綾野剛の心を動かした“口説き文句”とは?俳優デビュー14年「今までで1番苦労してる」<モデルプレスインタビュー>
2017.04.23 06:00
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俳優の綾野剛(35)が主演する日本テレビ系新日曜ドラマ「フランケンシュタインの恋」が、4月23日よる10時よりスタートする(※2話以降は10時30分スタート)。同作で綾野が演じるのは、年齢120歳、永遠の命をもつ“怪物”で、人間に恋をするという役どころ。“怪物”役を演じるのは初。そして、意外にも初めてとなる“王道ラブストーリー”に挑む。モデルプレスでは今回、綾野にインタビューを実施し、ドラマ化までの道のりや意気込みを語ってもらった。
目次
綾野剛の心を動かした“口説き文句”とは?
ドラマは、誰もが知るフランシュタインの物語を、現代の日本を舞台に置き換えたオリジナルラブストーリー。120年前に起きたある事件をきっかけに生み出された“怪物”(綾野)が、ある出来事をきかっけに人間と出会い恋に落ちていくが、人間とは触れ合うことができないという秘密があり葛藤する姿が描かれる。企画が始動したのは、1年ほど前。綾野の心を打ったのは、河野英裕プロデューサーからの「もう色んな役をやってきましたよね。そろそろ人間やめませんか?」という“口説き文句”。
「その言葉を聞いて、『いいですね』と。そこからスタートしました。その段階ではフランケンシュタインということは、全く決まっていませんでした。ただ人間ではないということが、まずコンセプトとしてあって、その次に出てきたのがラブストーリーであるということ。僕は、意外と真っ当なラブストーリーをやるのは初めてなんです。ややこしいものや、命がけのものはやってきましたが、ストレートプレイができるようなラブストーリーは望まれていないのか(笑)、やってきてないんです」。
“人間をやめた”綾野×王道ラブストーリー…枠組みが見えてきた中で、目指す先として掲げたのはジョニー・デップ主演の映画「シザーハンズ」(1990年)だったという。
「今までで1番苦労してる」
「人間じゃない時点である種王道ではないんですが、ストレートプレイのラブストーリーっていうベクトルが明確になったことで、『シザーハンズ』が上がりました。そのワードが出たことによって、フランケンシュタインという古典的な原作に、切なすぎる要素を足そうという話に行き着いたんです」。綾野を交えながら構想を膨らませ、脚本家の大森寿美男氏がオリジナルストーリーとして作り上げていく。出来上がった台本を読んだ感想は「参ったな」。「プロットの段階では、色々見えていたんですが、一筋縄じゃいかない、手に負えない台本が現れてしまって…。芝居が、非常に難しくなりました。難しさで言えば、100倍変わりました」と振り返る。
「今まで演じた役の中で、1番苦労しています」――振り幅の広い演技力を武器に、数々の賞を手にしてきた“俳優・綾野剛”がそう唸った。
クランクインして数日経っても、「全く掴めなかった」“怪物”。通常、役は初日で掴めるという彼にとって、いかに特別か分かる。
撮影から1ヶ月“怪物”が馴染んでいた
今回のインタビューは、クランクインから1ヶ月ほど経った頃に実施。当初、掴みきれなかったという役も、すっかり身体に馴染んでいるように見えた。そして、表情がとても柔らかい。おそらくそれは、演じている“怪物”の影響だろう。“怪物“とだけ聞けば、おぞましいイメージが沸くが、綾野が演じる主人公はどこかチャーミングだ。
「チャーミングに見せたいと思って演じているわけではないんです。彼が魅力的に見えるようにということしか、考えてない」とあくまで狙った“可愛らしさ”ではないとし、「僕を置いておいても、強いパーソナルを持っている人たちが揃っているから、“隙”を生まなきゃいけないと思っています。自分たちで埋めすぎると緊張感のあるドラマになってしまう。だからこそ、今回は感情で全部を埋めないように。視聴者の方々に我々が作った余白に入り込んでもらって、体感してもらうことで、ドラマが完成するようにしたい」とドラマの“余白”になることが、自然とそう見せているのかもしれないと説明した。
“余白”で魅せる
