「半分、青い。」上村海成がほかの若手俳優と“一味違う”ワケ 「テニミュ」で決断した俳優人生、その戦略は<インタビュー後編>
2018.05.14 08:00
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道端に咲く花に「あっ、お花だ」と駆け寄り、カメラにとびきり爽やかな笑顔を向ける――まさに今、連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合/月~土、あさ8時)で演じる楡野草太という役のように柔和な好青年が上村海成(かみむら・かいせい/21)。一方で、ブログやInstagramの投稿内容はどう見ても独特で…!? そんな振り幅こそが上村海成最大の魅力なのだろうと思う。幼少期から俳優を目指すことになったきっかけ、そして現在までのパーソナルに迫ったインタビュー後編。「友達からの評価は低いです」「失敗したからって、いきなり手足を引きちぎられたりしない」などなど…パワーワード多数である。
上村海成、SNSが独特…「キメ顔は10年後に見たら絶対に恥ずかしい」
― 朝ドラで上村さんのことを知った方々がSNSを見てビックリ…という流れがあるようです(笑)。上村:あはは(笑)。どうせ見られるんだったらそっちのほうがいいなと思って。10年後に自分のSNSを見た時に、10年前の自分がすごいキメ顔で自撮りとかしてたらすっごい恥ずかしくなると思ったんですよ。
― もう10年後のことを考えているんですか(笑)。
上村:それがふと頭によぎって。「絶対に恥ずかしい、無理だ!」と思いました。みんなから絶賛されるほどかっこよければ躊躇なくやったと思うんですよ。若い時のかっこいい自分を記録に残すという意味でも。でも僕は、ちょっとそれ以外のところで道を開いていかないとなと思って。
― ではSNSは割と、戦略的に作っているものというか。
上村:うーん…やりたいことをやっているという感覚のほうが大きいですね。あれが素だし、他の同世代の方であんな風にやる方は多分いらっしゃらないから面白いし。そういう意味では“戦略込みの素”という感じでしょうか。
― ただでは更新しないという気概が感じられますね。全身タイツまで用意して。
上村:あはは(笑)。わざわざ買うことはないですね。昔使って取っといたやつとか。
― 家にあること自体がすごいですね(笑)。
上村:昔、雑誌でコスプレをする企画をやって。「希望があればこちらで用意します」と言われたんですけど、僕は「いや大丈夫です」と言って、自分で用意した茶色のタイツと黄色のタイツを重ね着して。黄色のタイツに穴を開けて、茶色が見えるようにしてキリンのコスプレを披露したんですよ。その時の茶色を着たのが、お正月の犬の投稿です。
― クリエイティブがすごい。
上村:ふふふ。文化祭レベルですよ。
― 自分のことをどんな人だと思いますか?
上村:うーん…。でも普通だと思います。大したことのない人(笑)。あまり溌剌としてはいないかな、普段の自分は。大人の方と会う仕事場では好青年に見えるように振る舞うけど、親や友達には「だいぶしょぼいな」って言われます。「芸能人とは思えない」って。
― (笑)。オーラ的な話ですか?
上村:はい。中学生の時から着てるパジャマとかで家の周りをウロウロしてたりすることもあるので、「ちょっとちゃんとしたら」ってよく言われます。あまり普段から自分を意識している人間ではないかもしれないですね。
― 今大学3年生ということですが、朝ドラに出て周りの反応に変化もあったのでは?
上村:普段、花粉とか風邪予防のためにずっとマスクをしていて髪もセットしないので、多分「なんか暗いやつがいるな…」って印象なのかなと思います。まさか横に座った人が朝ドラに出ているとは思わないでしょうし(笑)。
― 芸能人オーラを消しているのですね。
上村:消してるっていうか消えてますね、自動的に。
― 周りの方からなんと言われるのが嬉しいですか?
上村:割となんでも嬉しいですね。良いのも悪いのも全部、お芝居に繋げられるなと思うので。例えば「お前本当に最低なやつだな」と言われたとしても、「僕って最低に見えやすいんだ」と思って、最低な役もやりやすくなる。とりあえず、友達からの評価は低いですね。僕の人間性については(笑)。
― イジられやすいんですね?(笑)
上村:友達がテレビに出ている僕を見ると、「全然普段と違うじゃん、違いすぎて笑ったんだけど」ってよく言われます。
― そのギャップは、役者としては嬉しいんじゃないですか?
上村:オン・オフの切り替えができているんでしょうかね。ふふふ(笑)。
一同:(笑)
「上村海成10歳、芸能人になりたいです!」その2年後に実現
― 小さい頃の夢は?上村:小学4年生の時、当時10歳で“2分の1成人式”という行事があったんですけど、夢を書かなきゃいけなくて、「芸能人」って書いたんです。
― その時から芸能界に憧れが?
