリポーターを務める鈴木さんの見どころや注目の選手を教えて下さい。
鈴木アナ:注目は、兄妹で出ている阿部一二三(ひふみ)選手と妹の詩(うた)選手です。兄妹で世界選手権に出て、メダル獲得を狙っているってすごいですよね。一二三選手は7月のグランプリ・ザグレブ大会(クロアチア)で敗れ、2015年10月からの国際大会連勝記録がストップしてしまったんですけど、その時に「(世界柔道まで)2ヶ月ある。まだまだ強くなれる」と言っていたのが印象的でした。東京オリンピックの前に世界柔道で兄妹そろって金メダルに輝くことを期待しています。
鈴木アナ:難しいですね…でも、後悔をしないことが1番だと思うので、迷っているのなら一歩踏み出して何かやってみるのが良いと思います。
私は消極的で「無理だからいいよ」と、すぐに諦めちゃうタイプなんです。アナウンサーも最初は敬遠して、受かってからも「やっぱり辞めようかな」と本気で悩みました。それでもやってみたら、まだまだ足りない所はいっぱいありますが、すごく楽しいことばかりで、こんな良い職業に就いたんだな、と思う日々です。なので、自分からチャンスを潰さないで、何でも良いから一歩を踏み出してみることが大事だと思います。
― ありがとうございます。
※後編は9月1日(土)配信予定。鈴木アナが大切にする「5つの法則」を語る。
14:30~21:30 練習や試合、会見を取材
22:00 出社
22:15~22:45 衣装着替え・メイク
22:45 スポーツ局にて打ち合わせ、読み合わせ
24:10~24:55 プライムニュースα生放送
24:55~25:05 報道センターにて番組全体の反省会
25:05~25:20 スポーツ局にてスポーツだけの反省会
25:45 退社
(modelpress編集部)
<担当番組>
FNN プライムニュース α スポーツ(金)
S-PARK(土)
めざましテレビ(火・水)
――――永尾亜子アナの後を引き継ぎ、11人目に登場するのは鈴木アナ。※後編(Vol.22)は10月1日に配信予定。
主にスポーツ番組と情報番組で活躍
鈴木アナは2016年4月にフジテレビ入社。英語が堪能で趣味は野球観戦。入社後は主にスポーツ番組や情報番組を担当する。現在は「FNN プライムニュース α」と「S-PARK」でスポーツキャスター、「めざましテレビ」でエンタメキャスターを務める。鈴木唯アナ、辛かった仕事が「1番楽しい仕事」に
― アナウンサーになって1番辛かったことから教えて下さい。鈴木アナ:「めざましテレビ」のエンタメコーナーのリポーターを1年目の10月から担当することになったのですが、出演2回目にテレビでもご活躍されている女優さんにインタビューをさせて頂く機会があったんです。とても緊張していたのですが、取材が終わりディレクターに「今のインタビューはどうでしたか?」と聞いたら、「全然駄目」と言われて…。まさかそう言われると思っていなかったので「えっ!1つもですか?」と返したら「1つも。何も良くなかった」とさらに言われてしまって。ショックでしたね。新人でもアナウンサーはアナウンサーとして見られているんだ、経歴は関係なく求められていることがあるんだ、と強く感じました。
― どこが悪い所だったんでしょうか?
鈴木アナ:2回目なのでインタビューの方法も分からず、用意された質問を一生懸命覚えて一言一句そのまま相手に聞いていく感じで、相手から面白い言葉が返ってきても、深掘りせずにスルーしてしまったんです。それが良くなくて。自分に経験や知識がないので、その通りにやることが正解だと思い込みすぎていたんだと思います。でも徐々に自分の聞きたいことも聞けるようになって、自分の色を出して良いんだ、と思ってからは、楽しくなりました。
― やはり落ち込みましたか?