第1話、“怪物”のチャーミングさが全面に表現されたシーンが登場する。「初めて自転車に乗るシーン。ここで爆発させるって決めていたんです」。初めて見る景色、モノ・コトに感動するシーン。「台本には、『自転車に乗ったら、坂道を下っていって、電動で勝手に動いてしまう』って書いてあるだけでしたが、監督もここだって同じように決めていたみたいです。表現したのは、好奇心。好奇心はチャーミングの発動になる。子どもがやることは好奇心の塊だし、『風邪は伝染るのに、なんで元気は伝染らないの?』って発想が人を豊かにする。そういう好奇心を1番初めに発動させたのが、自転車のシーンでした。狭い路地からフワーっと街が広がって、自分の世界も広がっていく。120年時代に取り残された怪物が、走馬灯のように色んな感情を取り戻していくんです。その姿が結果として、チャーミングに見える人もいるだろうし、もしかしたら面白いと感じる人もいるかもしれない。どちらとも決めないことが、“余白”を作ることなんです」と、台本の“余白”から膨らませたものが、今度はドラマの“余白”になっていく。
なぜ今、“王道ラブストーリー”に挑むのか
何も知らなかった“怪物”は、女優の二階堂ふみ演じる、女子大生・津軽継実役に恋をする。そして、柳楽優弥演じる稲庭聖哉、川栄李奈演じる室園美琴と四角関係になり、次第に、嫉妬という感情を知ることになる。初めての恋、初めての嫉妬…そもそも、俳優デビューから14年、綾野はなぜこのタイミングで初の“王道ラブストーリー”に挑むのか?「やりたくない役を見つける方が難しいくらい、基本的に来る者は拒まずなので、特別避けていたわけではなかったんです。今回、お話がきて偶然、このタイミングでストレートプレイのラブストーリーをやることになりました。ストレートプレイのラブストーリーっていうのは、芝居の1番底辺のような気もしているし、生き方も1番スタンダードでもあると思うんです。スタンダードをちゃんと魅力的にできるかどうかは役者や各部署の手腕なので、実は1番難しいカテゴリ。僕の気持ち的には、挑戦です」。
切なくって愛おしいピュアな “怪物”。「“怪物”が人間に出会って恋をして、どのように世界を知っていくのか、どのように人間の感情を手に入れていくのか…彼や周りの人の笑顔が1回でも増えるように、ぜひ見届けていただけたらと思います」。まだ、そんな引き出しがあったのか!と、きっと驚かされるはずだ。(modelpress編集部)
綾野剛(あやの・ごう)プロフィール
生年月日:1982年1月26日出身地:岐阜県
身長:180 cm
血液型:A型
2003年に「仮面ライダー555」で俳優デビュー。2011年放送の「Mother」(日本テレビ系)で注目を集め、2012年NHK朝の連続テレビ小説「カーネーション」で認知度を上げた。数々の作品に出演し、近年では映画「そこのみにて光輝く」で「第36回ヨコハマ映画祭 主演男優賞」「第69回毎日映画コンクール 主演男優賞」をはじめ各賞を総なめ、また映画「日本で一番悪い奴ら」では「第15回ニューヨーク・アジア映画祭 ライジングスター賞」「第40回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞」、映画「怒り」では「第26回東京スポーツ映画大賞 助演男優賞」などを受賞した。2017年は、ドラマ「フランケンシュタインの恋」(日本テレビ系)のほか、映画「武曲 MUKOKU」「亜人」「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」の公開が控える。
「フランケンシュタインの恋」第1話あらすじ
国立富嶽大学農学部の学生・津軽継実(二階堂ふみ)は、生命科学を専門とする鶴丸教授(柄本明)の研究室に所属。彼女はキノコをはじめとした菌類を研究対象とし、同じ研究室の大学院生・稲庭聖哉(柳楽優弥)からは、菌類女子“キンジョ”というあだ名を付けられるほどキノコにのめり込んでいた。
ある晩、津軽は、医学生と名乗る男たちと飲みに行く。そこで彼女は男たちに無理やり酔わされ、車で連れ去られてしまう。男たちの隙をついて車を飛び出し、山の中の森へ逃げ込む津軽。追われる津軽の前に何者かが現れて、男たちを倒す。気を失っていた津軽が目を覚ますと、山の入り口のバス停にいた。彼女の服には、小さな赤いキノコが付いていた。それは、アカナリカミタケという珍しい種類のキノコだった。
アカナリカミタケを探して森に入った津軽は、怪物(綾野剛)と出会う。彼は「僕は人間じゃない」と謎めいた言葉を口にして去っていく。津軽は、森の奥深くまで怪物を追ううち、怪物の家にたどり着く。
怪物は、120年前からその家で暮らしていた。津軽は彼に「あなたのことを教えてください」と迫る。彼は一度死んだものの、医学博士である彼の父・深志研太郎の手によって蘇ったのだという。父の死後、怪物は拾ったラジオを聴いて人間界のことを学んでいた。自分は人間と暮らせないと言う怪物。怪物の孤独を感じた津軽は、彼を森から連れ出す。
120年もの間、父親以外の人間を知らなかった怪物は、津軽や彼女の周りの人々と触れ合うことになり…。
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