上村:いや、その時に書いたのは芸能人になりたかったわけじゃなくて。僕の知っていた“仕事”のレパートリーが、サラリーマン、警察、消防、店の人、工事の人…あと芸能人。それでなんとなく「芸能人かな」って書いただけだったんです。
― 軽い気持ちで。
上村:それなのに、一人一人夢を発表しなさいと言われて。「上村海成10歳、芸能人になりたいです!」って言いました。すんごい恥ずかしかったです(笑)。
― クラスは盛り上がりましたか?
上村:静か~になりました(笑)。やんちゃグループの一員でもなかったので、スーンって感じでした。
― それで、実際にティーン誌のメンズモデルとして芸能活動をスタートさせたのは…
上村:12歳です。
― 2年後には夢を叶えていますね。
上村:ある意味そうかもしれません。とは言え、最初はお小遣い欲しさだったので。「俳優になりたい」とちゃんと思うようになったのは、本当にここ3年くらいの話ですね。
就職のために大学進学…『テニスの王子様』が転機に
― 決意が固まったきっかけは?上村:『テニスの王子様』という舞台(=『ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズン』金田一郎役)に出た時に、お芝居が楽しいなと思い始めました。それでやっとですね(笑)。それまではどちらかと言うと、普通に就職するんだろうなと思っていたので、「俳優になりたい」というのは結構ビッグな決断でした。
― 『テニスの王子様』では、どんな瞬間に演技の楽しさを見出しましたか?
上村:それまでずっと演技に苦手意識があったんです。でもそんなに身構えることでもないかなと思い始めて。その時の公演でお芝居をするのが本当に楽しかったんです。ワーッて頑張る役だったんですけど、割と入り込みやすい役だったので「お芝居やってる感覚ある!楽しい」みたいな。実際にボールを打つわけでもないのに「勝ちたい、負けたくない」とか「負けそう、ヤバイ!」みたいな感情が勝手に湧き上がってくる感じ。それで「この仕事を続けたいな」と思いました。
― 大学に進学せず、芸能活動一本という選択肢もありましたよね。
上村:就職するはずだったので。大学に入ると同時に『テニスの王子様』をやり始めた時は「あれっ?僕の人生プランと違うことが起きちゃったぞ」と思いました。「ヤバイぞ、どうする?」って、最初はすごく焦りましたね。ただ、12歳から18歳の間も仕事はすごく楽しかったんです。だから仕事自体は辞めたくなかったけど、モデルとしてはもう無理だと思ったから、就職する道を考えて。でも続けたかったんですよ、本当は。だからこうやって俳優になりたいと思えて、続けられて本当にラッキーだと思います。朝ドラに出演する機会までいただけて。
― 演技は今も楽しいですか?
上村:課題が湯水のように溢れてくるので、もちろん楽しいだけではないですが、このトンネルを抜けた先に楽しいという感情が待っているんだろうなと。
― 人生プランは結構しっかり立てるタイプだったんですね。
上村:親がその逆だったので、僕は中学・高校くらいで「勉強はしなきゃいけない」と悟り…(笑)。勉強してさえいれば可能性も広がると思ったので、大学はちゃんと行こうと思いました。
― 今、大学との両立は大変じゃないですか?
上村:いやあ…本当に(苦笑)。この仕事を続けながら大学を卒業している方って、本当にすごいなと思います。全然授業に出られないときは「ヤバイ!」って感じですけど、ちゃんと両立したいですね。
お芝居をずっと楽しく続けていきたい
― 「こんな俳優になりたい」という理想はありますか?上村:具体的なプランはそんなにないんです。色んなタイプの役をやった上で、「これが好きだな」と思ったらそっちに進んでいきたい。だから今はただ色んなことを表現できるようになりたいですね。就職しようと思っていたけど、俳優を続けることになったように、ビックリなことが色々起きるじゃないですか。だから今までは先のことを結構考えていたんですけど、何をやっても無駄になることはないから、この先どうなりたいかは決めつけずに、色々やっていこうかなと思います。ずっと楽しく続けていきたいです。お芝居をずっと好きでいたいなと思います。
― 映画やドラマではどんなジャンルの作品が好きですか?
上村:コメディーを見るのが好きです。映画は『川の底からこんにちは』という作品がすごく好きで。中学校の時、近所にできたレンタルショップでたまたま借りてみたらすごく面白くて、そこからずっと好きです。自分の中で7年くらい1位をキープしてます!何回も借りました。買ったほうが早いなと思うくらい(笑)。ドラマも色々とあるのですが『黒い十人の女』とかも好きです。去年の夏、出演されていたキャストさんと舞台で共演させていただいたので「好きです!本当に面白かった!」って何回も言いました(笑)。
― ではご自身がコメディーに出てみたいという思いも?