鈴木アナ:「全然駄目」と言われた後は、毎週エンタメのロケに行くのがすごく嫌で、習い事に行きたくない小学生のような気持ちでした(笑)。緊張するし、上手く聞けなかったら嫌だな…という感じで。でもある時から普通に気負わず、ただ相手との会話を楽しめば良いんだと気づいて、1番楽しい仕事になりました。
― 落ち込んだ時はどうやってポジティブな気持ちに持っていきますか?
鈴木アナ:寝る(笑)。もちろん失敗は忘れちゃいけないし、忘れられないんですけど、寝たら「そういうこともあるよね」と気持ちがリセットされます。
鈴木唯アナ、仕事のポリシー
― お仕事のこだわりを教えて下さい。鈴木アナ:私はスタジオにいるよりも、インタビュー取材の仕事が多く、初対面の方とのインタビューが多いので、できる限り相手に心を開いてもらえるような準備を心がけています。
― 具体的にどのようなことをするんですか?
鈴木アナ:ワールドカップや平昌オリンピックに行く前、私はただひたすらネットで情報収集をしていたんです。でもある時先輩に「鈴木に必要なのは実況するわけではないから、そういう専門的な知識じゃない。視聴者が知りたい情報をその同じレベルで聞き出すことだよ」と言われたんです。そこでハッとして。それ以降、ただただ調べ物としての知識を集めるんじゃなくて、例えば取材がない時も選手の元に足を運んで「今度ワールドカップに行くので、よろしくお願いします」と挨拶だけでもして、顔を覚えてもらう、というような準備もするようになりました。相手も「あ、この人知ってるな」と思って、少しは話しやすくなりそうだと思ったんです。
― 取材前にも現場に行くんですね。
鈴木アナ:そうですね。やっぱり見ないで調べたものと、実際に足を運んで聞いたものって全前違うと思うんです。
― その先輩の言葉が大きかったわけですね。それ以外にも心に残っている言葉や大事にしている言葉はありますか?
鈴木アナ:言葉ではないですが、1番困った時に頂いたアドバイスは今も大事にしています。平昌オリンピックに行った時、ある選手のインタビューを担当したのですが、その方が思うような結果が出なくて、泣き出してしまったんです。本当に喋れないレベルで号泣していて。私はその時、何を聞けばいいのか、どういう聞き方をすればいいのか分からなくなってしまったんです。それで帰国後、先輩の中村光宏アナに相談したら「普通『悔しいですよね』と聞くことが多いと思うけど、そしたらもっと選手は追い込まれた気持ちになってしまうかもしれない。少し目線を変えて『家族も応援してくれましたね』とかポジティブな方向にしてみると、少しは話しやすくなるんじゃないのかな」と教えてくれて。そういう風に視点を変えるということは、どんな仕事をする上でも大事なんだな、と思いました。
中村アナはこの前のサッカー、ジャカルタ・アジア大会で日本が決勝で敗れて銀メダルになった時も、「惜しい」とは言わず「一試合一試合、チームとして、どんどん良くなっていって、皆で勝ち取った銀メダルですね」と伝えていたんです。「惜しかった」じゃなくて「勝ち取った銀メダル」と言える目線はすごいな、と改めて尊敬しました。
― ではこれまでの中で「これはファインプレーだったな」と感じられるお仕事はありましたか?
鈴木アナ:「めざまし」でカンヌ映画祭に取材に行った時のことです。その取材では、レポートやインタビューを通してしっかり情報を伝えられるよう努力をしたんです。「一般視聴者だったら、こういう所が気になるのかな?」「こんなことは知らなかったな」ということを伝えるようにしました。インタビューも、せっかく行ったし緊張しないで楽しもう、と素の自分で向かったら、褒めていただけたんです。
実は同年1月に、ゴールデングローブ賞の取材に行ったのですが、駄目駄目で、帰ってきたら色々な人に本当にすごく酷評されたんです(苦笑い)。その時は授賞式の中まで初めて入れることになったのですが、ハリウッドスターが集結ということで、スターに2ショット写真をお願いしてどれだけ撮ってこられるかという裏テーマがあって。でも私とディレクターはそっちがメインになってしまい、全然レポートできなかったんです。それで日本に帰ってきたら「何あれ?何の情報も入ってないし、リポートも何もない。これじゃあ何も分からない」と色々な方からお叱りを受けました。その経験があったので、5月に取材に向かったカンヌ映画祭では「アナウンサーの仕事は伝えること」としっかり意識してレポートできたんだと思います。
鈴木唯アナ、今の悩みは?
― 失敗を糧にしたわけですね。そんな鈴木さんが今抱える悩みは何ですか?鈴木アナ:自分の言葉に自信が持てないことです。学校でも自分から挙手できないようなタイプだったので、元々の性格もあるかと思うんですが、どうしても「まだ3年目だし、自分より詳しい人が沢山いる中で、自分の薄っぺらい感想を言って良いのかな」と思ってしまって。でもそれを克服するには勉強しかないと思うので頑張ります。
― 入社当時に希望していたスポーツのお仕事を担当してオリンピックやワールドカップにも抜擢されて、すごく順風満帆にキャリアを重ねているように思います。
鈴木アナ:そうですね。まさか自分ができるとは思っていなかったお仕事までやらせてもらえていると思います。でも、自分が全然まだできないのは分かっているのに、やらせてもらえているという状況には不安もあります。「私なんかで大丈夫なのかな?」と思ってしまうんです。それに東京オリンピックにも携わりたいのですが、平昌オリンピックやワールドカップに行かせてもらって、その大変さを知った分、気軽に言えなくなってしまいました。どれだけ準備をして、どれだけ努力しなきゃいけないのかがよく分かったので、その責任の重さに気軽に手を挙げられなくなりました。
鈴木唯アナ、悩んで進んだアナウンサーの道
― 鈴木さんは元々アナウンサーになりたかったんですか?鈴木アナ:アナウンサーというか、テレビがすごく好きだったので、テレビ局に入りたかったんです。むしろ人前に出ることは嫌でした。でも周りに勧められて、流されるタイプなので「そっか。向いてるかも」と受けたんです。自分も落ちると思っていましたし、落ちたら周りに「ほら落ちたでしょ?」と言って諦めてもらえると思って(笑)。でも、運良く内定をいただけて、そこから本当に働けるかな、と沢山悩んだんですが、この道を選ぶことにしました。
― 就活の時に意識していたことはありましたか?
鈴木アナ:楽しむことだと思います。原稿を読む練習も沢山したんです。それでも「やっぱり駄目だな」と思うぐらい下手で…(苦笑い)。もちろん試験本番も下手過ぎて、原稿読みの時には面接官から再チャレンジを提案されるほどでした(笑)。それでもアナウンサーになれたので、きっとスキルが求められているわけではないんだろうな、と今は感じています。でもアナウンサーの就活は本当に楽しかったんですよね。緊張して、アピールして、こういうこと言わなきゃ、みたいな気持ちで切羽詰まっていたわけではなく、友達と話す感じで笑いながら、面接が終わったので、そういう楽しんだ雰囲気も伝わったのかもしれないです。
― アナウンサーを目指す方にアドバイスを送るとしたら、どんなことがありますか?