上村:いや…見るのはいいんですけど、コメディーって本当に難しいですよね。間とかがすごく大事じゃないですか。まだちょっと恐ろしいです。気後れしますね。
上村海成、休日は17時間爆睡 マイブームは韓国語
― お休みの日はどんな風に過ごしているんですか?上村:ふふふ…(笑)。
― どうしました?(笑)
上村:いえ、僕のつまらないプライベートの過ごし方を聞いてしまうのですか?と思って(笑)。17時間とか寝ますね。いつかオフの日を動画で撮って来てくださいと言われたらどうしようと思うくらい、何もしていないです。カーテンも閉めっぱなしで…ずっと寝てますね。
― 陽に当たらないんですね。
上村:陽の光が入ると部屋の中のものが日焼けするじゃないですか。日中、光がガンガン入ってくる部屋なのでカーテンは閉めておきます。
― お家が一番落ち着く場所なんでしょうか。
上村:はい。仕事がない日は起こしても起きないみたいです。あまりにも僕がずっと寝ていて、音もしないので親が「大丈夫なのか」と思って覗きに来たりします。心配になるらしいです。
― マイブームはありますか?
上村:この間まで物件をチェックするのが好きでした。いつか一人暮らしをする時のために、このくらいの家賃で、コンロは2つで…とか。全然予定ないんですけど(笑)。
今は、最近授業で習い始めた韓国語がマイブームです。僕は英語がとても苦手なので、何があってもハリウッドはしんどい…(笑)。そんな大きすぎる夢を考えつつ、外国語に目を向けた時、韓国は身近だし、ドラマや映画や舞台などのクオリティが高いじゃないですか。そんな理由で勉強をし始めました。それにサイトで買い物もしたりするので、文字が読めたら楽だなと思って(笑)。すごく楽しいんですよ。結構すぐに読めるようになるので、今まで勉強した何よりも楽しいかもしれないです。
― とても素敵ですね!韓国に行ったことは?
上村:ないんです。ないのにこんな盛り上がってる(笑)。
― すぐに役立ちそうですね。草太は女性にモテるタイプのようですが、上村さんはどうですか?
上村:モテないですねえ。女の人が強い家族なので、会話が割と女の人寄りみたいなんです。だから逆にスポーツの話とかについていけなくて。「その服かわいいね」というほうが話しやすかったりするので、女の人からは「海成って女友達といるのと変わんない」と言われます。そういう雰囲気になって全くモテないですね!
― 好きなタイプを教えてください。
上村:面白い人!一緒にいて楽しいだけではなくて、「この人すごい何でも知ってるなあ」と思えるような面白みも含めて。それと清潔感。最低限でいいんですよ。お風呂にちゃんと入ってるとか、帰ったら手を洗うとか、それくらいです(笑)。
上村海成、夢を叶える秘訣を語る 緊張をほぐす秘策は…
― 最後に、モデルプレスで必ずお伺いしている質問を。夢や目標に向かって頑張る女の子たちに、“夢を叶える秘訣”をアドバイスお願いします。上村:最近気づいたことなんですけど、何かする時に緊張したらよくないかもしれませんね。自分がオーディションで緊張して失敗することが何度もあったので。緊張は極力しない方がよいと思います。目の前にいる人…例えば歌手になりたい人だったらお客さん、就活している人だったら面接官がいるじゃないですか。そこで別に失敗したからって、いきなり手足を引きちぎられたりしないので。そんなに重大に考える必要はないなって思います。
― 確かに、手を引きちぎられることはないですね(笑)。お話を聞いていて、“何事も気楽に”というスタンスが見えてきました。ある意味、達観していると言いますか…
上村:今まですごく考えてしまうタイプだったんですけど、考えたって仕方ないなってことがたくさんあったので。あとは何だろう…。「好きでいること」じゃないでしょうか。夢だからという理由で苦しくなっちゃったりしたら、大変だと思います。好きだったという気持ちを思い出すことが大事なのかな。好きでい続けることと、緊張しないこと。この2つだと思います!
― 緊張しないための秘策はありますか?
上村:最近、オーディション中に気づいたんです。先程も言ったように、八つ裂きにされるわけじゃないということに(笑)。目の前に審査員の方がいて、他の参加者が立って自己紹介をしている時に、ふと「別に失敗しても、この人(=審査員)に殺されたりはしないよなぁ」と思って。そしたらスンッて冷静になれたんですよ。具体的な策というか…そうやって一回考えてみるだけでも、ちょっと落ち着くことができるので、是非やってみてください(笑)。
(modelpress編集部)
上村海成(かみむら・かいせい)プロフィール
1997年2月25日生まれ、東京都出身。2010年から雑誌『ニコ☆プチ』、2012年から2015年まで『nicola』のメンズレギュラーモデルとして活躍。『ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズン』で金田一郎役を演じ、映像作品では映画『渇き。』(2014)、映画『ちはやふる』<上の句> <下の句>(2016)、ドラマ『男水!』森親太郎役(2017)、映画『ダブルミンツ』足立役(2017)、FOD『&美少女』真鍋佑樹役(2017)などに出演した。空気公団「うつろいゆく街で」のMVが公開中。
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