鈴木アナ:本当に好きなら、それを示すこと。時々、採用試験の手伝いなどで、アナウンサーを目指す学生さんとお話する機会があるんですが「フジテレビが大好きなんです」と言っていただくことが多くて。でも、嬉しいな、と思って「何が好きなの?」「どこが好きなの?」と話を広げようとすると、答えられないことがあるんです。そういう時、嬉しいと思った分、がっかりしちゃって。なので本当に好きなら、上辺だけじゃなくてちゃんと見せて欲しいと思います。
「お台場ワンガン娘」でa-nationに出演
― 今年の夏には、イベント「ようこそ!! ワンガン夏祭り THE ODAIBA 2018」PRのために結成された「お台場ワンガン娘‘18」として国内最大級の夏フェス「a-nation 2018」東京公演最終日にも出演しましたね。鈴木アナ:はい。倖田來未さんもカバーした「め組のひと」を「め組のひと ~お台場ワンガン娘ver.~」として披露させて頂きました。でも私は、ダンスが下手過ぎて…(苦笑い)。ダンスも歌も上手くない人間が、a-nationという大きな舞台に立って本当に良いのかな、と恐縮してしまいました。大変でしたが、皆で一丸となって取り組んで練習して、楽しかったです。
でも、とにかくダンスが下手で…。こんなに下手だと思っていなかったので、自分でもどうすれば良いのか分からず同期に聞いて教えてもらうんですけど、やっぱりできないんですよね(苦笑い)。運動神経は悪くないんですけど、リズム感なのでしょうか?学生時代から体育の授業でダンスがある時だけ、成績が下がっていました。
― (笑)。歌はどうですか?
鈴木:歌もダメなんですよ。恥ずかしい。
― a-nationでは緊張しましたか?
鈴木アナ:いえ、自分の中で1番楽しいイベントでした。前日、味の素スタジアムにリハーサルのために行ったのですが、「お~!ついに味スタに来たな」という感じで、サッカーの試合でしか行ったことがない所ですし、自分の中では楽しんでいました。本番も「大きな舞台でやるのも良いな」と呑気に思っていたのですが、周りの人からは「全然顔が笑ってなかった」と言われました(笑)。でも素敵な夏の思い出ができたと思います。
― 夏が終わり、20日からは世界柔道が始まりますね。「S-PARK」でリポーターを務める鈴木さんの見どころや注目の選手を教えて下さい。
鈴木アナ:注目は、兄妹で出ている阿部一二三(ひふみ)選手と妹の詩(うた)選手です。兄妹で世界選手権に出て、メダル獲得を狙っているってすごいですよね。一二三選手は7月のグランプリ・ザグレブ大会(クロアチア)で敗れ、2015年10月からの国際大会連勝記録がストップしてしまったんですけど、その時に「(世界柔道まで)2ヶ月ある。まだまだ強くなれる」と言っていたのが印象的でした。東京オリンピックの前に世界柔道で兄妹そろって金メダルに輝くことを期待しています。
鈴木唯アナ、夢を叶える秘訣
― では最後の質問になります。モデルプレス読者には夢を叶えたいと頑張っている女性が沢山います。これまで様々な経験をしてきた鈴木さんが思う“夢を叶える秘訣”は何でしょうか?鈴木アナ:難しいですね…でも、後悔をしないことが1番だと思うので、迷っているのなら一歩踏み出して何かやってみるのが良いと思います。
私は消極的で「無理だからいいよ」と、すぐに諦めちゃうタイプなんです。アナウンサーも最初は敬遠して、受かってからも「やっぱり辞めようかな」と本気で悩みました。それでもやってみたら、まだまだ足りない所はいっぱいありますが、すごく楽しいことばかりで、こんな良い職業に就いたんだな、と思う日々です。なので、自分からチャンスを潰さないで、何でも良いから一歩を踏み出してみることが大事だと思います。
― ありがとうございます。
※後編は9月1日(土)配信予定。鈴木アナが大切にする「5つの法則」を語る。
鈴木アナのとある一日
14:30 スポーツ取材先に到着14:30~21:30 練習や試合、会見を取材
22:00 出社
22:15~22:45 衣装着替え・メイク
22:45 スポーツ局にて打ち合わせ、読み合わせ
24:10~24:55 プライムニュースα生放送
24:55~25:05 報道センターにて番組全体の反省会
25:05~25:20 スポーツ局にてスポーツだけの反省会
25:45 退社
(modelpress編集部)
鈴木唯(すずき・ゆい)プロフィール
生年月日:1993年12月13日/出身地:東京都/出身大学:早稲田大学/血液型:B型/入社年:2016年<担当番組>
FNN プライムニュース α スポーツ(金)
S-PARK(土)
めざましテレビ(火・水)
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